「銀河」の写真を見ると、その幻想的な美しさに感動を覚えるのではないでしょうか。それは人類が作り出しているどんな宝石よりもキレイで、思わず息をのんでしまいます。今回はそんな美しい銀河の概要や種類、中心にあるもの、よく似ている「銀河系」との違いなどをわかりやすく解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、最後までチェックしてください。
「銀河」とは、無数の星や宇宙に浮遊する塵、ガス、星間物質などがある巨大な天体のことをいいます。とにかく壮大なスケールなので、まずは私たちがいる地球から考えていきましょう。
地球は太陽を中心とした「太陽系」に属している惑星です。太陽系には他に、水星・金星・火星・木星・土星・天王星・海王星の惑星があり、地球を含めた8つの連なりだけでもその距離は44億km以上になります。
しかし、宇宙は太陽系だけで成り立っているわけではありません。もっと俯瞰してみてみると、太陽系も小さな星の集まり。太陽と同じような「恒星」が数千億個も集まってできている「銀河」のほんの一部分なのです。ちなみに太陽系が所属しているのは「天の川銀河」と呼ばれています。
宇宙全体に多数あるといわれていて、それぞれ群れを形成。数十個集まったものを「銀河団」、これがさらに集まったものを「超銀河団」と呼んでいます。
銀河とあわせて「銀河系」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。混同して使われることもありますが、厳密にいうと両者は違います。
銀河は前述したように、恒星をはじめ宇宙空間にあるさまざまな物質を含んだ天体のこと。そして銀河系は、そのうち太陽系が属している「天の川銀河」のことを指します。つまり、銀河のなかに銀河系が含まれているということですね。
このように使い分けられるということは、「天の川銀河」以外にも、銀河が存在するということ。近年のNASAの研究で、その数はなんと2兆個にものぼると推測されています。
太陽系のある「天の川銀河」の直径は、10万光年です。1光年は、光が1年間で進める距離のこと。約9.5兆kmに値します。つまり光速で移動をしても、横断するのに10万年かかるということです。
そして大きさの大小はあるものの、そのような銀河が2兆個も存在しているという宇宙のスケールを考えると、その壮大さに驚くのではないでしょうか。
無数にある銀河ですが、特徴的だとして広く知られているものも存在します。もっとも有名なのが、「天の川銀河」の隣にある「アンドロメダ銀河」ではないでしょうか。「天の川」の約2倍の大きさで、条件が揃えば地球からも目視できるほどです。お隣さん、と覚えておくといいかもしれません。
また、形状でいくつかの種類に分類することができるので、ご紹介しましょう。
・楕円銀河
楕円形をしています。ガス状の星間物質や塵がほとんど無いのが特徴。星形成をする「分子雲」もほとんど無いため、ここでは新しい星が生まれていないのではないかと考えられています。
大きな銀河団の中心付近でよく姿を確認できます。
・渦巻銀河
中央に「バルジ」というふくらみが存在し、それを取りまくように渦を描きながら星が存在しています。太陽系が属する「天の川銀河」もこれに当てはまります。
・レンズ状銀河
渦巻銀河にある渦状の部分がなく、のっぺりとした形をしたもの。原因としてはガス状の星間物質および塵が少ないことが挙げられていて、渦巻銀河がガスを失って新たな星の形成をしなくなった状態のときに、この形状になると考えられています。
・不規則銀河
上記のいずれにも属さず恒星がバラバラに散りばめられたような形で存在するもの。ガス状の星間物質や塵を多く含むため、星の形成が活発におこなわれているという特徴があります。
特徴的な形のものには「葉巻銀河」や「オタマジャクシ銀河」「子持ち銀河」など、ユニークな名前が付けられています。そのほか「マゼラン雲」など著名人の名前を付けたものも有名です。
どんなものにも中心が存在します。では銀河の中心には何があるのでしょうか。
近年の研究では、超大質量のブラックホールがあると考えられています。ブラックホールとは、あまりにも強い重力によって時空が歪み、光さえもそこから抜け出すことができない超巨大な天体のこと。その質量は太陽の数百万倍から数百億倍とされています。
ちなみに「天の川銀河」の中心にあるブラックホールの質量は、太陽の350万倍なのだとか。
宇宙の成り立ちには、この重力の相互作用が大きく関係しています。巨大なエネルギーをもつ中心に星などが集まり、軌道を作り、やがて銀河となる集合体の法則に、ブラックホールの存在は必要不可欠なんだそうです。
- 著者
- かこ さとし
- 出版日
- 1996-03-01
あまりにも大きなものについて考える時、人はつい無意識に、自分とは関係のないことだと思い込んでしまいます。しかし私たちも宇宙の住人であり、この命も銀河が成り立っているからこそ存在していることに違いありません。
本書は、ページをめくるたびに世界を10倍大きくし、はじまりの人から最終的には宇宙の果てまで旅をしていくつくりになっています。身近なものから遠ざかっていくことで、大きな宇宙のひとつなんだと実感することができるでしょう。
単に知識だけを学ぶのではなく、楽しみながら宇宙の謎について知ることができる一冊です。
- 著者
- ホヴァート スヒリング
- 出版日
- 2016-02-15
本書の表紙を飾っているのが、まさに銀河。宇宙の美しさは銀河の美しさであるといっても過言ではありません。思わず見惚れてしまうその魅力的な姿を、詳しく解説してくれている一冊です。
写真やCG画が非常にキレイなので、写真集のようにただ眺めているだけでも楽しめますが、トピックごとのコラムも充実していて、読み物としても満足することができるでしょう。
手元に置き、何度でも読み返したくなる作品です。
果てしない銀河を想像すると自分の存在の小ささを実感しますが、あまりにも幻想的で美しい星の集まりのなかにいるのだと考えると、少し感慨深くなるのではないでしょうか。