5分でわかる重力波!観測されると何がわかる?意味や利用方法などを解説!

更新:2018.6.18

重力波という言葉を聞いたことがありますか?2017年、その観測に多大な貢献をしたアメリカの研究者3名に、ノーベル物理学賞が授与され大きな話題となりました。一体どのようなものなのでしょうか。この記事では、概要や観測方法、利用法などをわかりやすく解説し、関連本もご紹介していきます。

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重力波とは?100年前にアインシュタインが存在を予言!

 

重力波とは、時空のゆがみの変動が、光速で波のように周囲に伝わっていくことです。この存在を予言したのは、かの有名なアインシュタイン。

一般相対性理論をもとに、質量をもった物体はその存在だけで時空をゆがめていること、そしてその物体がある運動をすると、ゆがみが光速で周囲に伝わっていくことを予想しました。

ただ、検出することが難しいため、方法が確立するまでの約100年間、本当に実在するのかどうか論争がくり広げられてきました。アインシュタインからの最後の宿題ともいわれ、多くの科学者がその立証に心血を注いだのです。

重力波の観測方法とは

 

観測が非常に難しい重力波。とても弱い波で、物体が加速度運動をする時に放出されます。たとえば強い重力をもっている星同士がぶつかって合体するなど、大規模で膨大なエネルギーを放出する天文現象の際に、かろうじて観測できるレベルです。

腕をぐるぐると回転させるだけでも発生してはいるようですが、観測することはできません。

この重力波の直接観測に真正面から挑んだのが、アメリカの物理学者、ジョセフ・ウェーバーです。彼は世界に先駆けて検出装置を開発しました。

レーザーを利用して、2つの鏡の間で光を往復させ、鏡の間の空間の長さの伸び縮みを測る仕組みです。重力波が発生すると空間がわずかに伸び縮みするため、鏡の間の距離が変化します。その変化を測定することで、重力波の存在を確認できるのです。

ただその長さが変わるのは、およそ1000億分の1mmほど。周囲で人が動くことも観測に影響を与えるそうで、非常に難しいものとなっています。

重力波は何に利用できる?観測すると何がわかるのか

 

重力波の大きな特徴として、他の物質に邪魔されずに何でも通り抜けるということができる、ということが挙げられます。

たとえば超新星爆発によってブラックホールができる際、その周囲は高温のガスで取り囲まれるため、光や電波などで観測することはできません。しかし重力波はガスを通り抜ける性質をもっているので、超新星爆発やブラックホール誕生の瞬間のメカニズムを解読するのに役立つのです。

また、人類の究極の課題である宇宙がいつどのように始まったのかという問いについても、重力波がカギを握っているかもしれません。

1980年代、宇宙の誕生とされる「ビッグバン」の直前に急激な「膨張」が起こったとされる「インフレーション理論」が唱えられました。これまでに数十以上のモデルケースが研究されていますが、いまだにその謎は解明されていません。

そしてその謎に対する答えを持っているかもしれないのが、重力波なのです。

宇宙誕生時に発せられた原子重力波のエネルギーがわかれば、インフレーションがいつ起こったのか、計算することができます。さらにそのスペクトルを検出することで、インフレーションがどのようなメカニズムで起こったのかもわかるかもしれないと考えられているのです。

つまり重力波の研究は、宇宙のはじまりという未知の出来事を解明する手がかりになります。今後の研究に期待が膨らみますね。

重力波の検出例は?LIGOと日本のKAGRAとは

 

2016年2月、アメリカにある重力波検出施設「LIGO(ライゴ)」が、13億光年先の宇宙からやってきた重力波を観測したと発表しました。LIGOはルイジアナ州のリビングストンと、ワシントン州のハンフォードに観測装置をもっています。

この重力波を作った正体はブラックホールです。それも太陽のおよそ36倍と29倍の質量をもつ2つのブラックホールが衝突・合体してできた、超巨大なもの。ちなみにブラックホールの合体も、この時初めて観測されました。

一方で、日本の岐阜県の旧神岡鉱山内にも、重力波の観測装置があります。神岡の「KA」と重力(Gravity)の「GRA」を組み合わせて、「KAGRA」(かぐら)と名付けられました。

ここでは地下に施設が建設されていて、風や波、人間の活動による振動でノイズが発生することを極力抑えています。

このほかにも世界各地に重力波検出施設が建設され、これらのデータを合わせることで、観測の精度をあげようと協力しあっています。

宇宙の謎に挑む人間模様を描いたドキュメンタリー

著者
ジャンナ ・レヴィン
出版日
2017-09-21

 

重力波が検出されたことは、今世紀最大の業績のひとつといっても過言ではないでしょう。しかしその過程では、複雑な人間模様がくり広げられていました。

大規模なプロジェクトであり、またもし成果を出すことができればノーベル賞級。LIGOでは何人もの天才が試行錯誤をし、時には確執やしがらみのなかで政治的な取引もします。

本書は、関係者に多数のインタビューをして、そのドラマを描いたドキュメンタリーです。臨場感のある描写が読者を惹きこんでいきます。読み物としても、科学書としても面白い一冊です。

時間と空間と重力波がわかる一冊

著者
高橋 真理子
出版日
2017-09-22

 

宇宙という言葉は、「宇」が空間を表し、「宙」が時間を表しています。本書では人類が、その空間と時間をどのようにとらえてきたのか、旧石器時代からさかのぼって解説しています。

たとえば時計の歴史について述べている部分では、時間という概念を人類がどう考えてきたかがわかるでしょう。そのうえで重力波について、日本の「KAGRA」を中心にその功績を記し、研究の問題点も含め今後の展望が描かれています。

宇宙の成り立ちと本質に触れてみましょう。

重力波天文学という研究分野が誕生し、天文学は新しいステージに突入しました。世界中に観測装置が建造されていて、今後これらで得られたデータから新しい発見が次々と生まれるかもしれません。

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