古来より家畜として人間とともに暮らしてきたロバ。昔話でもおなじみの動物ですが日本ではあまり見ることはないかもしれません。この記事では、そんなロバの生態や特徴、性格、よく似ているウマとの違いなどを解説していきます。また彼らが登場するおすすめの本も紹介するので、最後までチェックしてみてください。
ウマ目ウマ科ウマ属に分類される哺乳類です。このことからもわかるように、ロバとウマは非常に似通った動物で、遺伝子的にもほぼ差がないといわれています。それもそのはず、両者は「ヒラコテリウム」という共通の祖先から枝分かれした種なのです。
ロバの体格は、品種にもよりますが平均的な体高が120cm前後。体重もウマと比べると軽いです。その一方で頑丈な骨格をしていて、厳しい環境や不整地で走ることに優れ、粗食にも耐えることから、約5000年前から家畜として重宝されてきました。
寿命は長く、野生種でも25~30年、飼育下では30年以上生きる個体もいます。
世界各地に分布していますが、今日でも野生で生息している種はごくわずか。なかには絶滅した種も少なくありません。家畜化されているものは、アフリカに生息していた「アフリカノロバ」が繁殖し、枝分かれしたものだといわれています。
日本に野生種は存在せず、また過去に家畜として飼育されることもありませんでした。ただ『日本書紀』によると、559年に朝鮮から贈り物として届けられた記録が残っています。
古来より家畜として飼育されてきたロバは、数々の品種改良をされてきました。ここでは有名な種類を紹介します。
・アフリカノロバ
上述したように、家畜化されたロバのもととなっている種類。かつては北アフリカ全域に生息していましたが、そのほかの家畜の増加や狩猟、内戦の影響などで生息地域を追われ、今日では絶滅危惧種となっています。
背中や足に黒い筋模様があるのが特徴。また砂漠に適応していて、2~3日は水を飲まずに活動することも可能です。
・ポワトゥーロバ
フランス南部のポワトゥーが原産。かつては荷物の運搬に活躍していましたが、産業革命後その数を減らし、一時期は絶滅が危惧されていました。しかし近年は保護が進み、生息数も徐々に回復してきているそうです。
特徴は、アルカパなどと同様、毛が生え変わることがなく、放っておくとそのまま伸び続けること。もこもことしている様子は、一見ロバとは思えません。
・ カタランロバ
スペインのカタルーニャ地方が原産。産業革命後その数が減少したものの、近年の保護政策により徐々に生息数が回復してきています。
大型で、体高は140cm前後、体重は400kg前後にまで達します。カタルーニャ地方に住み、スペインからの独立を望む人のなかには、「カタランロバ」をカタルーニャ地方の象徴と考える人もいるそうです。
昔話などでしばしば「愚か者」の代名詞のように扱われているロバ。その理由は、彼らの性格にあるようです。
ロバは知能が高く、相手を見て態度を変えるところがある動物です。そのため信頼している人間にはよくなつく一方で、嫌いな相手から指示をされても無視したり、気分を害して1歩も歩かなくなったりすることもあります。こうした反抗的な様子が、人間から「愚か」と捉えられる原因となってしまったようです。
裏をかえせば、適切に飼育をすれば飼い主に良くなつくため、ペットとして可愛がっている人もいます。ただし迎え入れるにはしっかりと環境を整えなくてはなりません。
まず彼らがストレスを感じないよう広大なスペースが必要となるほか、頻繁に鳴き、散歩もしなければならないため、近所への配慮が重要です。
これらの理由から都市部での飼育はなかなか難しいでしょう。またペットとしてメジャーではないので、病気になった際に診察できる医者を探したり、飼料の確保をしたりしなければなりません。かなり上級者向けのペットだといえるでしょう。
先述したように、ロバとウマは遺伝子的にも似通った動物です。ただし、まったく同一であるわけではなく、体格以外にも外見にいくつか違いがあります。
たとえば尻尾を比べてみると、ウマは全体が毛におおわれているのに対し、ロバは先端部にだけ毛が生えています。また耳は、ロバの方がウマよりも長くて大きく、この特徴から「兎馬」とも呼ばれていたそうです。
さらに、馬は複数頭で協力しながら馬車など物を運ぶことが得意ですが、ロバはどちらかというと単独で行動することに向いています。
ちなみにポニーは体格こそロバに似ていますが、実際にはウマの一種です。
- 著者
- 春間 豪太郎
- 出版日
- 2018-03-20
本書は、インターネット上で公開された作者の冒険譚を書籍化したもの。タイトルのとおり、モロッコの砂漠地帯をロバたちと踏破した様子が描かれています。
ロバの「モカ」に荷車を曳いてもらいながら旅を続けるのですが、この「モカ」がなかなか良いキャラクター。作者との掛け合いは必見です。
道中でさまざまな動物たちが仲間に加わり、その様子はまさにRPGを地で行くかのよう。動物たちや行く先々での出会った人々と交流する様子は、どれも楽しそうで思わず読みふけってしまいます。
また、一見無謀なようで、事前にしっかりと準備をして冒険に臨んでいる作者。そんな姿も本当にRPGゲームを楽しんでいるような気分になれる一冊です。
- 著者
- ["グリム兄弟", "M.ジーン・クレイグ"]
- 出版日
- 1979-06-15
本作は、グリム童話に収録されている物語を再構築し、絵本化したもの。子どもを欲しがった王と妃は、魔法使いにお願いをするのですが、約束を守らなかったせいでロバが生まれてきました。王子となったロバはひとり旅に出ることとなるのですが……。
両親から疎まれている王子の様子は、読んでいて悲しくなりますが、バーバラ・クーニーのロマンティックな挿絵がその雰囲気を和らげてくれます。どのページもとても美しく、眺めているだけでも楽しむことができるでしょう。
小さなお子さんでも夢中で読めるほか、親の立場で読んでも考えさせられる一冊。年齢を問わず、さまざまな読み方ができる絵本です。