井上織姫(いのうえおりひめ)とは、少年ジャンプで連載していた漫画「ブリーチ」のヒロインです。「ブリーチ」の主人公、黒崎一護のクラスメイトでもあります。 一護との出会いをきっかけに戦いに身を投じていく、心優しきヒロインの魅力を、徹底解明していきましょう!
漫画『BLEACH』のヒロイン・井上織姫は周りから好かれる穏やかな性格と、巨乳の持ち主!人のことを1番に考えられる姿勢は、女子高生らしからぬ落ち着いた雰囲気があります。
しかし、どうしてだか天然な言動が後を絶たない、かわいらしいヒロインでもあります。仲間を元気づけようと必死になって空回りしたり、真剣な空気のなか腹の虫が鳴って自分のお腹を戒めたり、同級生の下ネタについていけなかったり……。
ここでは人に優しく、人一倍頑張り屋であり、誰よりも天然なヒロインを徹底分析してみなさんにご紹介します!
- 著者
- 久保 帯人
- 出版日
- 2002-06-04
織姫は誰にでも優しく、いつも笑顔を忘れない明るい女の子です。穏やかな性格から人に好かれることも多いですが、彼女には暗い過去がありました。実は、彼女は高校生にも関わらず1人で暮らしているのです。
彼女は幼いころ、両親から虐待に遭っていました。それを見かねた兄が、彼女を両親から引き離し、それ以来、元々は兄と2人で暮らしていました。兄の名前は井上昊(そら)。楽しい毎日を過ごしていましたが、あるとき昊が事故で死んでしまいます。
その日は昊が織姫に花型のヘアピンをプレゼントしていました。しかし、彼女はプレゼントが気に入らず、昊に散々文句を言って別れていたのです。
怒ったことを謝ることができずに兄は逝ってしまった。織姫は後悔から毎日兄の墓石に通い、祈り続けます。
昊は霊体になったあとも空座町に居座り、彼女を見守っていました。彼女が毎日祈りに来てくれていたことも知っています。昊にとっては彼女が祈りに来てくれることが幸せでした。いつまでも自分のことを忘れないでほしいと思っていたのです。
しかし、ある時織姫は祈ることをやめてしまいました。これが兄である昊をホロウ(虚)にしてしまうきっかけになってしまいます。裏切られたと感じた昊は「殺してやる」と織姫に言い放ちます。
そうして宣言通り襲い掛かってくる昊から彼女を護ったのが一護でした。
「兄貴が妹に向かって“殺してやる”なんて…死んでも言うんじゃねェよ!!」
(『BLEACH』1巻から引用)
激怒した一護のセリフは、多くの人の心に残っているのではないでしょうか。
最後には一護がホロウである昊を斬魄刀(ざんぱくとう)で断ち切ることで、事件は解決しました。こうして兄とは2度目の別れを告げることになってしまいます。
実は、織姫が祈ることをやめたのは、自分が幸せな毎日を送れるようになり、もう心配しなくていいよと兄に伝えるためだったのです。いつだって自分よりも自分の大切な人を優先する、そんな彼女の愛情深さが伝わるお話ですね。
- 著者
- 久保 帯人
- 出版日
- 2006-08-04
織姫は初めて会ったときから一護に対して好感を持っていました。彼女から見ると、彼は面白い顔をしているというのです。これまた共感しにくい彼への「興味」の表現なのが彼女らしい!
しかしクラスメイトの域を出なかった好感度はのちに強い想いへと変わっていきます。
兄との別れの1件で一護が死神代行であることを知り、このときから織姫も特殊な能力をもつように。そしてその能力を持つようになってから、彼女は一護のサポートをするようになります。必然的に時間をともにする量や質が高くなっていたでしょう。いつのまにか彼女の一護への想いは恋愛感情に発展していました。
破面(アランカル)たちとの闘いが激化するなかで、一護がグリムジョーに敗れて落ち込む場面があります。そのとき、彼はルキアの一喝でいつもの元気を取り戻すのでした。
休戦中、尸魂界からやってきたルキアは一護の自宅で、ともにやってきた乱菊は織姫の自宅で休息をとることになりました。おのおのがしばしの休息をとっているなか、織姫は乱菊に正直な気持ちを吐露します。
「なのにあたし…朽木さんに嫉妬してる…」
(『BLEACH』23巻から引用)
自分では一護を元気づけることができなかったのに、ルキアにはそれができたということが彼女にとってショックだったようです。ルキアに嫉妬する自分がいやらしい、と落ち込みます。乱菊はそんな彼女に、自分の汚い部分を認めているだけかっこいいよと励ますのでした。
等身大な感情を持ち、そんな自分を真正面から見つめられる心の強さがうかがえます。
一護の魅力を紹介した<漫画「ブリーチ」の主人公・黒崎一護の10の魅力!新しい卍解とは?>の記事もおすすめです。
さて、上記では織姫が、一護との出会いを通して、特殊な能力を身につけることになるとお話ししました。
その能力の名前が「盾舜立花(しゅんしゅんりっか)」。
兄からもらった花型ヘアピンを斬魄刀代わりにした能力と言われています。そのヘアピンには6匹の妖精のような存在が宿っており、それぞれが花の名前を冠しています。彼らの能力は、目の前で起こるなにがしかの事象を拒絶するという霊能力です。
霊能力の発動には言霊が必要であり、技を実行する際には「盾舜立花」の妖精のような存在たちと口頭で意思疎通をします。
この「盾舜立花」のなかには治癒、復元が可能な技があります。失われたものでも取り戻すことができる能力だと言われていました。愛染はこの能力が神の領域を侵すとも示唆し、織姫に目を付けたのです。
作中ではグリムジョーの切り落とされた左腕を修復したり、ウルキオラ戦で体に穴をあけられた一護の身を元に戻すなど、高い治癒能力を見せています。
粉々にされた破面を元に戻す場面もあります。「盾舜立花」を使えば、死人が生き返ることも不可能ではないのです。回復できる技は数あれど、なくなったものを元に戻す力はそうありませんので、唯一といっていい程、稀有な能力なのです!
たつきとは、織姫の親友で、有沢竜貴(ありさわたつき)という少女。たつきが中学時代の彼女を語ることから、昔から仲がよいようです。
織姫は髪の毛の胡桃色が理由となっていじめの対象になってしまったことがり、それをたつきに救われたことで2人は仲良くなるように。
また、死神代行編ではホロウに襲われた彼女をたつきが庇うシーンがあります。庇ったことで怪我を負ったたつきを救うために、織姫は初めて「盾舜立花」を発動させます。
お互いに、お互いを自分よりも大事な存在と思える関係。織姫とたつきの関係はまさに親友と言えます。
織姫といえば「天然」。これは外せません!
作中では織姫のかわいらしい天然エピソードが満載です。原作のはじめでは、有名なドレミの歌を、「ドはドランクドラゴンのド レはエレキコミックのレ」と歌う場面があります。どちらもお笑い芸人の芸名です。
織姫がお笑いを好きなことは伝わってきますが、あまりにも奇妙な歌に初めて読む人はなんとも言えない気持ちになるかもしれません……。そんな可愛くて、ちょっと突飛な言動をするところがあるのも、彼女の魅力ですが。
織姫といえば独特すぎる料理センスも魅力の一つでしょう。
買い物帰りの織姫と一護が出会った場面があるのですが、ここで彼女は一護に何を作る気なんだと突っ込まれます。
それもそのはず、織姫が持っていたのはネギとバターとバナナと羊羹。別々に食べるのであればどれもおいしそうですが……彼女は一体何を作る気だったのでしょう?
またこの時のアニメの映像が、フィンランドのカルテット・Loitumaが歌うLevan Polkkaをアテレコした面白動画として流行、話題になりました。ロイツマガールという呼称も生まれたほどです。
- 著者
- 久保 帯人
- 出版日
- 2006-05-02
ウルキオラは破面編の登場人物です。感情の動きが鈍く、圧倒的な力をもってして冷静に敵を倒す冷酷なキャラクター。自分の命も他人の命にも興味を持たない様子から、心などないことがうかがえます。
そんなウルキオラは一護たちの敵でしたが、一時織姫と行動をともにしていました。もともとは愛染の命により彼女を連行したにすぎませんでしたが、教育係兼お世話係のような役割で織姫をそばに置くうち、ウルキオラの心に変化が起きたのです。
誰もが名シーンと言わざるをえない、ウルキオラと一護の死闘。そして決着がつくとともに灰となって消えていくウルキオラが彼女に手を伸ばしながら、こう心中でつぶやくのです。
「これが そうか この掌にあるものが 心か」
(『BLEACH』41巻より引用)
心を知らないウルキオラが織姫によって心をもった瞬間でした。
2人がともにいた時間は長くはありませんが、心を持たなかった破面に心をもたらしたという点で、時間に比例しない、固く強い絆のようなものが彼らの間にはありそうです。
- 著者
- 久保 帯人
- 出版日
- 2002-06-04
「ブリーチ」には実は読み切り版のストーリーがあります。単行本にも収録されていますが、そもそも本作は読み切り版から始まり、人気があがって連載へと踏み出した漫画なのです。
この読み切り版では織姫の設定が違っています。連載版では空座町に生きる女子高生ですが、なんと、読み切り版では死んでしまっているのです!兄はおらず、両親は亡くなっている。
そしてある日、神社の階段から転んで死んでしまうという設定なのです。
霊体になったあと一護に助けられ、あの世へと行くはずでしたが、ルキアの失敗で現世にとどまることになる……というのが読み切り版のストーリーです。
それにしても、神社の階段から転んで死んでしまうとは……読み切り版でも天然な魅力は変わらないようです。
- 著者
- 久保 帯人
- 出版日
- 2007-04-04
ここでは「ブリーチ」のヒロインである織姫の、優しく、強い心が良く表れている名言を5つ紹介していきたいと思います!
5位
「たつきちゃんを守るから」(『BLEACH』5巻から引用)
たつきと織姫の関係は先ほど紹介したように強い絆で結ばれています。いじめられていた織姫をたつきが救ってくれた、そのことにいつも感謝している彼女。
そんなある時たつきがホロウに襲われ、深く傷つき、操り人形にまでされてしまいます。そのシーンで彼女が操られたたつきに手を差し伸べて言ったのがこのセリフです。
まだ「盾舜立花」の能力を持たない織姫でしたが、この事件をきっかけに能力を身につけます。たつきを守りたい、その一心で能力を開花させたと考えると、彼女がいかにたつきを大事にしているかがわかります。
4位
「出しすぎてる変態だって思われてた!!
露出狂みたいな格好できもいって思われてたー!!!」
(『BLEACH』65巻から引用)
ちょっと風変わりなセリフではありますが、織姫のキャラクターがよく分かる名言でしょう。
これはあまりにも大胆な新衣装に着替えた彼女の服装に対して、一護が、ちょっと出しすぎかなとは思うけどよ、とコメントしたことにショックを受けた時のセリフです。
本人は着たくて着たのではなく、浦原喜助に騙されて着ることになったのだと茶渡に言い訳しています。 ナイスバディな織姫の体型にはよく似合う服ではありますが、本人の好みで着ていたわけではなさそうです。自分の体の魅力を全面に押し出そう!としないところも織姫の女の子らしい一面ですね。
3位
「こわくないよ」
(『BLEACH』41巻から引用)
ウルキオラと一護の死闘に決着がつき、ウルキオラが灰となって消えていく場面でのセリフです。
ウルキオラは織姫に手を伸ばしながら自分が怖いかとたずねます。その返答に、織姫は優しくこう答えたのでした。以前にも同じような質問をされ、織姫はこわくないと答えています。
このセリフはシンプルだからこそ様々な解釈がされますが、気持ちが最初と変わっていないことそれ自体が彼女の魅力といえるでしょう。また、まったく心を持たず、どんな相手の命にも目を向けないウルキオラをこわくないと言えたのは、彼に心が芽生えることを期待できる何かを感じたからかもしれません。
2位
「なのにあたし…朽木さんに嫉妬してる…」
(『BLEACH』23巻から引用)
先述もしましたが、破面に敗れて落ち込む一護をルキアが一喝した際の織姫の言葉です。
織姫にはできなかったことをルキアがやってのけた、自分よりもルキアの方が一護との絆が深いように思えたことで嫉妬してしまう場面です。
そんな自分の弱い部分を受け入れられるところが人より優れた部分だと乱菊にも諭されますが、一読者としてもそう思わざるをえません!まだ高校生の女の子が嫉妬という感情を認めて立ち向かい、そんな自分をさらけ出せる強さが垣間見えます。
1位
「あ〜あ!人生が5回ぐらいあったらなあ!
そしたらあたし5回とも違う町に生まれて5回とも違うものお腹いっぱい食べて
5回とも違う仕事して…それで5回とも…同じ人を好きになる」
(『BLEACH』27巻から引用)
少々長くなってしまいましたが、織姫のなかでも屈指の名言ともいえるこのセリフは割愛も勿体無いと感じられます。
これはウルキオラに脅迫され、破面のところへと下る直前、一護の元へ織姫がやってきた場面です。このセリフは一護への告白とも取れます。当の本人は眠ってしまっていますから聞こえてはいませんが。
一世一代の告白とも取れるセリフが誰にも聞かれていないという状況があまりにも切なく、織姫の心中を察すると物悲しい気持ちにならざるをえません……。
そんな切なさもまた、このセリフが名言と呼ばれる所以ともいえるのではないでしょうか。
ここまでお読みくださりありがとうございます!織姫の天然ながら、誰よりも優しさにあふれた強い心を垣間見ることはできたでしょうか?作中ではもっとも感情の描写が多いキャラクターだったかと思います。
原作を読むときには主人公だけではなく、ヒロインの視点から読んでみても面白いかもしれません!