5分でわかるブラキオサウルス!水中では生活していない⁉体重など生態を紹介

更新:2021.11.14

映画「ジュラシックパーク」や「ジュラシックワールド」にも出演していた大型草食恐竜のブラキオサウルス。同時代に生きていた肉食恐竜でも、攻撃を躊躇するほどの巨体の持ち主です。いったいそんな大きな体を、どのように維持していたのでしょうか。この記事では、彼らの体の特徴や生活の様子、化石、似ているといわれている他の恐竜との違いなどをわかりやすく解説していきます。あわせておすすめの関連本もご紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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ブラキオサウルスの体の特徴。大きさや体重は?

 

竜盤目竜脚形亜目竜脚下目ブラキオサウルス科に属する恐竜です。約1億6100万年前から1億4600万年前までのジュラ紀後期から白亜紀前期に、当時のローラシア大陸西部とゴンドワナ大陸の一部に生息していたと考えられています。

体長は、約25mと巨大。体高も約16mあり、一般的なマンションの5〜6階にも相当する背の高さです。体重は諸説ありますが、現在では平均して50t程度だったと考えられています。

最初に化石が発見されたのが1900年と早い時期だったため、当時はもっとも巨大な恐竜として認識されていました。近年ではアルゼンチノサウルスやサウロポセイドンなどの発見により、背の高さや体の大きさでトップではありません。

体の特徴は、首が非常に長いことと、前肢が後肢よりも長いことです。肩から尾にかけて斜めのラインが描かれていて、高いところに生えている植物でも食べることができたと考えられています。

名前の由来も、長い前肢から。「ブラキオ」は「腕」、「サウルス」は「トカゲ」を意味していて、腕に特徴を持った恐竜といったところです。

ブラキオサウルスは水中で生活していた?鼻の位置がヒント

 

発見当時は、そのあまりに巨大な体から、陸上でその体を支えることはできないと考えられていました。当時の推定体重が約80t。アフリカゾウのオスが約6tと考えると、その異様な重さがわかるでしょう。

またブラキオサウルスは頭頂部に特徴的な「こぶ」があり、そこに鼻腔(鼻の穴)があります。体の1番高い位置に呼吸器官があることも、研究者たちに水中で生活していたことを想像させる要因でした。

しかし近年の研究では、ブラキオサウルスんは肺を覆う横隔膜がなく、仮に水中で生活した場合、水圧で肺が押しつぶされてしまうことがわかったのです。また恐竜には鳥と同じような「気嚢(きのう)」があったであろうこともわかりました。

気嚢とは、肺の前後にある呼吸を効率化させる器官で、これがあることによって体重は従来の推定よりも軽いとされたのです。その結果、現在では陸上で生息していたと考えられています。

ブラキオサウルスの化石発見の歴史

 

ブラキオサウルスの化石は、1900年にアメリカ・コロラド州西部で最初に発見されました。その後1903年に、発見者であるアメリカ人古生物学者のエルマー・S・リッグスによって命名されます。この化石はシカゴのフィールド自然史博物館に展示されています。

また1909年には、アフリカのタンザニアでも化石が発見されました。

さらに2000年以降も、スペインやアメリカのユタ州で仲間と思われる新種が発見され、恐竜の研究が日々進んでいるのがわかります。

ちなみに1994年に、アメリカのオクラホマの刑務所構内でブラキオサウルスよりも大きいと考えられているサウロポセイドンが発見され、最大の恐竜の称号は譲ることとなりました。
 

ブラキオサウルスとスーパーサウルス、ブロントサウルスの関係

 

スーパーサウルスは、ブラキオサウルスと同じジュラ紀後期に生息していた恐竜で、非常に似通った見た目をしています。名前の意味は「特大のトカゲ」。1972年にアメリカのコロラド州で発見されました。

全長は33m前後とブラキオサウルスより長いですが、体高はそこまでではなかったそう。長い首と長い尾は、地面とほぼ平行になっていたと考えられています。

またジュラ紀後期に生息していたブロントサウルスも、よく似た体系をしています。長い首がやや平べったいのと、鞭のような尾をしているのが特徴です。前兆は22m前後だったのではないかと考えられています。

同じ時代に3種の大型恐竜が生息していたことを考えると、当時の壮大な世界観を感じることができるでしょう。

恐竜が大好きだった子供時代の興奮をもう1度!

 

タイトルのとおり、大人のために書かれた恐竜図鑑です。写真が中心ではなく、要所にイラストを挟みながら恐竜研究の最新情報をたっぷりと載せた、情報誌のようなつくりになっています。

著者の北村雄一はサイエンスライターとして、恐竜のほかにも遺伝子や深海生物に関する作品を数多く手掛けている人物です。

著者
北村 雄一
出版日
2018-03-06

 

まず説明してくれるのは、「恐竜とは科学的にどんなものを指すのか?」と「恐竜研究がどのように進められてきたのか?」。恐竜にまったく詳しくなくてもすんなり内容を理解できるでしょう。

またかつての定説を覆すような近年の研究も、迫力満点のイラストとともに余すことなく伝えてくれます。ティラノサウルスに羽毛が生えていたことや、足が遅かったことなど、意外な情報も盛りだくさん。ブラキオサウルスが属している竜脚類の特徴や、進化の過程なども詳しくわかります。

恐竜初心者の人にも、子どものころ興味があった人にもおすすめの一冊です。

ブラキオサウルスはペットにできる……?

 

もしも現代に恐竜が生きていたら……。そんな妄想に応えてくれるのは、映画の世界だけではありません。

本書は科学的な根拠をもとに、149種類の恐竜の飼い方を真面目に答えてくれます。

著者
土屋 健
出版日
2013-03-19

 

巨大な肉食恐竜にはもちろん頑丈な檻が必要で、毎日の食事には大量の肉が必要です。またブラキオサウルスのような巨大な草食恐竜は、広大な飼育スペースと大量の草、そして大量の排せつ物の処理も覚悟しなければなりません。

その一方で小型の恐竜であれば、首輪をつけてイヌのように散歩することも可能……?

飼育することを真剣に考えるからこそ、それぞれの恐竜の生態や特徴がわかるようになっています。子どもも大人も、夢が膨らむ一冊です。

ブラキオサウルスは、大型の草食恐竜のなかで完全な化石が見つかっている、数少ない恐竜です。特徴的な体つきや、群れで生活していたという実態など、興味が尽きることはありません。ご紹介した2冊の本は、よりディープでロマンにあふれた恐竜の世界へと連れていってくれるので、ぜひお手に取ってみてください。

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