地球には私たち人類をはじめ、数多くの生命体が存在します。では、地球を飛び出した太陽系ではどうでしょうか。そのさらに先では……?この記事では、地球外生命体が存在する可能性が高い惑星を、NASAが発表した情報を交えて解説していきます。また最新の探査状況がわかる本もご紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
「地球外生命体」なんて聞くと、なんともロマンチックな響きですが、はたして実在するのでしょうか。
世界中の天文学者が電波望遠鏡を用いて活動の兆候を観測しようとしたり、アメリカ宇宙航空局「NASA」をはじめとするさまざまな機関が、探査機や衛星を打ち上げて調査をしたりしていますが、2018年現在、残念ながらその発見には至っていません。
しかしNASAの発表では、地球外生命体は存在するとされています。なぜなら、宇宙には生命の生存に最適だと考えられている「ハビタブルゾーン」という領域があり、その領域内に「ハビタブルプラネット」と呼ばれる惑星が存在しているからです。
そんなハビタブルプラネットを探すことを目的のひとつに掲げて、2009年には「ケプラー宇宙望遠鏡」が打ち上げられました。そして、地球によく似た環境をもっている惑星を発見したのです。
その姿こそ確認されていませんが、広大な宇宙のどこかに地球外生命体がいる可能性は、限りなく高いのではないでしょうか。
では本題に入りましょう。地球外生命体が存在する可能性のある星があることはわかりましたが、いったいどの星が確率的に高いといえるのでしょうか。根拠を交えて解説していきます。
あまり馴染みのない星ですが、土星の衛星のひとつです。太陽から約14憶kmも離れているため、気温はマイナス200度と氷に覆われていて、とても生命が存在できるとは思えません。
しかし土星探査機「カッシーニ」が、エンケラドスの氷の地表から水の柱が噴き出しているのを観測しました。この発見をきっかけに、エンケラドスには何らかの熱源があり、氷の下には海があることが証明されたのです。
さらにその水を分析すると、アンモニアや塩類など生命が誕生するのに必要な元素が含まれていることもわかり、地球外生命体が存在する可能性があると大きな注目を浴びています。
木星の衛星として知られるエウロパは、以前から生命の存在を期待されていました。
エンケラドスと同様に氷の地表に覆われていますが、木星の超巨大な重力によって内部が熱せられ、地表からは水蒸気のようなものが上がっているのをハッブル宇宙望遠鏡が観測しています。
つまりエウロパ内部にも熱源があり、海が存在するため、地球外生命体が誕生する環境が整っていてもおかしくはないと期待されているのです。
太陽系のなかで、地球を除いて唯一生命が存在する可能性のある惑星です。NASAをはじめとする世界中の研究機関が多額の投資をおこない、観測をしてきました。
その甲斐もあり、かつて火星には水があったことや隕石片などから、生命が存在するのに適した環境だったことがわかっています。
ただ現在は、宇宙線から身を守る磁気圏がなく、水も無いため、地球外生命体が地上で活動するのは難しいとされています。もし火星に生命がいるとすれば、宇宙線の届かない地下深くに存在しているのでしょう。
数あるハビタブルプラネットのなかでも最有力候補となっているのが、「グリーゼ581g」です。第2の地球ともいわれているこの惑星は、太陽の役目を持つ赤色矮星グリーゼ581と適度な距離を保ちながら公転周期を回っているため、地球とほぼ同じ環境であると予想されています。
地球上からはてんびん座の方向へ20光年ほど先にあり、宇宙規模で考えるとそれほど遠くもなく、地球外生命体の存在可能性とともに、技術が発達した未来では人類の移住の可能性も考えられている惑星です。
遠い宇宙のどこかで、何かが、宇宙空間へ向かって謎の電波信号を発しているのを知っていますか?
その正体が何なのかはまったくわかっていませんが、世界中の電波観測所で、持続時間は長くないものの、超強力な電波をこれまで幾度となく観測しています。
原始ブラックホールの誕生や、中性子星の衝突によるもの、はたまた地球外生命体からの何らかのメッセージなどさまざまな説が提唱されてきましたが、いずれも証拠はなく、研究は難航しているようです。
この謎の電波の候補として「高速電波バースト」というものが挙げられています。これは、高密度で超強力な磁場を持つ中性子星「マグネター」が発する、高エネルギー線が変化した電波信号のこと。宇宙空間から地球に届く電波の正体として有力視されています。
しかしいまだに謎は解明されていません。もし地球外生命体からのメッセージであったとすれば、かなり高度な文明を持っている可能性が高いでしょう。
もしも地球外生命体が発見された時、私たち人類はどのような行動をとればよいのでしょうか。
相手が有効的であれば、何らかのコミュニケーション手段を確立し、共存する道もあるかもしれません。しかし言葉も常識も通じないうえ、仮に敵対心でも持たれているとすると、最悪の場合は地球を侵略されるなんてこともありえなくはないでしょう。
宇宙関連の学者で構成されている「国際宇宙航行アカデミー」のガイドラインには「地球外知的生命体からの信号の発見に関する議定書」というものがあります。全部で9条あり、検証から公表までの手順や、返信の制限などを定めた内容です。
もし何らかの信号を受信した場合は、それが本当に地球外生命体からの信号なのか、証明しなければなりません。さまざまま研究機関の関与が必要だと考えられますが、その一方で不確実な情報の公開も禁止されているので、難しいところなのです。
ちなみに、仮に地球外生命体を発見した時どのような行動をとるべきなのか、あの有名な物理学者、ホーキング博士は、「接触は避けるべき」だとしています。その一方で、地球外知的生命体探査が専門のロシアの学者、カルダシェフ博士は「接触すべき」と言っています。
専門家でも意見が分かれる、難しい問題。私たちも心づもりだけしておきましょう。
- 著者
- 井田 茂
- 出版日
- 2017-12-27
テレビや雑誌でも取り扱われることが多い地球外生命体。面白半分なものも多く、余計に真実味が薄れてしまってはいませんか?
本書では、最新の研究結果をまとめ、地球外生命体を発見できる可能性を真面目にわかりやすく解説しています。
いったいどんな姿をしているのか、あの惑星にいるとすればどんな活動をしているのか、実際の調査結果に基づいて真相に迫っていきます。
- 著者
- 関根 康人
- 出版日
- 2013-12-02
土星の衛星である「タイタン」に降り立った、探査機「ホイヘンス」。衝撃的な映像を私たちに届けてくれました。
研究が進むにつれて、 それはやがて地球外生命体の存在を裏付けるような証拠となり、科学者たちがさまざまな見解を出しています。
本書ではタイタンのみならず、エウロパやエンケラドス、はたまた太陽系外の惑星についての考察も読むことができるので、地球外生命体について知る入門書として読んでみてはいかがでしょうか。