5分でわかるカブトエビ!寿命が短い「生きた化石」の生態、生息地などを解説

更新:2018.6.27

子供の頃、科学雑誌の付録についていたカブトエビを育てた経験があるという方も多いのではないでしょうか。この記事では、「生きた化石」と呼ばれる彼らの生態や卵の秘密、カブトガニとの違い、飼育の方法などをわかりやすく解説していきます。あわせておすすめの関連本もご紹介するので、ぜひご覧ください。

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カブトエビの生態は?生息地や大きさなど

 

甲殻類背甲目カブトエビ科に分類される生物です。全長は3cm程度。日本ではアメリカカブトエビ、アジアカブトエビ、ヨーロッパカブトエビの3種が生息していますがいずれも外来種で、国内で初めてその姿が確認されたのは1916年のことです。

卵の状態で何年も生きることができ、孵らずに生き続けている卵は「耐久卵」あるいは「休眠卵」と呼ばれています。この小さな耐久卵が鳥の脚などに付着して日本に運ばれてきたのではないかと考えられているのです。

雨で一時的にできた池などを覗き込むと、世界中でカブトエビの姿を見ることができ、日本でも本州から九州にかけての水が綺麗な水田で姿を見ることが可能です。

約1億6000万年前の三畳紀の頃にはすでに生存しており、その姿を変えていないことから「生きた化石」と呼ばれています。

カブトエビの短すぎる寿命!卵、幼生、産卵まで一生を解説

 

自然環境下での寿命は1ヶ月程度。上手に飼育した場合でも、50~60日しか生きることができません。

大きさは0.5mm程度と非常に小さく、水温12~25℃で孵ります。孵化したばかりの幼体はオレンジ色でミジンコに似た姿をしており、脱皮をくり返して生後2週間ほどで産卵が可能な成体になります。

日本で雌雄揃って生息しているのはアジアカブトエビのみで、他の2種、アメリカカブトエビとヨーロッパカブトエビは雌しか存在していません。この2種は雌雄同体で雌だけで産卵が可能なうえ、通常は雌しか生まれません。生息している場所の環境が悪くなると雄が生まれることがあり、その場合は交尾を経て卵を産む姿が確認されています。

1度に3000~1万個の卵を産みますが、産卵直後に孵るのは3割程度。翌年の水入れの時期にまた3割が孵り、翌々年に残りが孵るといったように時間をかけて孵化していきます。

水田に農薬が投入されたり水が抜かれたりしてしまうと成体は死滅しますが、卵は乾燥にも寒冷にも強く、卵の状態であれば過酷な環境を耐えることができるため、1度に孵化しないことで1億6000万年もの間、子孫を繋げることができました。

カブトエビとカブトガニの違い

 

カブトエビとカブトガニは外見や名前が似ていることや、双方1億年以上前から姿を変えていない「生きた化石」と呼ばれることから近種の生物だと思われがちですが、実はまったく違った生態をもっています。

まずカブトガニは、甲殻類ではなく鋏角類に分類される生物です。鋏角類とは頭部の先端に小さな鋏を持つグループのことで、代表的な生物としてサソリが挙げられます。カブトエビを含む甲殻類と違い、触覚や顎を持ちません。またカブトガニは海に生息し、大きなものでは60cmほどにまで育ちます。

双方とも甲羅の上に眼が付いていますが、頂点部分に眼があるカブトエビと違いカブトガニの眼は頭の側面に付いています。

またカブトガニの祖先と考えられているのは、カンブリア紀に生息した三葉虫の進化系とされるアグラスピスという生物。進化の過程で触角を失い鋏角を手に入れたようです。

カブトエビは飼育できる!餌や繁殖方法とは

 

生息水域が限られているうえに寿命が短いため、野生のカブトエビを捕まえることは都市部では難しいかもしれません。しかし飼育キットは販売されているので、卵は簡単に手に入れることができます。

雑食性で、浮草の根の部分やミジンコなどの微生物といった自然の環境にあるものから、メダカや金魚の餌、カツオブシ、うどんなども食べます。ただ水が汚濁してしまうので、動物性の餌を与えた場合は食べ残しをきちんと取り除きましょう。

野生のカブトエビを捕まえる場合は、一緒に水田の泥と水をすくってくることで微生物が繁殖しやすい環境が作れるため、餌やりの必要がありません。

彼らは意外によく動き、水中で宙返りをしたり背泳ぎをしたりといった姿も見られるため、飼育時はルーペを用意しておくと観察を楽しめるでしょう。

身体の横に卵をつけている個体が出てきたら、まもなく穴を掘って産卵する姿を確認できます。卵は水温が20℃前後でもっとも多く孵化し、水温が10℃以下や30℃以上であれば孵化しません。それどころか水温が3℃以下では死滅してしまうこともあるので注意が必要です。

ただ冷水で産まれた卵や、1度乾燥してしまった卵も、20~25℃の水につければ孵化することができます。

水田に生きる生物たちの小さな世界を覗いてみよう

著者
内山 りゅう
出版日
2013-02-22

 

ミジンコからヘビまで日本の水田で暮らす生物の生態を、生命力に溢れた写真とともに紹介している図鑑です。

田んぼに暮らす生物ということで、同じ甲殻類のホウネンエビやミジンコとともにカブトエビも紹介されています。基本的な生態のほかに、雑草の若い芽を食べるため田んぼの草取り虫として重宝されていたことなど、意外にも日本人と深い関わりのある生物であることがわかるでしょう。

田んぼを維持して稲を育てるための1年の流れも載っているため、そこに暮らす生物だけではなく水田そのものや農耕についても知識を深められ、日本の原風景に想いを馳せることのできる一冊です。

カブトエビをマニアックに解説した一冊

著者
秋田 正人
出版日

 

1957年からカブトエビの研究を続けている秋元正人による、生態をさまざまな角度から解説した一冊です。

日本に生息する3種のカブトエビの各部を拡大した写真や、胚分裂の写真、滅多に見ることのできない交尾の写真など貴重なものが多く掲載され、その姿を楽しむことができます。交尾をする際は求愛行動などはせず、互いを見つけると背甲に乗り上げるそうです。

アメリカカブトエビが生息地によって少しずつ異なる形態を持つことや、寒冷地でも生きていけるように雌雄同体に進化していったことなど、研究結果からは「生きた化石」と呼ばれるゆえんを感じることができるでしょう。

通常の飼育書には書かれていない知識が得られる作品です。

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