雷の魚と書いてライギョ。一般的にはあまり知られていませんが、釣り人には非常に人気があります。今回はそんな雷魚の生態や名前の由来、飼育方法、さらには食べた際の味などをわかりやすく解説していきます。後半では淡水魚について学べる図鑑や、雷魚を主人公にした絵本をご紹介。ぜひ最後までチェックしてみてください。
スズキ目タイワンドジョウ科に属する魚の総称で、1920年代に朝鮮半島から導入された外来種の淡水魚です。日本にはコウタイ・タイワンドジョウ・カムルチーの3種が生息。
頭の形が蛇に似ていることから、英語では「スネークヘッド」と呼ばれています。
雷魚は日本に生息している外来種のなかでも大型で、体長は120cmに達することも。小魚やエビなどを捕らえて食べる貪欲な肉食魚であることから、害魚として扱われてきましたが、近年ではルアー釣りの対象として人気が出てきました。
エラの近くに「上鰓器官(じょうさいきかん)」という特殊な構造をもっていて、空気呼吸をすることができます。水面上に口を出して吸い込んだ酸素を上鰓器官に送り、直接摂取することができるため、生息地の水が多少汚れていても生きていけるのが特徴です。むしろ空気から酸素をとることができないと死んでしまう、変わった魚だといえるでしょう。
ただ酸素は空気からとり、二酸化炭素は水の中に排出するという独特のシステムなため、エラも必要です。
夏の産卵期には、水草などを集めたドーナツ状の巣をつくり、子どもが独り立ちするまでオスとメス両方で守る習性があります。
活発に行動をするのは、朝や夕方の薄暗い時間帯か、水が濁っていて周囲が暗い時。 空気呼吸をするために一定の間隔で水面に浮上します。その際に「ボコッ」っという呼吸音がするので、その音を頼りに釣り人は狙いを定めるようです。
「雷魚」という漢字があてられた理由は諸説あり、はっきりしたことはわかっていないようです。
天候が悪い時に活動が盛んになることや、雷が鳴っても獲物を離さない獰猛な性格をしていること、はたまた嵐の際に地を這って移動するという説もありました。
ちなみに中国では、雷魚を養殖している池に文字どおり雷が落ちたことがありました。その時はおよそ1万匹が一気に死んでしまったそうで、名前に「雷」がついていてもその威力にはかなわなかったようです。
外来種ですが、飼育の規制はされておらず、ペットショップなどで購入することが可能です。寿命は10年程度。
体長が50~60cmもある大型の個体は、狭い水槽の中で飼育をするのには向かないため、10cm程度の稚魚を選ぶことをおすすめします。幼魚には独特の模様があり、鑑賞用としても人気です。
雷魚を釣り上げてそのまま飼育する場合は、体に傷がついている恐れがあります。水生菌におかされないように、魚用消毒薬と水質調整剤を1週間ほど水槽の中に入れるのがよいようです。その場合は水草は植えずに、エアポンプだけ取りつけましょう。
雷魚は人を認識することができるとされていて、飼い主が近くをとおると体をゆすってエサをねだる、かわいらしいところがあります。飛び跳ねる力が強いため、蓋はしっかりと閉めておいてください。
非常に強烈な「引き」のため、釣り人から人気のある雷魚。釣り上げる際は、「フロッグ」と呼ばれるカエルの形をしたイミテーションルアーを使用するか、生きたカエルを用いておこなう「ポカン釣り」という方法をとります。
食いつくとかなり激しく暴れ回るため、周りに生えている水草とともに引き上げることになることが多く、頑丈な釣り糸やロッドが必要です。
また雷魚は、元々食用として導入されたことから、味もよいとされています。原産の中国や東南アジアなどでも食用として人気があり、特にタイでは「プラーチョン」と呼ばれて好んで食されているようです。
中国や韓国では揚げ物や酢の物にして食べるそうで、滋養強壮剤としても使われます。綺麗な川で育った雷魚は淡水魚特有の臭みはなく、小骨も少ないので食べやすいそう。まるで鶏肉のような味だといわれることもあります。
体の表面にはかなりのヌメリがあるので、もし調理をする場合はしっかりとりましょう。臭みの元となります。また寄生虫がいる可能性があるので、生食はおすすめしません。
- 著者
- 出版日
- 2015-02-06
日本に生息している淡水魚、約120種を掲載した図鑑です。似た姿をしている種類を並べて紹介し、体の形や模様など区別するためのポイントを提示。ひと目でわかるようになっているので、本書を片手に釣りや採集に行くのもおすすめです。
イラストも豊富で、また生態や分布もしっかり記されているので、見ているだけでも楽しめるでしょう。もちろん雷魚についてもしっかりと紹介されています。
後半では淡水魚の採集の仕方や持ち帰り方、飼育方法も解説。これ一冊でさまざまなシーンに活用することができます。
- 著者
- 阿部 夏丸
- 出版日
- 1999-06-11
さかな学校に通っているライギョ。授業で自分たちの生態を習うのですが、なんとタナゴを食べると知りました。
でもライギョとタナゴはドーナツ池で仲良く暮らす友達同士。お互いの立場を知った後は、ギクシャクしてしまいます。2匹はどのような結論を出すのでしょうか。
生きるために食べるということ、自然界の生態系、命の重さなどさまざまなことを考えさせてくれる一冊。子どものうちに読んでおきたい名作です。扱っているテーマは重いですが、文章は易しく、イラストもかわいらしいので、堅苦しく感じることなく親子で読んでみてください。