本作の主人公。寡黙で格好いいヒーローとして知られていますが、実は天然気味な一面もあるのです。今回は、そんな彼のちょっと面白いエピソードをご紹介しましょう。本作はアプリで無料で読めるので、そちらもぜひご利用ください!
もはや説明不要の主人公です。世紀末の核戦争を生き延びて荒廃した世界で生活していましたが、恋人・ユリアをさらわれたことから立ち上がり、数多の死闘をくり広げていきます。
年齢は26~30歳前後で身長185cm、体重100kg。全身くまなく鍛え上げた格闘家です。
性格は至って生真面目。弱者や高齢者を尊重し、強敵には敬意を払う様子が窺えます。案外激情家ですが、普段は無表情で何を考えているのかわからないところがあります。
- 著者
- ["原 哲夫", "武論尊"]
- 出版日
『北斗の拳』の物語は基本的にシリアス&ハードボイルドの連続です。ギャグ要素は一切ありません……が、冗談の通じないケンシロウの真面目ぶった行動が、時にギャグのようになるシーンが出てきます。
それがもっとも顕著なのが、第2部修羅の国編の一幕です。
修羅の国は「羅将」と呼ばれる絶対強者が統治する土地で、ケンシロウはある事情から序列第3位の羅将ハンの居所を探していました。彼は手近なザコを捕まえると、その場で詰問を始めます。
ところがその名もなきザコが「~アル」という語尾のエセ中国人口調だったため、「知らないアル」という返答にケンシロウは「あるのかないのかどっちだ」と執拗に暴力を振るったのです。まさに新喜劇のような出来事ですが、生真面目なケンシロウだからこそ起こった悲劇にして喜劇。
郡司令バスクの副官であるバロナは、関係ない男女をバットとリンだと勘違いし捕まえ、挙げ句の果てに処刑しようとします。その時、ケンシロウが現れるのです。敵である彼はもちろん、ケンシロウを挑発し続けます。それを聞いていたケンシロウが放った一言が、こちら。
くさい息をはくのはそれぐらいにしておけ
(『北斗の拳』16巻より引用)
これは、シンプルに傷つきます。これに怒った彼はケンシロウを攻撃しますが、地面に頭をめり込まれて呆気なく敗北。散々すぎる……。
再三繰り返しになりますが、ケンシロウは生真面目な男です。そのせいか、思ったことをそのまま口に出す傾向があります。そういったあまりにも直球過ぎる物言いが、非常に辛辣な悪口に近い表現に繋がることがあるのです。
たとえば序盤に登場したシン配下KINGの幹部ハート様。人気敵キャラでもある彼はとても巨漢かつ、縦だけでなく横と前後にも幅のある人物なのですが、ケンシロウはそれを評して「ブタ」と言ってのけます。
「ブタをかっているのか?」
「やっぱりブタか……ブタと話す気はない!!」
(いずれも『北斗の拳』1巻より引用)
後者の台詞は旧来のものから修正されていますが、とにかく酷い言いようです。読者の皆様は、たとえ事実であっても、このような言い方は控えましょう。
「おまえのようなババアがいるか!!」
(『北斗の拳』8巻より引用)
山のように大きな老婆と、その不自然さを指摘するケンシロウ。その凄まじいインパクトから、この場面は非常に有名です。ですがその印象が先行して、実際にはどんなシーンかご存じない(忘れている)方も多いのではないでしょうか?
実はこの老婆(に扮したザコ敵)は拳王軍の暗殺者。旅の道中、水分補給で立ち寄ったケンシロウ一行の前に現れて、毒入りの水を飲ませようとしました。
しかしケンシロウは水を飲まず、老婆の正体を看破します。老婆は変装が見破られたことに驚きますが、彼は至極冷静に、かの台詞で返したのでした。
どう考えても、誰でもすぐ気付きそうですが。
いかがでしたか?ケンシロウの意外な一面を見たような気分になれたでしょうか?シリアスな笑いとは、まさにこういうものをいうのでしょう。興味を持った方は、ぜひ漫画を読んでみてください!