「医療」をテーマにセレクトした3冊【熊谷和海】

「医療」をテーマにセレクトした3冊【熊谷和海】

更新:2021.4.5

BURNOUT SYNDROMES熊谷です。大分遡るのですが、連載5回目で鼻炎対策の手術を受けた話を書きました。しかしやっぱり花粉のシーズンになると鼻が詰まる詰まる。なので我が人生のラスボス・鼻炎にリベンジせんと更なる手術を受けて来ました。その体を張ったレポと同時に「医療」をテーマに3冊ご紹介。

熊谷和海プロフィール画像
バンド「BURNOUT SYNDROMES」Vo/Gt
熊谷和海
平均年齢23歳、大阪出身・在住の3ピースバンド、BURNOUT SYNDROMES(バーンアウトシンドロームズ)のVo/Gt。バンドメンバーは熊谷の他、石川大裕(Ba/Cho)、廣瀬拓哉(Dr/Cho)。2005年結成。日本語の響き、美しさを大切にした文學的な歌詞やヴォーカル、その世界を彩る緻密に計算されたアレンジ。スリーピースの限界に常に挑戦している。2016年3月にメジャーデビュー・シングル「FLY HIGH!!」を発表。10月には2ndシングル「ヒカリアレ」をリリース。11月に1stアルバム『檸檬』を発売した。2018年2月21日、2ndアルバム『孔雀』がリリースされた。 http://burnoutsyndromes.com/
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というわけで外科手術を受けて来ました。内容はこちら。

  • 鼻の左右の穴を仕切る骨が曲がっている(鼻中隔湾曲症)ので砕いて抜く
  • 腫れる粘膜を支えている屋台骨を砕いて抜く
  • 鼻水を出す神経を切って抜く

この三本立てです。字面だけ見るとただの拷問ですね。

日帰りにできるとのことで局所麻酔でのオペとなったのですが、中々の恐怖体験でした。目隠しをされ、鼻の穴にいろいろ突っ込まれた挙句、バキバキと骨を砕く音を聞き続けるのです。親知らずの抜歯に近いですが、その100倍怖かった。

ただ、結果としてすごく楽になりました。嘘みたいに呼吸も喋るのも楽です。風邪の症状も、かつては鼻呼吸ができなくなっていたのに今では「ちょっとダルいな」くらいに軽減されました。鼻炎で悩んでる人は一刻も早く受けた方がいいと思います。人生が変わります。本気で。

正しく使えば暮らしを明るくしてくれる魔法「医療」。それを題材にした3冊をご紹介。

使命と魂のリミット

著者
東野 圭吾
出版日
「使命を放棄するというのは、今まで生きてきた意味も失うことだ」

心臓外科を志す氷室夕紀。そこには秘密の動機があった。中学三年生の時、彼女の父は不自然な死を遂げた。大動脈瘤を切除する手術が失敗したのだ。違和感の原因は、手術の前日、母・百合恵と父の執刀医・西園が喫茶店で合っているのを目撃したこと。そして現在、二人は恋人関係になっていること……。

手術の失敗は故意では? 父は殺されたのか? 真実をいつか確かめるべく、西園の下で研修医として働く夕紀。そんななか、大学病院に脅迫状が届く。「医療ミスを隠蔽しているのを知っている。公表し謝罪しなければ病院を破壊する」という文面で、警察はイタズラだと判断するが……。

ミステリー&サスペンスといえばこの方、東野圭吾氏の作品。

子ども時代に受けた微妙な傷が人生の角度を変えるのは珍しいことではありません。よく言えば「使命」悪く言えば「呪い」のように、トラウマは人生の目標を形成します。母と執刀医との関係から父の死に違和感を感じ、その疑念に人生の進路までも決定づけられた夕紀。彼女にとって真相の究明は生涯をかけた使命となってしまったのです。そんな使命なら無い方が幸せではなかったか。そういったジレンマが非常にリアルに描かれており、引き込まれます。

医療モノなのでドロドロしているかと思いきや、意外と爽やかで気持ちいい読後感を得られます。文章も親切で読み易い、オススメの一作。


ブラックジャックによろしく

著者
佐藤秀峰
出版日
2014-10-10
「あなたと…正面から向き合わせてください……!!」

医療研修制度の不条理さ、医局の闇、メディアの印象操作、健康保険制度の矛盾。研修医・斎藤英二郎は患者や家族と共に葛藤し、成長していく。余談だが平成十六年に導入された「新医師臨床研修制度」による研修医の待遇改善は、この漫画の影響と言われている。

僕にとって「医療漫画」といえばコレ。タイトルは手塚治虫の「ブラック・ジャック」からの流用ですが、特につながりはないので、安心して読んで頂けます。

この「よろしく」は今回紹介する3冊の中では取り分け濃厚な作品です。自分でも嫌になるくらい患者に入れ込んでしまう主人公・斉藤。彼は様々な現場へ派遣される度に、患者が求める医療と現状の制度にズレを見つけてしまい、指導医に真っ向から噛み付いていきます。研修医なのに。

様々な権力者の都合でがんじがらめな医療現場。そんなアウェイにおいて「おかしいのはルールじゃないですか!」と患者の気持ちを最優先しようとする斉藤。腐ったシステムに飲み込まれるでも見切りをつけるでもなく、絶望しながらも真っ向から変えていこうとする姿が泥臭くもカッコいい。その姿勢は孤高の無免許医ブラック・ジャックへのアンチテーゼとして描かれています。

医師達の情熱に胸を熱くするも良し。患者の葛藤に共感し涙するも良し。報道や医療の闇に憤るのも良し。効能は人それぞれですが、人生に強烈に効く作品。超オススメです。

マンガでわかる心療内科

著者
["ゆうき ゆう", "ソウ"]
出版日
「現在メンタルの問題は ある意味
 体や歯の問題と同じくらい身近なことなのです」

心療内科にて扱う精神疾患の症例について、登場人物のやりとりを通して解説を行うギャグ漫画。元々は作者のゆうきゆう氏自身が代表を務める「心療内科ゆうメンタルクリニック」のサイトにて不定期連載されていた作品。その後ヤングキングにて連載され、アニメ化もしたことからも、多くの人の共感を得る漫画であった事が窺える。

「心療内科」「精神科」って少し怖いイメージがありますよね。どういった治療を行う場所なのか? 脳に効く薬って大丈夫なの? 知識無き我々にとって、そこに診察を受けに行くのはかなり覚悟が要ります。そのイメージを払拭してくれるのがこの作品。「うつ」や「認知症」といった、よく聞くけど正確には知らない疾患について、症例や治療法を教えてくれます。そんな真面目な内容でありつつもギャグがキレッキレで飽きさせないのがスゴイところ。

精神疾患とは誰しもひょんなことで罹りうるものだそうです。「うつとは無縁」という方でも症状について正確に把握しておくことは、予防として非常に効果があると思います。また現在進行形で悩んでいる人にはきちんとした治療を受けに行く勇気をくれるかも。ストレス社会で生きる現代人として、読んでおいて損は無い漫画だと思います。

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    バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。

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