こんにちは、松原汐織です。特に何が不満という訳でもないのに、日々がつまらなく思えてしまったり、自分が成長せず同じ所にいる様に感じてしまったり、モヤモヤが募る時ってありますよね。退屈が嫌な、あなたにオススメの3冊を紹介します。
- 著者
- ジョージ・オーウェル
- 出版日
- 2009-07-18
「ジョージ・オーウェルの1984年、教養として読んだら良いよ」。近しい人に言われ、本好きを公言している身としては読まない訳にはいられない。
『1984』と言えば、村上春樹著『1Q84』が先に思い浮かんだのだけれど、調べていくとやはり関係があった。『1Q84』は『1984』のオマージュで、リトルピープルは独裁者ビッグブラザーから影響を受けているそう。こうやって名作同士の関係性を知っていくのは、本を読む上での楽しみの一つでもある。
物語の舞台は全体主義の近未来。ビッグブラザーが全てを支配している社会で生きる主人公ウィンストンは、体制に対し不満を抱いて生きている。奔放な美女のジュリアと恋に落ちたことにより生き方が変わり、徐々に反政府組織に惹かれていき……という展開である。
正直、読んでいて気持ちが良い小説ではない。読むスピードも普通の本の2倍程度かかってしまい、なかなか進まなかった。拷問シーンでは、度々ニュースで見かける独裁国家が思い出された。巻末まで救いのない話である。でも、「読んで良かった」と最後に思うのは作家の圧倒的な技量と現在も想像がたやすい全体主義に対してのリアルさだろう。1949年に書かれたとは決して思えない。
英会話のレッスンでイギリス人の講師と、作者のジョージ・オーウェルの話で盛り上がった。本好きと言うならば、世界の名著も読んでいかないと胸を張れない。自分の本選びの幅が広がった一冊。
- 著者
- 齋藤 孝
- 出版日
- 2017-09-09
先日、初めての食リポに挑戦。美味しくお食事をいただく余裕があったのも僅か数秒のこと。「あれ? 伝えるべき言葉が出てこない!」と頭の中はてんてこ舞い。今までの私は何を喋って生きてきたのかと思うぐらいの語彙力の乏しさに、自分にガッカリした。咄嗟のコメントは語彙力の差が顕著に表れる。偶然の再会や突然のスピーチ、伝えなきゃいけない言葉は幾らでもあるはずなのに思い浮かばない。ありきたりで面白味がない応答や味気のない無愛想な返答をしてしまった時の後悔と言ったら、その場から消えたいほど。
今月で28歳。大人の年齢にもなり、藁にもすがる思いで手に取ったのがこの一冊。品良く見せる会話や打ち合わせで「できる」人だと思われる言葉の選び方、宴会や手紙で気遣いのある人に思われる挨拶など、マスターすれば一目置かれる素敵な女性になれそうなボキャブラリーが例文とともに紹介してある。
間違いやすい言葉の紹介もしてあり、『順次』(順番に)、『逐次』(順を追って一つ一つ)、『随時』(いつでも)の違いや悪いイメージの言葉に思われてしまっている『忖度』の語源や意味なども書いてあり、一冊丸ごと「ふむふむ」と頷きっぱなしなのである。
周りの印象を変えることで生きやすくなるであろう、人生を手助けしてくれる一冊。
- 著者
- 見城 徹
- 出版日
- 2018-06-06
本の虫としては、同じく読書好きの人が何を読んでいるのか気になる。石原慎太郎氏や五木寛之氏を始めとした数々の有名作家とともに23冊ものミリオンセラーを世に送り出したカリスマ編集者であり、現在は幻冬舎代表取締役社長の見城徹氏の読書とあれば、さらに気になる。影響を受けた作家や本以外にも、見城氏の半生や仕事法も惜しげもなく書かれた一冊なので、とても刺激を受けた。私史上、一番心に響いたビジネス本のように思う。
実践しなければ、読書は読書じゃない
実践しているかと問われると「?」が頭の中に無数に浮かぶ。私にとって読書は趣味であり娯楽。幼少時からたくさんの本に触れてきたけれど、広く深く激しく本を読む著者の姿に、私の読書への姿勢は甘いのだと思い知らされる。血となり骨となるには楽しく読んでいたらいけないのだろう。本の話をしていたはずなのに、「人生ってつらい」とさえ思えてきた(笑)。
正確な言葉がなければ、深い思考はできない。深い思考がなければ、人生は動かない。
貪るように本を読めば、日々は変わるはず。本好きを公言する人にはぜひ読んで欲しい一冊。
今月の3冊は「私にとって読書とは?」「言葉とは?」などといろいろと考えさせられました。きっと答えは今すぐ出なくて良いのでしょうが、たまには思いっきり考えてみる時間も必要なのだと感じました。そうやって考え続けることが日常を飽きさせない秘訣のように思います。晴耕雨読ということで、せっかくの梅雨ですから普段より長く本を読む時間を作ってみるのはいかがでしょうか。
Photographer : JITO YU
Hair&Make-up artist : SAYAKA SHIBUYA
Stylist : MINORU