冬になると真っ白い毛に包まれ、とってもかわいらしい見た目をしているオコジョ。実は意外なギャップの持ち主でもありました。この記事では、彼らの生態や性格、種類ごとの特徴、準絶滅危惧種に指定されている理由などをわかりやすく解説していきます。あわせてオコジョの魅力を堪能できる写真集も紹介するので、ぜひ最後までチェックしてください。
ネコ目イタチ科に分類されるイタチの一種で、日本では「ヤマイタチ」と呼ばれることもあります。分布範囲は広く、北米、ヨーロッパ、アジアの中北部に生息。
オスは体長16~33cmほど、体重150~320gで、メスはこれよりも一回り小さいサイズです。長い胴体と短い足が特徴で、強い跳躍力をもつ後ろ足が前足よりも長くなっています。
1年間に2回毛が生え変わるので、夏場と冬場で見た目が変わるのが特徴です。夏場の背中は茶色く、腹部は白色。一方の冬場は全身が白くなります。尻尾の先は通年をとおして黒いのもポイントです。
主に食べるのは野ネズミや魚。時には自分よりも大きな野ウサギやライチョウを襲って食べることや、トカゲや昆虫類を食べることもあるようです。
寿命は野生下で1~2年ほどと短いですが、飼育下では7年生きたという報告があります。
実は35以上の亜種が存在しています。ここでは日本に生息している2種をご紹介しましょう。
ホンドオコジョ
その名のとおり「本土」である東北地方や中部地方に生息しています。体長は18~20cm、体重は200gとオコジョのなかでも小さめ。基本的には単独行動をしていて、各個体が縄張りをもっています。
長野県の志賀高原では「山の妖精」と呼ばれていて、県が指定する天然記念物に登録されています。白馬や志賀高原では野生の個体を見ることができるそうです。
エゾオコジョ
北海道とロシアの極東に生息しています。ホンドオコジョよりも一回り大きく、体長は24cmほどです。
乱獲が原因で、2種とも準絶滅危惧種に指定されています。
かわいらしい見た目とは裏腹に、かなり気性が荒いのが特徴です。素早い動きで自分よりも大きな動物を捕食することから、世界最小で最強の食肉目という異名をとるほど。
オコジョは後ろ足の力が強いため、高くジャンプをすることができるほか、木登りや泳ぎも得意です。水鳥に襲いかかったり、自分の体重より5倍も大きいウサギに襲いかかったりしている姿が確認されています。
ただ体長が1m以上あるサギにアタックして食べられてしまったケースもあるようで、無鉄砲ともいえるガッツの持ち主だといえるでしょう。
イギリスでは冬毛のオコジョを「アーミン」と呼んでいます。純白のものが好まれ、古くから貴族の紋章やタペストリーに使用されるなど、権力の象徴とされていました。アーミンの毛皮をまとうことが、一種のステータスとなっていたのです。
日本では、生息している2種ともが準絶滅危惧種に指定されています。その主な原因は、毛皮ブームで乱獲にあったこと。その後外来種のミンクが移入され、一部が野生化したことで生態系が変わり、オコジョはますます数を減らしていくこととなりました。
人間が自然界や動物たちに与えてしまっている影響を、今一度考えなおしたいところです。
- 著者
- 世界文化社
- 出版日
- 2015-02-11
タイトルのとおりそのかわいさから「山の神様の使い」や「森の妖精」と呼ばれるオコジョの魅力を凝縮した写真集です。
彼らが暮らしているのは標高が高く寒い地域。すばしっこいため、運よく出会えたとしても撮影をするのは難しいのが現状です。本書があれば、いつでもかわいいオコジョたちに出会うことができるでしょう。カメラを見つめて首をかしげている姿がたまりません。
日本に生息する2種が収められていて、夏毛と冬毛のどちらも楽しめるのがうれしいところ。たっぷりと堪能してください。
- 著者
- 太田達也
- 出版日
- 2014-08-15
著者の太田達也は動物写真家で、野生動物に魅了され「生命の絆」をテーマに撮影の旅を続けています。本書は、そんな彼の自然への畏敬と愛情を感じられる写真集です。
オコジョをはじめ、シカやモモンガ、リス、フクロウなど森をすみかにしている動物たちの姿が収められています。じっとこちらを見つめていたり、ユーモラスなポーズをしていたり……見ているといつのまにか作品の世界に取り込まれているように感じるでしょう。
かわいさはもちろん、彼らが暮らしている森の美しさも圧巻です。神秘的にも思える自然界に触れてみてください。
森の妖精とも呼ばれるオコジョを紹介しました。そのかわいらしい見た目とは裏腹に気性が荒いところや、夏と冬で見た目が変わるなど、ギャップがたくさん。野生の個体を目にするのはなかなか難しいので、ぜひご紹介した2冊でその魅力に触れてみてください。