『ドラゴンボール』に欠かせない名脇役といえば、やはりクリリン!今回はこのちょっと頼りないキャラクターの魅力をご紹介したいと思います。 よくよく深堀すると、実はリア充で地球人最強という意外な一面が見えてきました……。
本作の最初期から登場するキャラクターで、主人公・孫悟空の親友です。
パワーインフレの進んでしまった中盤以降や最新アニメ、ほとんどの映画に出演しては賑やかしのポストに甘んじていますが、初登場時には悟空のライバルとして描かれました。作者の鳥山明によれば、本来は使い捨てキャラクターだったというのだから、現在の立ち位置は大躍進といえるでしょう。
後述しますが、サイヤ人などを除いた純粋な地球人としては最強格です。
- 著者
- 鳥山 明
- 出版日
- 2003-01-06
成人時点での身長は153cm、体重45kg。エイジ736年生まれ、誕生日は10月29日とされています。悟空とは生まれで1年違い(クリリンが1つ上)。意外なことにミスター・サタンとは同い年です。
後年は髪を生やしますが、基本的には禿頭のおでこにあるお灸のような6つの点がトレードマーク。元は少林寺ならぬ多林寺の門弟でしたが、落ちこぼれて亀仙流に入門。悟空の兄弟子として、ともに修行しました。普段は悟空と同じ胴着ですが、ナメック星ではフリーザ軍の戦闘服を着たことも。
長らく職業不明(不定?)でしたが、アニメの魔人ブウ戦後は、正義漢と戦闘経験の活かせる仕事として警察官を選んだことが、のちに映画作品で発覚しました。
声優は『ワンピース』のルフィ役、『忍たま乱太郎』摂津のきり丸役でも知られる田中真弓(本作ではヤジロベーも兼任)。
剃髪による見事な禿頭が最大の特徴ですが、彼の特徴は他にもあります。
それは鼻がないということ。
初登場時から一貫して鼻が描かれず、そのことはファンはおろか本編でさえネタにされました。
たとえば3巻の第21回天下一武道会にて、彼は1回戦でバクテリアンと対戦。その悪臭で苦戦を強いられますが、悟空から指摘されることで鼻がないことを自覚し、勝利しました。
ギャグに冷静なツッコミを入れても仕方ないのですが、元から鼻がないのに最初は悪臭を感じていたということになるので、これは少し変な話です。
こうして公式に鼻がないということになった彼ですが、その直後、2回戦のジャッキー・チュン戦では鼻くそを飛ばしたり鼻血を出す描写があります。以後も匂いを嗅ぐ描写がちらほら。
鳥山明は、鼻のない彼は特異体質であり皮膚呼吸していると冗談めかして答えていますが、作中の描写を見る限りでは、描かれてないだけで(きわめて小さい?)鼻はちゃんとあると考えるべきでしょう。
『ドラゴンボール』の初期において、2人はライバルにして兄弟弟子でした。
亀仙流に入門した彼らは、厳しく課せられた同じ修行を同じ時間、同じように苦労して過ごしました。サイヤ人と地球人という生まれの違いか、あるいは素養の問題か、しだいに実力の差が明白となっていきます。しかし、親友にして同門の絆は決して失われませんでした。
どれだけ強くなろうとも、どれだけ遠く離れようとも、最初から最後まで彼らの信頼と友情は代わらなかったのです。
原作漫画ではありませんが、アニメの精神的続編『ドラゴンボールGT』の最終回では、若返った小さな悟空がカメハウスを訪れて、白髪交じりのクリリンを組み手に誘う一幕がありました。それは彼らがまだ幼く、互いに競っていたありし日の光景をなぞるかのよう。姿形は変わっても、いつまでも変わらない2人の関係を象徴するようなエピソードでした。
悟空については<漫画『ドラゴンボール』の主人公・孫悟空の11の事実!戦闘力や本名など>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
クリリンは悟空と同門だけに、亀仙流の同じ技は一通り使いこなせます。また見様見真似で他流(主に鶴仙流)の技も使用可能です。
得意技は気を一点集中して放出する、かめはめ波。
さらに彼を代表するオリジナルの技として、気円斬があります。気の塊を薄く円盤状にして操るこの技は、対象の強度をほぼ無視して切り裂くことが可能です。格上相手でも通用する切り札的技であり、他のキャラクターにも真似されて運用されました。
太陽拳、舞空術も習得。レギュラーのなかで鶴仙流の天津飯らを除くと、最初に舞空術を身に付けて空を飛べるようになったのが彼です。これには気のコントロールが重要な要素らしく、気円斬の例から見ても彼がコントロールにおいて卓越していることが窺えます。
天下一武道会の第22回大会、1回戦でクリリンはチャオズと当たりました。謎の鶴仙流の使い手として、天津飯とともに現れた当時のチャオズは、不気味な印象です。
対戦開始後は得意の超能力と鶴仙流舞空術、どどん波の併用でクリリンを苦しめました。亀仙流、鶴仙流に敗れたり――と思いきや、試合は思わぬ展開に。
事前のやりとりでチャオズの頭脳レベルを見抜いたのか、彼は苦し紛れに計算問題を出したのです。案の定釣られたチャオズ。負けじと小学校低学年レベルの算数問題の応酬を始めてしまいます。その結果、気を取られたチャオズの超能力が弱まり、彼は逆転勝利。
あまりにも低レベルでくだらない、おかしな試合となりました。
圧倒的な強キャラクターの多い『ドラゴンボール』で、彼は非常に地味な存在です。悟空がメインディッシュの肉料理とするなら、彼はその添え物といった程度でしょう。
そんなイメージの彼ですが、戦績を見てみると勝ちと負けが、およそ半々。倒した敵こそ序盤に偏っていますが、思ったより勝てているのです。
彼はパワーインフレに置いていかれた、ただの無能ではありません。少しヘタレなところがあるのは事実ですが、実力的には地球人最強です。
それは彼が普通に修行しただけではなく、ナメック星の最長老から眠っている力を引き出され、潜在能力の解放をしてもらったことも関係しています。公式資料によれば、その時点で戦闘力が10倍も変化したそうです。
フリーザ戦後は強さの指針となる戦闘力こそ出てきませんが、人造人間が孫悟空と誤認する程度には強いヤムチャから「地球人のなかで最も強い」などの発言をされているので、仲間内のサイヤ人以外ではクリリンが強いということがわかります。
とはいえ、その後の原作『ドラゴンボール』最終回で登場した、ブウの生まれ変わりの少年・ウーブを地球人と捉えるかどうかで、彼が最強かどうかは変わってしまいますが……。
『ドラゴンボール』の後期にあった人造人間編で、彼は目立った戦いこそしませんでしたが、とても印象的な行動を取りました。
人間vs人造人間vsセルという三つ巴になった戦いにおいて、セルが要注意ではあるものの、16号や18号といった人造人間は未だに脅威でした。さらに厄介なことに、18号はセルが吸収パワーアップするためには必要な存在で、人間側は先んじて18号の破壊をする必要があったのです。
人造人間停止装置を預けられた彼は、寸前になって躊躇。18号に惹かれた彼は、破壊ではなく逃亡に手を貸したのでした。
それをして彼を戦犯というのは簡単ですが、結果論に過ぎないでしょう。うまく逃げ切り、18号が味方に付く可能性もなくはなかったわけですから。
そして運命の悪戯か、18号が味方に付くという可能性は、セル戦終了後に実現してしまいました。鳥山明が恋愛描写を苦手とするせいで、どういった経緯かわかりませんが(十中八九、人造人間編での影響でしょう)、クリリンと18号が結婚したのです。しかもお互い好き合っているらしい、恋愛結婚。
18号(裏設定で本名はラズリ)はかつての恐ろしさはどこへやら、普段は一般常識を弁えて大人しく振る舞う、出来た嫁になりました。それでいて有事には往年の実力を発揮する、かっこいいところも。
2人にはマロンという娘までいます。その名前はクリリンが栗に由来することから、同じ栗で英語のマロンとなったようです。実はアニメ版限定ですが彼の元カノがマーロンという名前であり、未練たらたら名付けたクズなのではないかという見方も……。
彼自身も髪の毛が生え、結婚生活が順風満帆な様子が窺えます。
イケメンでもないクリリン、まさかのリア充化でした。
彼といえば、死亡数最多のキャラでもあります。その回数、原作だけでなんと3回。
最初の死は初代ピッコロ大魔王の部下・タンバリンに殺されたためでした。2度目の死はフリーザによる爆発死で、「クリリンのことか――っ!」と悟空がフルパワーになったシーンはあまりにも有名。
ちなみに、ブウがチョコにして食べたのが3度目の死でした。
サイヤ人襲来編でサイバイマンにやられたヤムチャを発見したのが彼だったのですが、この時に「庇ってくれた」と発言しているので、何かが違えば彼はここでも死んでいたことになります。
地球の神龍は原則として、同じ願いを叶えることが出来ません。そのため、本来クリリンは1度しか生き返らないはずでした。
しかしその後、ナメック星にある元祖ドラゴンボール=ポルンガの存在や、デンデによる神龍の調整で制限がなくなったことで、クリリンは何度も蘇生することが出来たのです。
彼といえば悟空のように大活躍はせずとも、要所要所に顔を出す名脇役です。他キャラクターに比べて序盤から登場してるため、必然的に印象深い箇所も多くなっていますが、厳選した5つの名言を最後にお送りしたいとも居ます。
第5位:
「悟空っ!!!
手ぬきで戦ったりしやがったら、オレは一生うらむからなっ!!!」
(『ドラゴンボール』11巻より引用)
第22回天下一武道会にて。悟空とクリリンは亀仙流の兄弟弟子としてなんだかんだ競ってきましたが、全力の勝負はこれが初めてでした。日頃の他愛ないやりとりを一時忘れ、悟空に挑む気迫がありました。
第4位:
「悟空よ、いつもおまえにばかり地球の運命をまかせてすまないな。
ぜったいに死ぬなよ、親友!」
(『ドラゴンボール』19巻より引用)
地球を狙うおそるべきサイヤ人・ベジータとの戦いの直前。彼が悟空に地球の命運を託すセリフです。彼としても、悟空頼みばかりになってしまって、つらいところでしょう。自身の力不足への悔しさが滲むようです。
第3位:
「…な…なんかあいつ死人にくせに明るいから
あんまり悲しくなかったな…」
(『ドラゴンボール』35巻より引用)
セルの自爆から地球を守るため、我が身を犠牲にした悟空。あの世から送られてきた言葉があまりに明るいため、悲しいやら拍子抜けするやらで複雑な彼の言葉です。古くからの親友だけに、最もモヤモヤしたことでしょう。
第2位:
「うまく逃げるんだ!!
ぜったいセルに吸収されないでくれ。たのむ!!」
(『ドラゴンボール32』巻より引用)
彼は完成した人造人間停止装置で18号を止めようとするのですが……淡い恋心のために出来ませんでした。どんな時も人間的に動くのは彼の魅力ではありますが、結果的にこの判断が最悪の状況を引き起こしました。
第1位:
「悟空――!!!!
はやくきてくれ――っ!!!!」
(『ドラゴンボール』19巻より引用)
彼には、この台詞の印象が強いです。ただただシンプル。サイヤ人襲来に際して彼ら地球人は準備していたにも関わらず、束になってもナッパ1人に敵いませんでした。その絶望感から、彼は蛇の道を走っているだろう悟空にこう呼びかけたのです。
いかがでしたか?クリリンは単なる脇役ではなく、これだけのエピソードと魅力を持ったキャラクターなのです。