『ドラゴンボール』とその主人公の孫悟空は、わざわざ説明するまでもない日本を代表する漫画のキャラクターです。ですが、知っているようで意外と知らないこと、案外忘れていることも多いはず。今回はそんな悟空についてご紹介しましょう。
孫悟空と言えば世界的に有名な『ドラゴンボール』の主人公です。
ともすれば戦闘狂にもなりかねない危ういキャラクターながら、明朗な人柄で作中の内外問わず人を惹き付けて、多くの仲間から慕われる人気者。彼が空飛ぶ雲、筋斗雲(きんとうん)に乗る姿は時代を経ても変わらない本作のメインビジュアルとして知られています。
- 著者
- 鳥山 明
- 出版日
悟空の名前は地球でのもので、サイヤ人としての本名はカカロット。エイジ737年に誕生したことになっていますが、詳しい誕生日は不明です。血液型も同様。初期の年齢は12歳で、文字通り大きく成長した青年期からは19歳となって、以後は年齢を重ねつつ容姿はまったく変わることがありませんでした。
変わると言えば、トレードマークにもなっている武道着の背中の流派は、作中の時期によって亀仙流やカリン様、神様など師事する相手で変わっていきます。
身長は145cm、体重は40kgで後に175cm、62kgとなります。細マッチョな見た目からは意外にも思えますが、あまり高身長ではないのです。
「オッス、オラ悟空」の挨拶や口癖のような「わくわくすっぞ」などの台詞や、東北弁に近い方言キャラとしてもお馴染み。中盤以降、代名詞ともいえる超サイヤ人に変身した際は、一人称が「オレ」へと変わり、セルゲームの修行までは口調も荒いものへと変化していました。
アニメや映画など、多数の『ドラゴンボール』関連作品の主人公を勤めていますが、異色のスピンオフ『DRAGON BALL外伝 転生したらヤムチャだった件』ではヤムチャに主人公の座を譲っています。
声優はずっと変わることなく野沢雅子が演じています。近年はそんな野沢雅子のモノマネ――と言うか実質的には悟空のモノマネで、お笑い芸人のアイデンティティがブレイクしました。
悟空は青年期以後の姿が最も有名でしょう。精悍な顔立ちと肉体は日本のヒーローのアイコン的な存在となっています。その姿からは想像も出来ませんが、少年期悟空は非常にちんまりとした可愛いやんちゃ坊主でした。
幼少期に地球人の孫悟飯に拾われた彼は、悟飯に教えられて優しい少年に育ちます。当時はサイヤ人であることは明かされておらず、不思議なしっぽを持ち、満月を見ると大猿に変身する能力を持った不思議な少年でした。
常にニコニコ笑い、強敵とのバトルを楽しむ彼は、ブルマと始めたドラゴンボール探しの旅でクリリンやヤムチャなど、後のZ戦士達と出会って交流を深めていきます。
クリリンについては<漫画『ドラゴンボール』のクリリンに関する11の事実!名言、技、戦闘力など>の記事で紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。
- 著者
- 鳥山 明
- 出版日
- 1987-05-01
『ドラゴンボール』は鳥山明の作品ですが、彼にはもう1つ有名な代表作があります。それは奇想天外なロボット少女、アラレちゃんで知られるSFギャグ漫画『Dr.スランプ』です。
昔からのファンにはよく知られていますが、実は『Dr.スランプ』とクロスオーバーしたエピソードが『ドラゴンボール』本編第7巻にあります。ギャグ漫画補正で恐ろしく強いアラレちゃんと悟空の共演は、途轍もないインパクトでした。
またコラボと言えば、2013年には『ONE PIECE』のルフィ、『トリコ』のトリコと悟空が一堂に会したアニメ『トリコ×ONE PIECE×ドラゴンボールZ 超コラボスペシャル!!』という作品も放映されました。
前述したように悟空は作中で脅威の成長を遂げます。そしてさらに、続く天下一武道会のエピソードでチチと結婚を宣言。まさかの妻帯者となりました。
それからは奥さんのチチの尻に敷かれつつ、2人の息子という子宝にも恵まれていきます。長男は育ての親にあやかって名付けられた悟飯。才能だけなら悟空を越える逸材で、一時は『ドラゴンボール』の主役も務めました。
そしてかなり年が離れますが、次男の悟天。幼少期は幼い悟空にそっくりでしたが、成長してからは意識的(?)にイメチェンしてややチャラい青年になりました。
また、アニメの続編に相当する『ドラゴンボールGT』では、遠く離れた子孫で悟空そっくりの少年も登場しました。
チチについては<漫画『ドラゴンボール』のチチに関する8の事実!戦闘力、結婚、名言など>で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
悟空の技は言わずと知れたかめはめ波だけではありません。鍛え抜かれた筋肉、惚れ惚れするような腹筋が可能にする攻撃は、どれもが必殺技クラスと言っていいでしょう。
少年悟空は亀仙流に入門する以前は、養父直伝のジャン拳と動物を真似するオリジナルの拳法(龍拳の元になる体当たり含む)、他に相手の技を見様見真似で習得するなど柔軟な戦いを見せていました。鶴仙流の太陽拳や、おそらくは舞空術もそうです。
そして忘れてはならないのが、北の界王に教わった界王拳と元気玉。特に元気玉は超サイヤ人に目覚めるまで(目覚めてからも)、最強の切り札として使われました。破壊力は集まった生命力に依存しますが、その効果は絶大。
人造人間編ではヤードラット人に教わって瞬間移動を会得。なんでもありのスーパーキャラクターに拍車がかかりました。
最早これなくして悟空は語れない超サイヤ人。伝説に謳われた最強の戦士です。
フリーザ戦で初変身したのがバランスの取れた超サイヤ人1。親友クリリンの死で、穏やかな心を持ちながらも、激しい怒りによって変身しました。
そして超サイヤ人1を越えた形態が超サイヤ人2。全身にスパークがほとばしるシャープな姿で、最初は悟飯しかなることが出来ませんでした。
その超サイヤ人2すら越えた超サイヤ人3。あの世で修行したこの最強の姿は魔人ブウ戦で見せました。
アニメではさらなるバリエーションがあり、最新のアニメ『ドラゴンボール超』では超サイヤ人ゴッドを経て、超サイヤ人ブルー(悟空とそっくりな敵ゴクウブラックはこの対となるロゼにも)という形態に至りました。そこから悟空は身勝手の極意に開眼し、銀色の超サイヤ人も披露しました。
またゲーム『ドラゴンボールヒーローズ』には「孫悟空:ゼノ」という特殊な姿も出てきます。
- 著者
- 鳥山 明
- 出版日
- 2014-04-04
悟空の父はバーダックです。下級戦士ながらフリーザに対抗した男としてアニメで描かれ、原作に逆輸入される形で登場しました。
両親のうち母親は長らく不明でしたが、『銀河パトロール ジャコ』に収録された前日譚にてギネという名前が明かされました。そして兄は本編にも登場したラディッツです。
祖父はいませんが、強いて言えば養父孫悟飯がそうでしょうか。
劇中では戦うかあの世にいるかしかイメージがないせいか、ネット上での悟空の評判はすこぶる悪く、ニートや無職というレッテルが貼られることもしばしば。定職に就かず、収入もなさそうなのであながち的外れでもないのが難しいところです。
他にセルゲームで見せた悟飯への突き放した態度から、サイコパスという評価も。悟空は犠牲もやむなしという判断を劇中で多くしていますが、それは生来の純粋さ、戦闘に対する姿勢からなので悪気はないはずです。それだけに厄介とも言えますが。
『ドラゴンボール』はその作風から人死にが多く出ますが、人造人間編で突如出てきた設定は衝撃的でした。
未来からタイムスリップしてきたトランクスは、人造人間の横暴について語ります。彼らをのさばらせた遠因は悟空の死にありました。それも戦って死んだのではなく、ウィルス性の心臓病に冒されて死んだと言うのです。
病死というまさかの未来には、悟空本人だけでなく読者の度肝を抜きました。
『ドラゴンボール』の主人公である悟空は、作中の大半の重要な戦いに参加し、多くの名場面と名勝負を生み出しました。そんな中、とびっきりの名シーンで発せられた名言ベスト5をご紹介したいと思います。
なお、巻数はいずれもジャンプコミックス版となっています。
「………………ほんとにそうか?」
(『ドラゴンボール』38巻より引用)
魔人ブウ復活のために暗躍する魔導師バビディは、界王神とともに追跡する悟空一行のベジータに目を付けました。悟空との全力の再戦を望んでいたベジータは、バビディの思惑にあえて乗って洗脳され、「気分がいい」と念願の一騎打ちに望みます。そんなベジータに向けた悟空の短い問いかけ。本人も気付いていない本心を見透かしているようでした。
「バイバイみんな…」
(『ドラゴンボール』35巻より引用)
人造人間編の終盤にて、悟飯に敗北しかけたセルは自爆を試みました。危機に際して悟空はセルもろとも瞬間移動し、窮地を救います。その決死の行動で発言された名言です。万感の想いが詰まった別れの言葉といえるでしょう。
「わかってるぜ…サイヤ人の仲間が殺されたのがくやしいんじゃねえんだろ…?
あいつにいいようにされちまったのがくやしくてしょうがねえんだろ…?
おめえのことは大キライだったけど、サイヤ人の誇りはもっていた……
オラもすこしわけてもらうぞ、その誇りを…
オラは地球育ちのサイヤ人だ…!」
(『ドラゴンボール』26巻より引用)
ナメック星での戦いの終盤のこと。悟空はベジータがフリーザにやられた直後に駆けつけます。ベジータから涙ながらに託された彼はその心中を察して、サイヤ人としてフリーザに立ち向かうことを決意するのです。
「……………おめえはすげえよ
よくがんばった…たったひとりで…
「こんどは いいヤツに生まれ変われよ…
一対一で勝負してえ…待ってるからな…
オラも もっともっとウデをあげて…
またな!」
(『ドラゴンボール』42巻より引用)
純粋な魔人ブウとの最終決戦。最終的に悟空は仲間達と地球、いや全生命の総力で挑みました。逆にブウは常に孤独。戦闘民族サイヤ人の性か、悟空はそんな全宇宙の敵であるブウにさえ敬意を払ったのです。再会を約束する別れの挨拶は、彼の偽らざる言葉だったのでしょう。
「あの地球人のように?…
クリリンのことか…
「クリリンのことか――――――――っ!!!!!」
(『ドラゴンボール』27巻より引用)
クリリンの爆死によって伝説のスーパーサイヤ人に変身した悟空。あれほど苦戦した強敵フリーザを圧倒していきます。追い詰められたフリーザは、最後の手段の前に悟空を挑発しました。それが親友クリリンを貶める言葉だったことから、悟空は激昂しました。短い中にも激しい怒りが感じられるインパクトのある台詞でした。
- 著者
- 鳥山 明
- 出版日
原作漫画『ドラゴンボール』の最終章、魔人ブウ編。悪夢のようなセルゲームの後、地球はしばらく平和な時が続きました。7年後、悟空は天下一武道会に合わせて、あの世から1日だけの期限付きで現世へと戻ってきます。
ところが、折り悪く地球に封印された魔人ブウの復活を企む魔導師バビディの一団が出現。悟空達は阻止に動きますが、ブウは復活してしまいました。悟空は時間切れ、ベジータは倒れ、次代の戦士に命運が託されます。しかし悟飯達の善戦虚しく、彼らは際限なく取り込むブウに吸収されてしまいました。
悟空とベジータは揃って現世に舞い戻り、最後の決戦に挑みました。2人が合体した最強のベジットでブウを分離するも、最終的には原初の純粋なブウに対し、元に戻った悟空とベジータが戦います。
パワーで押し負ける2人は、最後の切り札である元気玉に全てを賭けてます。ベジータの呼びかけがきっかけとなって、宇宙中から集めた「超元気玉」が完成し、ブウの消滅に成功しました。
それから10年後。悟空は懐かしの天下一武道会で、ブウの生まれ変わりであるウーブと出会いました。次世代の萌芽を感じさせつつ、悟空の物語はそこで終わるのです。
いかがでしたか?人気キャラクター悟空について、より深く知れたのではないでしょうか。あらためて彼の活躍を本編でぜひ見てみてください。