マイペースで胡散臭い。浦原喜助は『BLEACH』に登場する「しがない駄菓子屋」です。へらへらした頼りないおじさんかと思えば、いざというときは鋭い観察眼と分析能力を見せる頼れる味方。普段の飄々とした姿からは想像できない真剣な表情は女性読者からも強い人気を得ています。 今回は「しがない駄菓子屋」を名乗る、頭の切れる天才科学者、浦原喜助の魅力をお伝えします!
- 著者
- 久保 帯人
- 出版日
- 2002-12-20
浦原喜助の一人称は「アタシ」。親しい仲の人物には「ボク」と名乗ることもあります。「~ッス」と語尾に着ける口調が特徴的。
胡散臭いしゃべり方や、下世話な発言からよく怒りを買い、行動をともにすることの多い四楓院夜一からは蹴りが入ることも。反抗せずに受け入れることがほとんどですが、本人はかなりSっ気の強い性格です。夜一と同じく一護の師匠として彼の成長を手伝いますが、その手段の手荒さからはそのSっ気が十分に伝わってきます……。
また、個性の強いキャラクターたちのなかでもひと際目立つ特異な性格から、血液型はAB型なのではないか……とファンの間で噂されています。
服装は下駄に甚平。杖と扇子をいつも持ち歩いています。煙管を吸うイラストがあるので煙草を吸うイメージが強い方もいらっしゃるかもしれません。 過去には隊長の羽織を着ていたことも。
しがない駄菓子屋がなぜ羽織りを…?
その謎はこの後、解き明かしていきましょう。
そもそも喜助は一体何者なのか……。まずは彼の現在から、過去にさかのぼってみましょう。
喜助は空座町にある「浦原商店」の店主。「しがない駄菓子屋の店長」を名乗っています。 しかしその実態は、霊法の外で、現世に赴任している死神たちを援助する闇商人です。
闇商人ということもあって胡散臭さは断トツですが、言動からも真意が掴みづらく、純粋に一護の味方であるのかどうか疑わしいところがありました。
しかし、多くの語りがたい過去があったからこその言動であったことが後々わかってきます。
- 著者
- 久保 帯人
- 出版日
- 2008-12-04
実は、浦原喜助は十二番隊の隊長でした。 さらに、技術開発局の初代局長でもあります。
強力な力を持った死神であると同時に、頭の切れる科学者でもあったのですね。
もともとは隠密機動の管轄である檻理隊の部隊長でした。 檻理隊の仕事はさまざまありますが、作中では「蛆虫の巣」での看守の仕事がフィーチャーされます。
蛆虫の巣はいわゆる犯罪者予備軍が集められた収容所のような場所です。 ここでは、素手で収容者全員を抑え込む力を持つものだけが部隊長として選ばれます。 純粋な力もほかの死神とは段違いだったようです。
喜助は、蛆虫の巣で出会った死神たちに大きな可能性を感じていました。 そこで、十二番隊の傘下に創設した技術開発局には蛆虫の巣にいた収容者たちを引き入れます。 尸魂界から危険分子とみなされ、見捨てられた者たちの能力を引き出し、最大限に生かすのでした。
独特の視点で人の力を計ることのできる点は、喜助の魅力の1つでもあります。
喜助は隊長であったにもかかわらず、現世では闇商人をしています。 110年前にさかのぼってその経緯を解明していきましょう。
- 著者
- 久保 帯人
- 出版日
- 2009-02-04
110年前、喜助は二番隊第三席から、四楓院夜一に推されて十二番隊隊長に抜擢されました。
驚くことに、当時の十二番隊副隊長は猿柿ひよ里でした。 五番隊隊長には平子真子、九番隊隊長には六車拳西らがいます。 「仮面の軍勢(ヴァイザード)」のメンバーたちはハッチを除いて、護廷十三隊の隊士を務めていました。 さらに、あの藍染は五番隊副隊長を務めています。
9年後には、喜助は技術開発局を創設して副局長に涅マユリを引き入れています。 作中では阿近も技術開発局に入局しており、ひよ里にため口で接している場面もありました。
このころ、流魂街ではたびたび魂魄が消失する事件が起きていました。その調査に九番隊が乗り出すと、助っ人としてひよ里が現地に向かうことになります。 しかし、ひよ里が出発した直後に、拳西たちの霊圧が消えた知らせが響きます。 これを聞いた喜助は、鬼道の達人である握菱鉄裁とともにひよ里のもとへ急ぐのです。
実はこの事件は藍染によるものでした。
そうとは知らずやってきた死神たちを藍染がホロウ化させていきます。 こうしてホロウ化させられた死神たちが「仮面の軍勢」だったのです。
ひよ里たちを助けようと、喜助は自身のつくった崩玉でホロウ化を解こうとしますが、処置は失敗。 さらに、何者かの仕業で四十六室から全霊力のはく奪と現世への永久追放を言い渡され、ひよ里たちをホロウとして処断する判決まで下されます。
喜助は霊圧を遮断する義骸をつくってひよ里たちとともに現世に隠れ、ホロウ化を解く方法を解明してみせる……と決意します。
さらに、その力の大きさを懸念して崩玉をルキアの魂魄に隠しました。
こうして喜助はしがない駄菓子屋を経営しながら身を隠していたために、一護にも多くのことを語れなかったのですね。
千年血戦編では喜助もクインシーたちを倒すため戦場に乗り出します。しかし、最後には倒れてしまいます。
千年血戦編のその後を描いた最終回では喜助の姿は見受けられませんでした。 喜助は死んでしまったのでしょうか?ファンの間では、小説版では喜助が生きていたこともあり、戦いから生存したのではないかと考察されています。
喜助の斬魄刀の名は「紅姫」。封印時は杖の形にして持ち歩いていました。始解の解号は「起きろ、紅姫」。技を繰り出す際は、「啼け、紅姫」という解号を発します。
シンプルですが、それゆえに普段のおしゃべりな喜助のギャップと相まって洗練されているように思います。
- 著者
- 久保 帯人
- 出版日
- 2016-07-04
喜助の斬魄刀の卍解は長らく描かれておらず、千年血戦編でアスキン・ナックルヴァールと対峙したときにはじめて卍解を見せました。
名前は「観音開紅姫改メ(かんのんびらきべにひめあらため)」。触れたものを作り替える能力を持ちます。
つぶれた目を作り替えて見えるようにしたり、腕を作り替えて強化することもできるこの能力。卍解時は女性をかたどった傀儡のような巨大な存在が現れます。 異形さとはかなさを感じさせる姿は美しくも、恐ろしさも感じます。
斬魄刀は死神の魂の精髄を写し取ったものです。卍解時に現れた斬魄刀の姿は、喜助の魂を具現化したものかもしれません。そう考えると、喜助のギャップをさらに感じますね!
喜助の実力は、蛆虫の巣でも実感できますが、数少ない戦闘シーンでもその強さを計ることができます。
たとえば、破面編ではエスパーダの1人であるヤミーを軽くあしらう場面。その他の戦闘でも鬼道を詠唱破棄で発動したり、義骸をつかって戦闘中にフェイントをしかける余裕すらみせるなど、元隊長といえるだけの実力がうかがえます。
さらに、千年血戦編ではキルゲ・オピーに致命傷を与えていました。 キルゲは尸魂界の隊長格ですら苦戦を強いるシュテルンリッターの1員です。 その強さを目の当たりにしながら、敵を冷静に分析し、弱点を把握する。
まさに科学者ゆえの観察眼の鋭さに脱帽です……!
『BLEACH』のキャラクターの強さをランク付けした<【再アニメ化】漫画『BLEACH』(ブリーチ)最強ランキング!藍染は3位!>の記事もおすすめです。
四楓院夜一は、死神として絶大な力を持つ四大貴族の1つ、四楓院家の当主でした。
四楓院家は代々隠密機動の総司令官を務めています。ですので、四楓院家の当主が護廷十三隊の隊長を務めると、おのずと隠密機動部隊とつながりが強くなる傾向があります。
喜助は二番隊第三席でしたが、上記のことから隠密機動の分隊の1つ、檻理隊の部隊長でもありました。さらに、夜一とは幼馴染でもあります。2人の戦闘中の完璧なコンビネーションは付き合いの長さからきているものでもあったのでしょう!
喜助のセリフは、へらへらしたおじさんという見た目からはおよそ想像できない、凄みのある言葉ばかり…!今回は喜助のかっこいいセリフを5つ選んでランキング形式で紹介していきます。
5位
「ここの人達はそりゃ危なっかしい人達ばっかっス
だけど その能力を活かせる環境さえ与えてあげれば
その“危うさ”を大きな力に変えられる人達もたくさんいるんじゃないかって」(『BLEACH』36巻から引用)
蛆虫の巣をひよ里に紹介しながら、喜助は危険分子とみなされた死神を前にして自分の意見を語ります。
自分以外の人のことを考え行動する彼の優しさと、人それぞれの才能を見抜く観察眼の鋭さが伝わってきますね。
4位
「誰も見たことのないものを創るなら自分の手で
それが科学者ってもんス」
(『BLEACH』73巻から引用)
アスキンはユーハバッハが1から世界を創る光景を見たくはないのかと喜助に問いかけます。ですが、彼はそうは思わないと返します。
ユーハバッハによって世界が崩壊するさまを見たくない理由なら誰にだってあるでしょう。 大事なものを守るためであったり、単純に世界が壊れていくのが恐怖であったり。しかし、ユーハバッハの行いを阻止する理由が、他人に創られるより自分で創りたいからだと答える彼の視点は、他の人にはなかなかないユニークさがあります。
もちろん、大切なものを守るための戦いでもあったと思いますが、科学者として、ほかの死神とは一風変わった視点で選んだ回答からは彼らしさも伝わってきます。
- 著者
- 久保 帯人
- 出版日
- 2003-03-04
3位
「死ににいく理由に他人を使うなよ」
(『BLEACH』7巻から引用)
ルキアを助けに尸魂界へ行くといって聞かない一護に言い放った言葉です。ルキアを助けるというのは聞こえがいいものの、それを理由にして死ににいくのは身勝手だと知らせているように聞こえます。
喜助がほぼ初めて凄みのあるセリフを吐いた場面でもあります。
2位
「想う力は鉄より強い
半端な覚悟ならドブに捨てましょ」
(『BLEACH』7巻から引用)
言葉選びも秀逸ですが、何より彼の情を感じるセリフです。 ルキアを救いたいと一心に願う一護の心に共鳴している彼の心情が伝わってくるようです。
喜助は一護のようにまっすぐに自分の思いを伝える言葉はあまりつかわない人物。Sっ気に加えて冷静に物事を分析する力にたけているからこそ、言葉選びもいつも客観的なものになりがちです。
だからこそ、「想う力は鉄より強い」と断言することから、彼の熱意溢れる内面がのぞけるようで素敵なセリフだと感じます。
1位
「千の備えで一使えれば上等
可能性のあるものは全て残らず備えておく
それがアタシのやり方です」
(『BLEACH』73巻から引用)
クインシー編でアスキンと対峙したさいのセリフです。
ユーハバッハに「未知数の手段」で特記戦力として数えられた、浦原喜助のモットーが詰まったセリフでしょう。
また、特記戦力として数えられたのはその才能だけではなく、彼の努力が実っている証でもあるでしょう。
- 著者
- 久保 帯人
- 出版日
- 2013-08-02
黒崎一心は黒崎一護の父親、そして十番隊隊長でした。死神のときの名は志波一心。
あるとき、現世での異変に気付き単身で乗り込んだ際、藍染によって差し向けられたホロウ化した元死神に苦戦を強いられました。そのとき、黒崎真咲、つまり一護の母親となる人物が現れ、一心を助けてくれたのです。
真咲はクインシーでした。純血統のクインシーである真咲の霊力はかなり高く、一心が苦戦していた相手も、怪我を負いつつ倒すことができました。
しかし、そのケガが原因で、真咲はホロウ化し始めてしまいます。
真咲のなかにホロウの魂が入り込んでいることに気付いた喜助は、真咲とその婚約者であった石田竜弦、死神であった一心を「浦原商店」に連れていきます。そしてことの顛末について解説しました。
魂が壊れることを防ぐためには、ホロウ化と相反するものを魂魄に注入する必要がありました。つまり、その場にいた一心が真咲を救う手立てだったのです。
喜助は自分の作った義骸で一心を包み込み、真咲の魂と真咲の内にあるホロウの魂に一心の魂を紐づけすることで、真咲を救いました。一心と喜助は真咲を救ったもの同士というつながりがあったのですね。その出会いは、ホロウ化しているという理由だけで通りすがりの少女を救う喜助の心根の良さが伝わる話でもあります。
- 著者
- 久保 帯人
- 出版日
- 2002-12-20
浦原喜助のかっこよさはここまでで十分伝わったでしょうか?魅力が伝わっていれば、納得いただけると思いますが、喜助には多くの女性ファンがいます。
「ハンサムエロ店主」と自称するだけある大人の色気と、決めるときは決めるかっこよさが人気の秘訣になっているのかもしれません。
実は、インターネット上では、喜助を本気で好きな女性ファンが多いために、一時期は「喜助」と検索すると検索一覧に「結婚」や「恋人」という文言がでてくることが多々あったそうです。
ここまで読んで下さりありがとうございます!浦原喜助の魅力は少しでも伝わったでしょうか?
原作では文字では表現できない喜助の色気やかっこよさがあふれています!気になった方はぜひ漫画もお読みください!