5分でわかるオウムガイ!生きる化石と呼ばれる生物の生態や飼育法を解説!

更新:2021.11.14

5億年前からほぼ姿を変えていない生きる化石「オウムガイ」。実はペットとして飼育できるってご存知でしたか?この記事では、そんな彼らの生態や殻の構造、よく似ているといわれるアンモナイトとの違い、飼育法などを解説していきます。あわせておすすめの関連本もご紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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オウムガイの生態を紹介。イカの仲間?

 

オウムガイ目オウムガイ科に属す頭足類の一種で、イカやタコと同じ軟体動物に分類されており、大きな殻を持っているのが特徴です。

生息地は南太平洋からオーストラリア近海の水深100~600mほどの場所。その見た目から深海生物のイメージがありますが、彼らの殻は意外ともろく、水深800mを超えると水圧で壊れてしまうのだそうです。

殻の直径はだいたい15~20cm。発見されている化石のなかで最大のものでも30cmほどです。

彼らの祖先はおよそ5億年前のカンブリア紀、もしくはオルドビス紀だといわれています。そこから現在まで、ほとんど姿を変えずに種を存続させ、「生きた化石」と呼ばれているのです。

口元にある触手は約90本あり、この触手を使って物に付着したり、死んだ魚などを捕食したりしています。イカやタコと同じく「漏斗(ろうと)」という器官から水を噴きだし、その推進力で異動をしています。行動するのは主に夜間です。

目はついていますがイカやタコのようにレンズ機能はついておらず、視力はよくありません。寿命は野生下で20年以上、飼育下で3~4年だといわれています。

オウムガイの殻の中身はほとんど空っぽ?

 

巻貝のように見える彼らの貝殻ですが、内部の構造は大きく異なっています。

巻貝は奥まで空洞が続いていてそこに体を入れていますが、実はオウムガイの貝殻の中は細かく区分けされており、もっとも出口に近い場所にのみ体を入れているのです。

それ以外の区画にはガスと液体が入っていて、浮力を得る仕組みになっています。この液体の塩分濃度を調整することでガスとの容積比率を調整し、浮いたり沈んだりすることを可能にしています。

これは言うならば潜水艇や潜水艦の内部に使われている、水密区画やバラストタンクの仕組みと同じ。そのためオウムガイにはギリシャ語で「水夫」や「船舶」を意味する「ノーチラス」という英名が付けられているのです。

オウムガイとアンモナイトの違い

 

オウムガイとよく間違えられる生き物にアンモナイトがいます。アンモナイトはすでに絶滅していますが、かつては世界中の海に生息していて、その種類は1万を超えていたようです。

ちなみに現在生息しているオウムガイは5種類が確認されています。

外見がよく似ている両者ですが、それもそのはず。アンモナイトはオウムガイから分化された種だと考えられているのです。貝殻も同じように細かい区画に分けられていますが、実はこの構造を見ることで両者を見分けることができます。

断面を確認してみると、部屋を仕切る隔壁の向きに違いがあることがわかります。オウムガイの隔壁は出口に対してへこんでいて、その一方でアンモナイトは出口に対して出っ張っているのです。

それぞれの部屋にはガスや海水を出し入れするのに用いる「連室細管」という器官があるのですが、両者はこの連室細管が通る場所が異なっています。オウムガイの連室細管は部屋のほぼ真ん中を通っているのに対し、アンモナイトの連室細管は部屋の外側を通っているのです。

もしも化石を見つけたら、殻の断面を見れば両者の違いを見分けることができるでしょう。

オウムガイはペットとして飼育できる?販売価格や食べ物、寿命など

 

古代から生息している生きた化石と聞くと、飼育するのにも専門的な知識が必要なように思いますが、実は一般の家庭でも飼育をすることが可能です。

海水魚やサンゴなどを取り扱っているマリンアクアショップや、インターネット通販などで、1~2万円程度で販売されています。

体長が20cmほどまで大きくなるので、水槽は60cm規格以上のものを用意するとよいでしょう。その他、水温を20度前後に保つためのクーラーやヒーター、水質を維持するための殺菌灯やろ過システムなどを用意する必要があり、飼育環境を整えるために10万円ほどかかります。

肉食性で、主な餌はエビや魚の切り身。魚介類に限らず鶏肉や豚肉でも大丈夫だそうです。

他の魚を捕食してしまう可能性があるので、混泳には向いていません。オウムガイ同士であれば可能ですが、その場合はかなり大型の水槽が必要でしょう。

夜行性なので、昼間は休んでいることが多いです。ただ人になつきやすい性格をしていて、活動時間中は自ら寄ってくることもあるそうです。

他の軟体動物と比べて寿命は長いので、しっかりと環境を整えてお世話をしてあげれば、よいパートナーになってくれるかもしれません。

太古の海で起こったダイナミックな物語

 

姿のよく似たオウムガイとアンモナイト。一方は現代まで生き残り、もう一方は絶滅してしまいました。しかし化石が一緒に発見されることも多く、元々はオウムガイもアンモナイトも浅い海に生息していたことがわかっています。

ただ生物の多い浅い海では、動きの遅いオウムガイは競争に敗れ、深海へと追いやられました。素早く動くことができたアンモナイトは浅い海に残ります。

そこに、氷河期がやってきました。気候変動の影響を受け、アンモナイトは絶滅。オウムガイは深海にいたため影響を免れ、現代にまで生き残ったのです。

著者
三輪 一雄
出版日
2006-11-01

 

太古の海で起こっていたダイナミックな生存競争を、子どもでもわかりやすいように簡単な言葉で表している作品です。彼らが丸くなった理由など生態についても詳しく描かれていますが、物語になっているので理解しやすいのがポイント。

周りの環境にあわせて進化するだけでなく、時には大胆に別の環境に移動することも大切で、どんなピンチでもチャンスに変えられる示唆に富んでいる内容だといえるでしょう。大人が読んでも学べることの多い一冊です。

オウムガイの断面図

 

普段我々が目にしている物事は、外側だけの場合がほとんど。本書では、なかなか見ることのできないさまざまなものを切断し、その断面を撮影しています。

ゴルフボールや水道の蛇口、そしてオウムガイも。大きなものから小さなものまでバッサリと切断し、読者の知的好奇心をぐいぐいと刺激してくれます。

著者
出版日
2016-07-13

 

断面図を見てみると、人工物の場合は人間の技術や工夫がわかりますし、自然のものであればその造形美や生きるための工夫に圧倒されるでしょう。

オウムガイの断面を見てみると、その機能美にあふれた姿に惚れ惚れしてしまうこと間違いなしです。上述した隔壁の向きや連室細管の位置も確認してみてください。

「神は細部に宿る」という言葉の意味をあらためて実感することのできる一冊です。

5億年前から姿を変えていない生きた化石と聞くだけで胸が躍る人も多いのではないでしょうか。オウムガイが辿ってきた気の遠くなるような年月を思うと、敬意すら抱いてしまいます。興味をもった方はぜひご紹介した2冊をお手に取ってみてください。

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