5分でわかるウツボ!海のギャングといわれる生態や種類、料理などを紹介!

更新:2021.8.2

凶暴なイメージのある「ウツボ」。サメにも似た鋭い歯をもつことから海のギャングとして恐れられていますが、食べてみると美味しい食材としても有名です。この記事では、そんな彼らの生態や種類ごとの特徴、とっておきの食べ方などを解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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ウツボの生態は?

ウナギ目ウツボ科に分類される海水魚の総称です。名前の由来には諸説あり、「ゆぎ」もしくは「うつお」という矢を入れて肩や腰にかける筒に似ているからというものや、岩の陰に隠れる習性があるため空洞を意味する古語「うつほら」から転じたというものがあります。

生息地は、熱帯や温帯の地域。日本では九州の南端から台湾あたりまで続く南西諸島で多く見られます。

「海水域」にあるサンゴ礁や岩礁の割れ目などで想い暮らしていますが、海水と淡水が混ざり合う「汽水域」や「淡水域」に入ってくることもあります。また皮膚呼吸ができるため、湿った場所であれば30分ほどは陸上にとどまることもできるそう。

体つきは、やや平たく細長い円筒形をしていて、体長は20cmくらいのものから4mを超えるものまでさまざま。生息環境にあわせた地味な色をしているものが多いですが、その一方で南国特有の派手な色で目立つ種類や、細かい柄の紋様をもつ種もいます。

最大の特徴は、他のウナギ目の魚と同じく腹びれや胸びれが退化している点です。背びれや尾びれが体の大半におよぶ「ウツボ亜科」や、尾びれしかない「キカイウツボ亜科」に分けることができます。

肉食性で、魚類や甲殻類、頭足類などを好んで食べます。特にタコが大好物で、タコが好きなイセエビの近くにいて、寄ってきたところを捕食するそうです。

ウツボにとってイセエビは餌をおびき寄せてくれる良き隣人、反対にイセエビにとってウツボはボディーガードのような存在です。これは「相利共生(そうりきょうせい)」といい、互いが生き延びていくための知恵だといえるでしょう。

その他、皮膚の表面や口の中に寄生する虫を掃除してくれるオトヒメエビやアカシマシラヒゲエビ、ホンソメワケベラなどとも相利共生の関係にあり、彼らに対して危害を加えることはありません。

ウツボの主な種類の特徴を紹介!最大種や毒性のあるものなど

全世界には約200種類が生息しているといわれています。ここでは日本近海に生息するもののなかから、代表的なものをご紹介しましょう。

ウツボ(Kidako moray) 

日本でもっともポピュラーな種類です。体長は80cmほどで、全身は黒褐色と黄色のまだら模様に覆われています。

食用にされることもあり、水揚げされる地域では「マウツボ」や「ホンウツボ」と呼ばれるそう。他にも東京では「ナマダ」、和歌山では「ヘンビ」、愛媛では「ヒダコ」という呼び方があります。

ナミダカワウツボ

30cmほどの小型種です。主にインド太平洋の熱帯域に生息していますが、日本では西表島で見ることができます。環境省のレッドリストで絶滅危惧種に分類される、大変貴重な種類です。

ドクウツボ

3mもある大型種で、その名のとおり筋肉や内臓に毒をもちます。熱帯の海に生息するプランクトンが生成する毒素が原因で「シガテラ」という消化器系や神経系の中毒症状を引き起こすそう。熱しても毒性は消えないので注意が必要です。

オナガウツボ

体長が4m近い固体も発見されている最大の種類です。インド太平洋の熱帯域、日本では沖縄周辺に生息しています。

ウツボの歯はとても危険!

もともと臆病な生き物ですが、身の危険を感じるとその鋭い歯で容赦なく襲い掛かってきます。

目の後方にまで達する大きな口には、上下に鋭い歯が生えていて、大きいと1cmほどにもなり、釣り針の先のように奥の方に向かって生えているので噛みつかれるとすぐには抜くことができません。

顎の力も強力です。噛まれた場合、ひどいと傷口を縫う必要があったり、食いちぎられたりする場合があります。

ウツボが隠れているのは、岩の影や穴の中。そのような場所にはむやみに手を入れないのはもちろんのこと、不用意に岩に手をかけることも危険です。もしも目の前に現れたら、慌てずにゆっくりとその場から離れましょう。

釣りをしていると針にかかることがありますが、その場合は暴れているのを無理に外そうとせず、糸ごと切ってしまうのが安全です。

また、釣った魚を岩場でさばいていると、匂いを嗅ぎつけて水から揚がってくることもあるそう。安全な場所に移動してから作業をするようにしましょう。

ウツボは食べられる!意外とおいしい料理や味を紹介

グロテスクな見た目とは裏腹に、上品で淡白な味わいの白身魚として人気があります。特に冬場は脂がのっていて、お造りでいただくと最高なのだとか。フグに似た食感で、薄く切ってポン酢で食べると、口いっぱいに甘みが広がるそうです。

高知県では、タタキにして食べることも。身と皮の間にあるゼラチン質は炙るとさらにやわらかくなり、食べやすくなります。コラーゲンもたっぷりなので、健康的な肌を保つのにピッタリかもしれません。

その他にも、揚げ物や煮つけ、鍋などさまざまな食べ方ができますが、毒をもっている種類もいるので、専門店に行って食べることをおすすめします。

ウツボ好きにおすすめの本:珍しい写真とイラストで生態に迫った一冊

著者
ケイシー ランド
出版日
2014-11-05

 

巨大種として知られている「ハナヒゲウツボ」を取りあげた作品です。

体長が130cmにもなるハナヒゲウツボは、水深50mほどのサンゴ礁に生息しています。花びら状に開く鼻が特徴で、岩穴に隠れて体を半分だけ出して餌を捕るため、全身を見ることができるのは珍しいのだとか。

本書では、同じ仲間のウナギやアナゴについても紹介されています。豊富な写真やイラストで描かれる彼らの不思議な生態に、釘付けになること間違いなしです。

ウツボ好きにおすすめの本:ウツボも堪能できる食エッセイ

著者
西潟 正人
出版日
2012-12-21

著者の西潟正人は、逗子で20年もの間地魚料理店を営む料理人です。本書は、そんな彼が記した食に関するエッセイ。全国さまざまな漁師町を訪れて、現地の魚を堪能しています。

ウツボは調理が難しいといわれていますが、彼の手にかかれば超一級の食材に。他にも珍しい魚の食し方について、作者の経験が余すところなく描かれていて、食欲をそそられるでしょう。

イラストを担当しているのは酒場詩人として人気の吉田類。こちらも見逃せません。

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