5分でわかるマッコウクジラ!最強動物の生態や、天敵のシャチなどを解説!

更新:2021.8.2

規格外の大きさと突出した潜水能力から、最強の海洋生物ともいわれるマッコウクジラ。この記事ではそんな彼らの生態、超音波や潜水の秘密、天敵などについてわかりやすく解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するのでぜひチェックしてみてください。

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マッコウクジラの生態は?最強!大きさや寿命など

 

偶蹄目マッコウクジラ科に分類される生物で、口内に歯が生えているハクジラの一種です。下顎にのみ小さな歯を18~25対もっています。

体長はオスが平均で18m、メスが平均で11mにもおよび、体重はオスが最大で45t、メスも平均が15tとかなり巨大だといえるでしょう。ハクジラのなかでも最大の大きさを誇ります。ちなみにハクジラ類のうち、体長が5m以上のものをクジラ、それ未満のものをイルカと呼ぶそうです。

日本近海を含む世界中の海に生息していますが、メスや子どものマッコウクジラは寒冷域には姿を見せず、十数頭の群れをつくり温暖な海域で暮らしています。オスは成熟すると単独で狩りをして生活をするようになります。

主な餌は、深海に棲むダイオウイカや大型のタコ。1日1tものイカを捕食し、シャチやホオジロザメと並んで海洋生態系の頂点に君臨しているといってよいでしょう。

寿命は60~70年と長く、また睡眠時間はそのうちの7%ほどで生きていけることでも有名です。

マッコウクジラは超音波を使える?頭が大きい理由

外見上の特徴は、やはり体の3分の1ほどを占めている大きな頭部です。ハクジラのなかでも飛びぬけて大きいですが、この中には脳ではなく「脳油」と呼ばれる脂肪と、脳油を作るためのジャンクという組織で大半が占められています。

彼らは「エコーロケーション」の際にこの脳油を使用していると考えられているのです。

エコーロケーションとは、「反響定位」とも呼ばれ、小刻みに音を発し、その反響を元に物体がある場所や形、材質などを判断する能力のこと。マッコウクジラは頭部の奥からカチカチというクリック音を出しています。脳油は音をよく伝える性質があるため、この音を前方に向けて効率よく放つのに役立っているのです。

このエコーロケーションはハクジラの仲間だけがもっている能力で、これがあるために視界が不明瞭な深海でも狩りができるようになりました。

そのほか体の特徴としては、頭骨が左右対称ではないこと、呼吸孔が中央ではなく左に偏ってついていること、気道の通っている穴が左右で大きさが異なることが挙げられます。その理由としては、やはりエコーロケーションの際に反響音を立体的に感知することで、より正確に対象を把握するためだと考えられているのです。

さらに彼らは、クリック音の他に超音波を出し、脳油をレンズのように使って超音波を前方に発射することで他の生物を麻痺させて狩りをしていると推測されています。ただマッコウクジラが実際にどのような方法で巨大生物を捕食しているかはまだ確認できていないため、研究途中の段階です。

マッコウクジラはなぜ深海まで潜水できるのか

 

彼らは水中で呼吸を止める際、肺の中に溜めた酸素、赤血球中のヘモグロビンと結合した酸素、そして筋肉の中のミオグロビンに蓄えられた酸素を利用します。

マッコウクジラを含む多くの海洋哺乳類は、特にミオグロビンの果たす役割が大きいのが特徴。大量のミオグロビンがあるため鯨肉は牛や豚などの肉よりも赤黒い色をしているのです。

マッコウクジラはなんと1時間近くも息を止めて潜水することができます。水面に浮上してきた際は、大きく呼吸をくり返して新しい酸素を大量に取り入れる姿を見ることができるでしょう。

また、水深1000mの深さでは100気圧という強力な水圧が体にかかることになります。ただ彼らの肺は非常に弾力がある組織でできているため、深海で水圧がかかり肺が押しつぶされても、水面に浮上すると元の形に戻るという特性をもっているのです。

さらに肋骨も、水圧が掛かると後方に折りたたまれる仕組みになっていて、負荷が掛かりにくいため、マッコウクジラは最大3000mほどまで潜ることができます。

マッコウクジラの天敵はシャチ?

 

「killer whale(クジラ殺し)」という英名を持つシャチ。突出した身体能力と知能、優れた社会性をもち、自分の何倍もの大きさの獲物を狩ることができる最強の海洋生物だといわれています。

大きな獲物を狙う際は、集団で体当たりをして獲物の体が反転した隙に襲い掛かったり、エコーロケーションで連携をとりながら群れで取り囲んで追い詰めたりと、チームワークを利用した狩りをするのが特徴です。

マッコウクジラやシロナガスクジラといった大型のクジラの成体を狙うことは、効率が悪いうえに反撃のリスクも高いためあまりありませんが、子どもを狙うことは多いそう。一緒にいる母親を攪乱させて引き離し、その隙に子どもを襲うのです。

ただマッコウクジラも頭がよく、群れに子どもがいる際はメス同士で交代して子守をするため、通常はシャチが手を出すことは困難だそう。またメスが襲われている際はオスの群れが助けに入ることも確認されているので、シャチにとってもマッコウクジラは襲いやすい相手ではないことがうかがえます。

 

もっと知りたいマッコウクジラ!学べるオススメ本をご紹介

現生するクジラとイルカを網羅した図録

著者
水口 博也
出版日
2013-07-10

 

海洋生物学者として数多くの作品を発表している水口博也。本作は、クジラとイルカの生態を美しい写真とともに紹介していく図鑑です。

クジラとイルカに分けているのではなく、クジラ偶蹄目のハクジラ科、ヒゲクジラ科に分けて収録されています。

被写体としての美しさというよりは、ありのままの野生動物としての力強さや迫力を堪能できる一冊。俯瞰で撮影した彼らの交尾の様子などは臨場感たっぷりです。

マッコウジジラも、撮影当日に生まれた幼獣が母親と泳ぐ姿や、全身が白いアルビノの姿の写真を掲載。また歯の標本も載っていて、食性と生態の関わりを知ることができるでしょう。

巻末にはクジラやイルカの歌を分析した研究資料や、日本でホエールウォッチングができるスポットの紹介も。本書をきっかけに、よりクジラたちに興味が沸くでしょう。

マッコウクジラなど深海生物を学べる図鑑

著者
出版日
2017-06-23

 

「講談社の動く図鑑MOVE」シリーズ。本作は深海生物を特集しています。「EX」は専門的な知識を紹介することをコンセプトにしているため、読みごたえのあるコラムが満載です。

たとえば2014年に調査対象となっていたホホジロザメが、水深580mの地点まで急激に移動をした後失踪していて、このことからホホジロザメがマッコウクジラに捕食されているという説など、興味深いものばかり。

また海底に沈んだ彼らの死体はどうなるのかなど、普段はなかなか見ることのできない深海生物の命のつながりを知ることができるでしょう。

幼稚園生から大人まで、生き物好きであれば幅広い年齢の読者が楽しめる一冊です。

水族館では見ることができない巨体のマッコウクジラ。海洋ロマンの象徴ともいえるでしょう。運が良ければ北海道や沖縄だけではなく、千葉県の銚子や東京の小笠原諸島などでも見ることができるそうです。興味をもった方はぜひご紹介した2冊を片手に、出かけてみてはいかがでしょうか。

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