5分でわかるGHQ!占領政策やマッカーサーの影響などをわかりやすく解説

更新:2018.7.19

二度とくり返してはならない人類最大の過ちである戦争は、終結した後も未来に影響を与え続けます。GHQはまさにその代表例かもしれません。いまもなお日本人の思想に作用している戦後の体制について、概要や占領政策、日本国憲法作成の経緯、マッカーサーの影響とともにわかりやすく解説していきます。あわせて関連書籍もご紹介するので、ぜひご覧ください。

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GHQとは?正式名称や本部など概要を簡単に解説

 

主に西欧諸国が世界をけん引していた1900年代前半、日本は鎖国を解いて開国して以降、瞬く間に国力をつけていました。それまでアジアの国々は、軍事力の面ではそれほど注目されていませんでしたが、日露戦争で勝利したことをきっかけに、日本は軍事強国に向けて舵を切ります。

いくつかの戦争に勝利し、いよいよ第二次世界大戦へ突入。しかしご存知のとおり、原爆投下という最悪の結末を迎え、敗戦してしまいます。ただ、日本という国そのものが滅びたわけではありません。戦勝国側からすれば、今後二度と日本を暴走させてはならないと思ったことでしょう。

そこで、アメリカ軍を基幹とする連合国が日本を占領し、コントロールすることになりました。そのために1945年10月2日に設置された機関が「GHQ」です。正式名称は「General Headquarters」で、日本語の表記では「連合国軍最高司令官総司令部」。本部は東京の日比谷にある「第一生命館」に設置され、現在も第一生命保険のビルにマッカーサー記念室が残っています。

GHQは日本を占領はしたものの、日本政府の行政機関を崩壊させることはしませんでした。天皇を「象徴」とすることで、その制度も認めています。指示や命令を直接国民に下すのではなく、日本政府に伝えるという形で「間接統治」をおこないました。

GHQの占領政策とは

 

ではGHQがいったいどのような占領政策をしていたのか、具体的に解説していきましょう。まずは1番の目的を押さえておかなければなりません。それは日本の軍事力の解体です。二度と戦争ができないようにすること、そして、戦争をしようと思わない考え方を広めることが重要でした。

そこでGHQが最初におこなったのが、戦争犯罪者の逮捕です。1948年の東京裁判にて東条英機ら7名がA級戦犯として裁かれ、死刑となりました。おそらく見せしめの意味もあったことでしょう。この東京裁判は戦勝国に都合のいい判決が下されただけだ、という根強い批判もあります。その後もGHQは、戦争を推し進めた政治家たちを公職追放するなど、徹底した態度をとりました。

次に重要なのが産業です。戦闘機を作るきっかけになるような飛行機などの製造を禁止し、鉄の流通も厳しく管理されました。目指すは農業主体の国づくりだったのです。ただしこれらは、後に起こる冷戦や朝鮮戦争の影響で方針転換されることになります。

GHQは戦争意欲がなくなるような思考を広めつつ、そのような意思がきちんと反映されるように民主化も進め、財閥の解体、婦人参政権の承認、農地改革、教育制度改革などを実施。こうして非軍事国家としての、戦後日本の基礎ができあがっていったのです。

GHQが指示をした「日本国憲法」作成の経緯

 

日本国憲法については、現在も解決の糸口が見えないさまざまな論争を巻き起こしています。未来に向けた話をする前に、まずはその成り立ちを知っておくことも大切でしょう。

GHQの占領下のもとにあった敗戦国の日本は、統制を保つために早急に新しい日本国憲法を作る必要がありました。軍事力の解体と民主化という目的を第一に置き、GHQは20人ほどで草案を作成。そこには「戦争放棄」と「国民主権」などが明記されました。

GHQが作った憲法の草案は日本政府側へと渡ります。日本政府は草案を参考にしながらも、前文などに多く修正を入れました。このやりとりはGHQとの間で幾度かかわされたと記録されています。

報道でもたびたび取りあげられる「憲法9条」には、日本政府が独自に組み込んだ文章もあります。それが「前項の目的を達するため……」と続く、自衛権を認める文章です。これを、当時の衆議院帝国憲法改正案委員の委員長を務めていた芦田均にちなんで「芦田修正」と呼びます。

ちなみにGHQは日本政府とすりあわせて完成した新しい憲法が、国民の意思による決定であることを明確にするため、当時の吉田首相に国民投票の実施も認めると通達しましたが、これは実行されませんでした。

日本国憲法について論争をする際、たびたびGHQの「押し付け」だったという主張がありますが、実際は日本政府もきちんと機能をしていた事実があります。当然、占領下に置かれていたのでパワーバランスはあったことと思われますが、こうした歴史の背景を知ったうえで未来に向けて憲法を考える必要があるのではないでしょうか。

GHQのトップ、マッカーサーが日本に与えた影響は?

 

最後に、コーンパイプの姿が有名なGHQの最高司令官、マッカーサーについて解説をしておきましょう。

まず、マッカーサーは自由主義を日本に根づかせました。戦時中の日本政府が掲げていた「一億玉砕」の精神はある種の洗脳であり、国民という集団に大きなひとつの意思を持たせる教育だったとして、教育改革をおこないました。共産的な思考が広まるのを止め、教育の自由化を図ったのです。

次に労働組合の結成を促し、産業や経済においても個人の意思が尊重される民主化を進めました。権力者がその力を暴走させ、不当に国民に苦痛を与えないよう、国民の権利を奪う決まりを撤廃し、尋問や拷問なども排除したのです。

当時の日本人の記録で、マッカーサーに対する批判的なものはそれほど残っていません。彼が祖国に帰る時は見送りをする人もいたそうです。占領側のトップが独裁思考の強い者だったら、日本という国はまったく違った道を進んでいたことでしょう。

ただし、この民主化がアメリカナイズされた現在の日本の体制を生み、安保問題や競争主義による格差問題など、あらためて解決すべき事柄を残しているのも事実です。

冷静に戦後を分析した一冊

著者
福永 文夫
出版日
2014-12-19

 

GHQの政策が、少なくとも日本国民を奴隷のような扱いをするものではなく、平和主義で自由な豊かさを目指すものであったことは事実です。しかし大戦終結後も混乱が続く国際情勢のなかで、GHQ側も理想だけでは日本を統治しきれなくなってきました。

現在も続く自衛隊のあり方や安保の問題などの根本的な原因が、この時代にできたことは事実です。本書では、日本の戦後の体制を、GHQがいた7年間を分析しながら解き明かしていきます。

この問題は、支配を受けた者の感情が入りがち。そのため冷静な分析をなかなかできない場合があります。本書の優れているところは、できるだけ感情移入を避け、なぜそうなったか、そうならざるをえなかったかを示してくれている点でしょう。

GHQの「洗脳」から解き放ってくれる一冊

著者
ケント・ギルバート
出版日
2017-07-04

 

著者のケント・ギルバートは、日本のテレビ番組などでも活躍している人物。その発言のひとつひとつを見てみると、日本の自立を強く推奨し、期待しているように思えます。

本書のタイトルはやや強気ですが、内容は日本の歴史を完全に否定しているわけではありません。事実を学びながら読み進めていくうちに、当時は彼の言うところの「洗脳」が必要であったことも感じられます。

ただ大切なのは、これからを生きる人々です。思考は時代とともに臨機応変に変えていかなければなりません。日本人はこれまで曖昧な態度をとり続けてきていたのではないでしょうか。古い考えを捨て、自信をもって生きることを気付かせてくれる一冊です。

歴史は白か黒かでは語れません。何かを完全否定した瞬間に敵ができてしまい、それが争いの原因となります。事実を知り、掘り下げていくこと、たとえ答えがでなくても、皆で考えるその気持ちが大切なのかもしれません。

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