5分でわかる慣性の法則!日常にある身近な例でわかりやすく解説!

更新:2018.7.23

身近で起こる現象を説明できる「慣性の法則」。とてもシンプルなものですが、認められるまでには長い時間がかかりました。この記事では、法則の概要と公式を説明したうえで身近な例を紹介し、また発見者であるガリレオ・ガリレイについても解説していきます。あわせて物理や科学への興味を深められる関連本も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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慣性の法則とは

 

力を加えない限り、静止している物体はそのまま止まり続け、動いている物体はその速度を保ったまま同じ速さでまっすぐ進み続けるという、物理的な性質を表した法則です。 

もう少し理解を深めるために、まずは言葉の意味を整理しておきましょう。


「力」

物体を動かす源です。押したり引いたりするのも力。重力もそのひとつです。

「静止」

物体の位置が変わらないことをいいます。反対に位置が変わることを「変位」といいます。

「速度」

1秒や1時間など、単位時間あたりの変位の向きと大きさを表します。単に「速さ」という場合は、変位の大きさだけを指します。

「同じ速さでまっすぐに進み続ける」

専門用語で「等速直線運動」といいます。


これらを踏まえると「慣性の法則」とは、

・力が加わらない限り
・静止した物体は静止している
・動いている物体は等速直線運動を続ける

という法則になります。物理の基本である「ニュートン力学」のなかでもさらに基本の「運動の3法則」のひとつ。「運動の第1法則」と呼ばれることもあります。

慣性の法則を式で表すと……

 

運動の3法則のうち、2番目に登場する「運動方程式」を用いて表してみましょう。

F=ma

エフ・イコール・エム・エーと読みます。「F」は力、「m」は物体の質量、「a」は加速度を表します。加速度は、単位時間あたりの速度の変化のことです。

式の両辺をmで割って「F/m=a」に変形し、Fに0を代入すると、aは0。つまり力が加わらなければ加速度がゼロ=速度は変わらないということが示せます。

日常にもある慣性の法則!身近な例を紹介1:電車

 

電車に乗って立っていたとしましょう。駅に停車していた電車が走り出した瞬間、進行方向とは逆の向きに体が引っ張られて倒れそうになります。これは、体がその場に止まっていようするからです。

反対に電車が減速をはじめると、進んでいた方向に倒れそうになります。これは、体がそのままの速度で進行方向に動き続けようとしているから。いずれも慣性の法則があるために起こる現象です。

日常にもある慣性の法則!身近な例を紹介2:だるま落とし

 

積み上げた木片のひとつを木づちで叩き飛ばしても、上に乗っただるまは飛ばされず、その場に一瞬浮いています。これも慣性の法則によるものです。

次の瞬間、だるまは下に落ちますが、これは重力による運動。

木片が飛ばされるまでは、だるまに掛かる重力と、それを跳ね返す力が釣り合っているため実質的な力が働かず、だるまは動きません。

日常にもある慣性の法則!身近な例を紹介3:エレベーター

 

エレベーターが下の階に向かって動きはじめた瞬間、体がふわっと浮くような感覚を味わうことができます。これは、慣性の法則によって体が一瞬その場にとどまり、その後重力によって下方向に加速しているから。いわゆる「自由落下」の状態になり、宙に浮いた感覚を得るのです。

もちろんこれは一瞬の出来事で、体の動きはすぐにエレベーターの降下速度と一致し、等速直線運動になります。

慣性の法則の発見者、ガリレオガリレイとは

 

「運動の3法則」を見出したのはニュートンですが、実は慣性の法則を最初に発見したのは、イタリアの物理学者ガリレオ・ガリレイです。

彼が発見するまでは、物体を動かし続けるには力を加え続ける必要があると考えられていました。

たとえば机の上に置いた本を横にずらすには、本を押し続けなければなりません。これは本と机の間に摩擦力が働いているため、これに打ち勝つ力を与え続ける必要があるからなのですが、慣性という考え方がなくても合理的な説明に思えます。

では視点を変えて、放った矢が空中を飛び続けるのはなぜでしょうか。

古くは、矢の後方から周りこんだ空気が後ろから矢を押しているから、とされてきました。これは古代ギリシャの哲学者アリストテレスの考えに基づいています。しかしガリレオはこの考えに疑問を抱き、実験をとおして慣性の法則を見出します。簡単にその実験をご紹介しましょう。

まず左右対称のU字型の溝を作り、片方の斜面からボールを転がします。ボールは斜面を下り、その後反対側の斜面を上ります。摩擦力が小さければ、転がりはじめた高さと同じくらいまでボールが上がるのを確認できるはずです。

次に、反対側の斜面の勾配を緩くして、同じ実験をするとどうでしょうか。移動距離は長くなりますが、やはり同じ高さまでボールが上ります。

では、反対側の勾配を無くしてしまうとどうでしょうか。摩擦力がなければ、ボールは止まらずにずっと転がり続けるのです。ガリレオはこうした実験と思考をくり返して慣性の法則を発見しました。

それまで常識とされていたことに対しても、自らが納得できなければその理由を考え、実験をして自らの目で正しいことを確かめる姿勢を貫いたガリレオ。彼の功績が現代の科学の基本となっています。

初めてでも大丈夫!物理の基礎を学びたいならこの一冊

著者
鯉沼 拓
出版日
2012-08-01

 

東京大学理科I類に進学した鯉沼拓の作品。高校時代の自身の経験をもとに、ひとりで読んでもきちんと理解ができる参考書を目指してつくられました。学校の授業についていけなくなってしまった方、基礎から学びたい方におすすめの一冊です。

テーマごとに見開きでページが使われていて、左ページには解説文、右ページにはイラストや図表を多用する構成。物理現象が起きる仕組みをイメージしやすいのが特徴です。

またハカセとリスというキャラクターたちの掛け合いは、物理を学ぶ過程で著者自身が感じた気持ちを表しているそう。読者の気持ちを後押ししてくれるでしょう。

別冊には演習問題もついています。こちらも難しいものではなく、本文で学んだ公式を当てはめて確認する程度のもの。とにかく基礎を身につけるのにぴったりの一冊でしょう。

慣性の法則など、科学実験の「美しさ」を知る一冊

著者
ロバート・P・クリース
出版日
2006-09-14

 

世界で有名な科学の実験のなかから「美しい」ものを10個選んで解説している作品です。公式は用いず、実験をするにいたった背景や概要、また著者が美しいと思った点などが記されています。

この記事でとりあげてきた慣性の法則をはじめ、それぞれの実験にはドラマがあったことがわかるでしょう。実験はある意味芸術で、科学者にとっては自身でつくりあげた哲学の具現化でもあるのです。

実験の内容自体を学術的に細かく記しているわけではないので、受験勉強などに使用することはできませんが、科学の世界に関心をもつきっかけになる一冊です。

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