5分でわかるタマムシの生態!種類ごとの特徴や、採集・飼育方法を解説

更新:2018.7.30

光沢のある翅(はね)を身にまとい、縁起がいい虫として知られる「タマムシ」。もっとも美しい昆虫のひとつとして知られています。この記事では、そんな彼らの生態や種類ごとの特徴、タンスに入れる理由や飼育方法などを解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

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タマムシの生態は?生息地や寿命など

 

コウチュウ目カブトムシ亜目タマムシ上科に分類される昆虫の総称です。日本にも数多くの種類が生息していて、なかでも「ヤマトタマムシ」が有名。北海道を除く日本全国で姿を見ることができ、餌となるエノキやケヤキなどが生えている平地や、低山地で活動しています。成虫は夏場の昼間、とくに日差しの強い時間帯に出没し、夜間は木陰などに身を隠しているそうです。

体長は3~4cm。細長いコメ型で、全体に緑色の光沢があり、背中には虹のような赤と緑の縦縞が入っているのが特徴です。

角度によってさまざまな色に変化しているように見えるため、日本では古くからもっとも美しい甲虫といわれてきました。英語でも「Jewel beetle(宝石のような甲虫)」と呼ばれています。タマムシの天敵である鳥には、色が変わるものを怖がる性質があるため、身を守る手段ともなっているのです。

動きは機敏ですが警戒心が強く、鳥や爬虫類などの天敵が近づくとピタッと動きを止め、死んだふりをします。

また飛び方も特徴的。翅を広げて力強く羽ばたくものの、体はほぼ垂直で、やや不格好さが目立ちます。ただし地上から10~15mほどの高いところを飛ぶため、実際に見つけるのは難しいかもしれません。

卵は餌となる枯れ木などに産みつけます。孵化した幼虫は木の幹を食べて成長し、やがて蛹に。そこから2~3年をかけて成虫となります。成虫の寿命はわずか1~2ヶ月ほどで、長い年月をかけて美しい姿になった後は儚い生涯なのです。

タマムシの種類ごとの特徴を紹介!珍しいものも

 

世界には約1万5000種も存在し、そのうちの200種ほどが日本に生息しています。

アオマダラタマムシ

体長は1.5~3cmほど。青緑色で金属光沢があり、上翅全体に黄白色の小さい斑点模様が入っています。橙色から赤銅色を帯びた個体もいるそうです。日本の固有種で、本州・四国・九州に生息。サクラやウメ、ツゲなどの枯れ木のそばで暮らしています。

クロタマムシ

体長は1~2.5cmほど。全体は光沢のある銅色で、金色、緑色、青色を帯びた個体もいます。北海道から沖縄まで日本全国に分布。マツ類やモミ類などの針葉樹の枯れ木で見られ、木造建築物のマツ材を用いた梁や柱から成虫が出てくることがあるため建材害虫に分類されています。

ウバタマムシ

体長は2.5~4cmほど。灰褐色で光沢はなく、背中に隆起した濃褐色の筋があります。日本全域で見られ、中国や朝鮮半島、台湾にも生息。幼虫はマツ材の中で育ちます。

シロオビナカボソタマムシ

体長は0.5~1cmほど。金属光沢のある金銅色や紫銅色をしていて、翅に数本の白い筋が入っています。北海道から九州まで日本全国に生息。キイチゴの葉が好物です。

クズノチビタマムシ

体長はわずか0.3~0.4cmほど。黒色で、上翅には波状の灰白色の帯があり、胸部には金色の毛が生えています。日本全国に生息していて、佐渡や屋久島、種子島などでも見ることができます。クズの葉を好み、食痕を残しながら食べるのが特徴です。

タマムシをタンスに入れるといい?縁起がいいといわれる理由とは

 

日本では古くから、タマムシをタンスに入れておくと虫よけになる、着物が増えるなどと言い伝えられてきました。宝石のように輝く翅が縁起がいいとされ、また彼らは死骸になってもその美しさを保ち続けるため、幸運をもたらすといわれています。

さらに、長持ちするため、装飾品のパーツとしても重宝されています。奈良の法隆寺が所蔵する仏教工芸品「玉虫厨子(たまむしのずし)」は、装飾にタマムシの翅を使用しているのです。

飛鳥時代に作られたもので、長い年月を経たことで残念ながら現在ではほとんどの翅が失われてしまっていますが、昔の人々もタマムシの美しさに特別な想いを抱いていたことがわかるでしょう。玉虫厨子は国宝に指定されています。

タマムシはペットとして飼育できる?値段や採集方法、餌など

 

実はペットショップなどで販売されていて、比較的簡単に入手することができます。値段は、小さいサイズだと500円ほど、大きいサイズだと1000~2000円ほどです。

もちろん野外で採集することも可能です。活発に活動している日中は避け、やや動きがおとなしくなる夕方以降に探してみるとよいでしょう。

飼育をする際は、昆虫用の虫かごを使用します。タマムシと一緒に、餌となるエノキやサクラの葉っぱを枝ごと入れてあげてください。ただ彼らはストレスに弱いので、手に乗せて遊んだり、むやみに触ったりすることは避けましょう。

昆虫の多様性を実感する一冊

著者
丸山 宗利
出版日
2014-08-07

 

著者の丸山宗利は、アリと共生する昆虫の研究が専門の生物学者。「人間社会の一歩先をいくのが昆虫の世界」と語っています。

本書は、多様性にあふれている昆虫たちの生態をわかりやすく解説してくれているもの。実は昆虫は、地球上の生物の割合の大部分を占めているのだそう。約5億年前のカンブリア紀に出現し、進化をする過程で、狩猟、農業、戦争、同性愛、クローン……どれも人間界社会の先をいっているのです。そこから私たちが学べることはあるのでしょうか。

数多くの文献をもとに興味深い知識が詰め込まれているので、読み込み要素抜群。小さな彼らの生き方を見て、あらためて人間界を考え直したくなる一冊です。

タマムシの生態と飼育がわかる観察記録

著者
芦澤七郎
出版日
2017-09-04

 

著者の芦澤七郎は、実際に自らタマムシの飼育もしている研究の第一人者。なんと専門の研究所を設立し、作成した標本を要望され韓国に寄贈したこともあるそうです。

とにかくタマムシ一筋の人物で、これまでに関連する書籍を3点発表。本書は、それらをまとめた統合版になります。

長年にわたる飼育は、試行錯誤の連続。時には驚きの発見があり、時には悲しい出来事があり、日々タマムシを中心に進んでいきます。彼のたっぷりの愛情も感じることができるでしょう。

育成と繁殖について知りたいのであれば、本書の右に出るものはありません。ペットにしたいと考えている方はぜひお手にとってみてください。

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