本作は、大島千春のグルメ漫画です。グルメと言っても、大仰な食材も、大変な下準備も必要ない、日々の生活を彩るちょっとした贅沢。頼子と巡、2人で暮らす生活に一手間かけた燻製が加わって、ほっと一息つく幸福な瞬間が描かれていきます。 ちなみに本作は、スマホアプリから無料で読むこともできますよ!ぜひご利用ください。
頼子(よりこ)と巡(めぐる)は、同棲中のカップル。2歳年上の頼子はカフェの店長、年下彼氏の巡はフリーターと、年齢的にも仕事的にも格差がありますが、2人の生活はまずまずです。
週に1度、日曜日だけが共通の休みである2人は、その日だけちょっとの贅沢で休日を楽しみます。特に最近は、燻製にご執心。今日も早速準備して……。
- 著者
- 大島千春
- 出版日
- 2014-08-20
本巻でご紹介したいのは、燻製たまご。まず茹で卵を漬け汁に浸して、一晩寝かせます。その後、卵は半日ほど乾かし、桜の燻製チップを敷いた燻製鍋の網に乗せたら、蓋をして30分で完成です。
作中では、燻した卵と蒸かしたジャガイモを潰して混ぜ、黒胡椒を加えたポテトサラダに。タマネギと、お酢と、マヨネーズを和えた特製タルタルソースというアレンジも披露されました。
漬け汁は市販のもので構いませんが、醤油、もしくはめんつゆと、みりんなどで好みに調整するのも、自家製燻製の醍醐味です。
美味しい料理に舌鼓を打つ2人。家族を持ちたいという頼子の願いはまだまだ叶いそうもない気配ですが、それでも楽しそうにご飯を食べる2人は、実に幸せそうなのでした。
2人暮らしをする頼子と巡。彼らのもとに、急な連絡が舞い込みます。海外留学していた巡の弟・季則(としのり)が帰国、遊びに来るというのです。
年下の彼氏がちょっぴり兄の顔を覗かせて、2人は少しだけ家族について思いを馳せるのでした。
- 著者
- 大島千春
- 出版日
- 2015-04-20
さて、そんな巡ですが、バイト先の都合でしばらく夜勤に。晩ご飯を1人で摂ることになった頼子は、放っておくと不摂生しがちな彼氏の食事事情を考えて、一工夫します。
それが、栄養たっぷり牡蠣オイル漬けでした。洗った生牡蠣をフライパンで火に通したら、そのままオイスターソースで下味を付けて、バットにあげて乾燥。熱燻鍋で1時間ほど燻して粗熱を取ったら、ニンニク、鷹の爪とともにオリーブオイルに漬けて完成です。
そのまま食べてよし、野菜炒めに混ぜてよし、炒飯の具材としてもよしと、抜群の美味しさです。
ちなみに巡は1日目はトーストにして、2日目は野菜炒め、3日目はチャーハンにして食べました。しかし3日目でどうせなら頼子と食べたいと思うのですが、それすらも見越してか、4日目の夜は頼子が……。
照り照りの牡蠣は、読者の食欲も刺激することでしょう!
頼子と巡は、休日を利用してバーベキューにくり出します。
以前、イカ釣りで仲良くなったアツシと純一を交えて、4人で野外での温燻に挑戦。普通のバーベキューとは、ひと味違った楽しみ方をするのでした。
- 著者
- 大島千春
- 出版日
- 2015-11-20
いつもは2人だけで過ごす休日ですが、友人達とのまったりした時間の中で、彼らは人と人の繋がりを再確認しました。
ここまではご家庭の深鍋でも出来る燻製料理でしたが、今回ご紹介するものはちょっと難易度があります。いつものお手軽なものではない、専用の燻製機が登場。その大きさだからこそ入れられる、タマネギをまるごと焼いた塊肉の燻製です。
じっくり2時間ほど燻したら、適度に切り分けて串に刺して、さらに炭火で炙り焼き。文字で見るだけでも美味しそうですね。燻製で深まる甘さと滋味が魅力です。
しかも、その後はさらに丸ごと燻した玉ねぎを十字に切り、間にバターを入れてアルミホイルで包んで網焼きに。その出来栄えは……!
カフェ店長の頼子、ゲームセンターのバイトの巡。休日前の2人は奇しくも、それぞれ別々の理由で落ち込んでいました。
2人に問題がなくても、生きていく限りは、なんらかの外的要因で鬱屈とした気分を抱えるもの。それを乗り切るためにも2人で美味しいものを作って、1日の終わりを楽しんでしまうことが必要です。
- 著者
- 大島千春
- 出版日
- 2016-05-20
ここで初の調理法が登場します。今回ご紹介するのは、刺身の「冷燻」です。氷を敷いた鍋に、氷に触れないようウッドチップをセットし、網の上に刺身を並べて、蓋をして待つこと15分で完成。
作中ではほんのり色と香りがついた刺身を、ご飯の上に刻んだ大葉とネギ、ミョウガとともに、和風だしをかけた燻製海鮮丼として描かれました。
刺身の生感と燻香が楽しめる贅沢な逸品。1日の疲れも吹っ飛びます。
カフェ店長である頼子には、バイトで気になる子がいました。しかし、その人物は世代のズレなのか、いまいち人となりが掴めません。巡は、若い子はそういうものだし、自分達にもそんな時があったと言います。
頼子は昔を振り返って、それでも今2人でいるこの時間を大切に思うのでした。
- 著者
- 大島千春
- 出版日
- 2016-11-19
たまに別々の時間を過ごしても、やっぱり一緒にいることがしっくりくる2人。
ここでご紹介したいのは、巡が珍しく1人で作ったバナナの燻製。水気を拭いた1本丸ごとを、10分という短時間で熱燻します。すぐ食べると何やらエグいらしく、巡はそのまま放置。
そこへ頼子が帰宅します。巡は燻したバナナを彼女に見せると、すぐに食べるとその匂いが軽減されているはずだと言い、買ってきたバニラアイスを添えて、チョコソースをかけて一手間。
アイスが独特のエグみを消し、逆にウィスキーのような酸味をもたらし、大人の雰囲気漂う高級スイーツに変身するのです。やっぱり2人で食べる料理が1番ですね。
巡が軽い腸炎にかかってしまい、バイトも休んで自宅療養中。頼子は彼を気遣いますが、自由に動けず収入も減って気が滅入る巡にとっては、その心配が過剰な干渉に感じられました。普段は気にならない年上年下の関係が、少し頭をもたげます。
しかし、その経験がまた1歩、素の2人を近付けたのです。
- 著者
- 大島千春
- 出版日
- 2017-06-20
療養で味気ない食事を続けていた巡が回復したので、頼子はなんとなく気まずい空気を解消するためにも、何か美味しいものを食べさせようと鶏肉を準備しました。脂が多い皮は、まだ治ったばかりの巡には悪いからとすべて取るのですが、その余った鶏皮で1品仕上げるのです。それが、鶏皮餃子。
中身は豚挽肉とニラというオーソドックスな種で、鶏皮で包んだそれを、継ぎ目を下にして焼くのがポイントです。そして、表面をカリカリに焼き終わったら15分熱燻。表面はカリッと香ばしく、中は薫り高く、ジューシーな燻製鶏皮餃子の出来上がり。
巡は病み上がりのため、おかゆメインで、鶏皮餃子は1個食べるのみですが、それで精神的にも元気になったようです。干渉しすぎず、適度な距離感を保とうと努力した頼子の作戦勝ちですね。
いつもは頼子と巡、2人だけの家に来客があります。イカ釣りから未だに交流が続く、アツシと純一です。あれからすっかり馴染んだ彼らは、2人の家でも気負うことなく寛ぎます。
いつもの家に、いつもと違う空気が流れる時間。頼子と巡は2人だけで精一杯だったのに、いつの間にか人を招く余裕が出来ていました。
- 著者
- 大島千春
- 出版日
- 2018-01-20
ちょっと変わった、2人の大人のおつまみ的レシピをご紹介しましょう。
ある日、巡の実家から差し入れが届きます。その中には、お隣さんから大量にもらったというトウモロコシが入っていました。それで何を作るかと考えた時に、居酒屋でよく食べるようなコーンバターが食べたいという話になったのでした。
茹でたトウモロコシの実をもいで、ベーコンと一緒に熱燻すること20分。出来上がったそれをフライパンで炒めて、たっぷりのバターを落とせば、燻製コーンバターの完成です。トウモロコシの甘さとベーコンの塩気、バターの濃厚な味が、燻製効果で1段階アップします。
こってりなコーンバターに、ハイボールという組み合わせ。ちょっとぬるめの風のなか、ベランダで夏のひとときを過ごす2人の姿には、大人になったからこそのよさを感じられます。
冬のある日のこと。頼子は、近所の町内会の催しに頭を抱えていました。接客業でありながら、どうにも私生活においては他人との付き合いが苦手なのです。それでも巡の一押しもあって、参加を決意する頼子。朝から納豆の燻製を作って、テンションを上げていきます。
そして2人は、休日朝からのゴミ拾いに参加。小さいけれど、地域と向き合う2人の着実な1歩です。
- 著者
- 大島千春
- 出版日
- 2018-10-20
ここまで基本的に、材料を燻製して一品にするレシピをご紹介してきましたが、出来合いの食べ物を燻製にしてもとても美味しいよう。2人は公園の食べ歩きフェスに行った際に、そこで売っているフランクフルトを燻製にするのです。
作り方は至って簡単。出来たてのフランクフルトを燻製器に入れて、燻すだけです。もちろん別の食材に変えてもOK。香りがついて、元々の味が引き立ちます。
いつでも和やかな2人ですが、どうやら倦怠期の予感。同棲カップルには避けては通れないこの問題を、彼らはどうやって乗り切るのでしょうか。
今後の2人の関係も気になる『いぶり暮らし』。次巻の内容も気になります!
いかがでしたか?燻製に挑戦してみたくなりませんか?今よりちょっと楽しい食生活がそこに待っていますよ。
読んでいてついついお腹が減ってしまう本作『いぶり暮らし』は、スマホアプリから無料で読むことが可能!ぜひ、こちらもご利用ください。