テーマは主人公の死に様!? 『北斗の拳』の過去を描いた『蒼天の拳』の第2部!人類の宝「希望の目録」を巡って、新たな旅が始まるのです。 原哲夫が原作に回った本作。アニメ化もした本作は、新たな担い手である八津弘幸脚本・辻秀輝作画が手がけています。この第2部は、いかなる結末を歩むのでしょうか。作品の魅力に迫ってみましょう。 ちなみに、スマホアプリから無料で読むこともできますよ!
混沌の魔都・上海での決着から、数年後。第2部の物語は、ここから始まります。
あのエリカ・アレントが、かつての幼さを潜め、美しい女性として成長した姿で登場。彼女はある事情からオランダ海軍の戦艦に拉致されていました。
- 著者
- ["辻秀輝", "原哲夫", "武論尊", "八津弘幸"]
- 出版日
- 2018-03-20
それはもちろん彼女だけが知る、彼女のなかにあるユダヤ人の遺産「希望の目録」を狙ってのことです。エリカの反抗的な態度に業を煮やした将校ボー・ボンネフェルトは、強硬手段に打って出ますが……そこへ霞拳志郎とヤサカが救出に現れるのです。
エリカを狙った黒幕がインドネシアにいることがわかると、彼らは打って出ることを決意。
北斗神拳と西斗月拳の新たな戦いが幕を開けるのでした。
『蒼天の拳』について紹介した<【無料】『蒼天の拳』魅力を最終回までネタバレ紹介!続編「リジェネシス」も>の記事もおすすめです。
第2部で『蒼天の拳リジェネシス』と改題しても、本作の主人公は変わらずに霞拳志郎のままです。
念のためにご説明しておきましょう。『蒼天の拳』は『北斗の拳』から遡ること数十年前(おそらくは30年程度)の話。霞拳志郎は、かの有名な北斗神拳伝承者ケンシロウの2代前、第62代北斗神拳伝承者です。
彼は、性格の方はケンシロウと違ってずいぶんワイルドかつ好戦的ですが、容姿は瓜二つ。父が先代伝承者、母が北斗劉家拳という一家揃って北斗の家柄です。
ケンシロウが北斗神拳宗家の血筋であることが明かされているため、彼らがよく似ているのは血縁関係があるからでは、と考えられています。
しかし、今のところ決定打となる描写は存在しません。もしかすると本作で描かれるかも……?ちなみにケンシロウの師リュウケンの本名は霞羅門といい、拳志郎の腹違いの弟に当たります。
「豪放磊落(度量が広く、大胆なこと)」を地で行く人物。『北斗の拳』のように世紀末世界ではないせいか、気ままに飲酒喫煙するところがケンシロウとの最大の違いでしょう。それが拳志郎のハードボイルドな魅力にもなっています。
それでいて非常に義理堅く、熱い男でもあります。一度友情の契りを結んだら決して裏切らず、何があっても絶対に味方につくのです。彼が「朋友(ポンヨウ)」と呼びかけるシーンには名場面が多いです。
『蒼天の拳』物語の序盤には、教師(教員免許を持っている?)をしていたからか、理知的で頭も回ります。そしてもちろん、北斗神拳は最終奥義「無想転生」まで含めて全て網羅。初登場時から常に強く、そういったところも魅力なのです。
「お前はもう死んでいる」の中国語版「儞已經死了(ニイイチンスラ)」が決め台詞。
2010年に終了した『蒼天の拳』再始動。約7年越しに復活した『蒼天の拳リジェネシス』は、ファンから熱い眼差しが注がれました。伝説がまた語られる、拳志郎に会えるという期待からです。
しかし、そこでちょっとした疑問が沸き起こりました。不安といってもいいでしょう。本作では原哲夫が原作に専念し、八津弘幸と辻秀輝という作家がそれぞれ脚本と作画を担当することがわかったのです。
ご存知のとおり原典『北斗の拳』は武論尊原作、原哲夫作画でした。『蒼天の拳』では武論尊は監修に回ったものの、作画は引き続き原哲夫のまま。劇画のようでそうでない、原哲夫の雄々しいまでの筆致が『北斗の拳』『蒼天の拳』に共通したエッセンスでした。
そんな原哲夫でなければ『蒼天の拳』第2部の物語を描くことは出来ないのではないか?そういった疑問が起こるのは当然です。
ところが蓋を開けてみれば、疑問は杞憂でしかありませんでした。原哲夫に勝るとも劣らない迫力ある描写がところ狭しと描かれたのです。それもそのはず。辻秀輝は、原哲夫の傍で長年アシスタントを続けていた人物なのです。八津弘幸も漫画原作から映画、テレビの脚本も務めてきた熟練者。
この新たなコンビが描き出す『蒼天の拳リジェネシス』は、原作のクオリティにまったく引けを取りません。
『蒼天の拳リジェネシス』でもっとも注目すべきなのは、連載当初から掲げられているキャッチフレーズ「原哲夫が初めて主人公の死に様を描く」という点。魔都上海編で終わった物語が再開したと思ったら、それは終わりへ至る物語だったのです。
確かに衝撃的ですが、思い返してみれば不思議ではないかもしれません。『北斗の拳』でケンシロウやトキ、ラオウなど、彼らの修業時代のどの場面にも62代伝承者霞拳志郎の姿はありません。そもそも、北斗4兄弟の師匠は63代目のリュウケンです。
北斗神拳が一子相伝であることを考えると、拳志郎は亡くなっていると考えるのが自然でしょう。
あまりにも強い主人公の拳志郎が、いかにして死すのか。彼には朋友との篤い友情があることを考えると、その死にざまが涙なくして見られないのは想像に難くありません。
『北斗の拳』『蒼天の拳』はともに「男の生きざま」を描いた物語だったといえます。それがあえて方向性を変えて「主人公の死に」を描くということは、シリーズを総括する重厚なストーリーが語られていくと考えられます。今後『蒼天の拳リジェネシス』から目が離せません。
本作は漫画とアニメで、多少内容が違うものとなっています。それは、公式サイトでも発表されているのです。アニメだからこそ表現できるバトルシーンの迫力など、演出面には特に力を入れている様子。
特に注目したいのは、作画を担当している原哲夫のコメント。導入部分やエンディングなど、細かいところまでかなり気合いを入れて取り組んだそう。さらにエリカや飛燕、ヤサカの活動も多く描かれているようで、ここも要注目です。
また漫画版と違い、エリカは子供のままで物語が進んでいくそう。ここだけでも、漫画とは違った面白さを味わうことができそうです。
「希望の目録」をその身に持つエリカは、インドネシアにいる何者かに狙われていることがわかりました。かつての飛燕の諍いを越え、絆で結ばれた拳志郎、ヤサカ、エリカは新たな舞台インドネシアへと旅立ちます。
しかし、気がかりが1つありました。エリカを襲うよう命じられたオランダ軍ボー・ボンネフェルトが、黒幕のヒントを語っていたのです。
彼は黒幕が、エリカと同じ血筋の一族の追うだと言ったのでした。
- 著者
- ["辻秀輝", "原哲夫", "武論尊", "八津弘幸"]
- 出版日
- 2018-03-20
エリカは虐殺されたユダヤ人の生き残り。血の繋がった家族も、もはやいないはず……。ボンネフェルトはその後、仕込まれていた謎の拳技で口封じされました。
エリカを狙ったのは何者なのか?血の宿命に導かれる物語がどこへ向かうのか?アニメ版『蒼天の拳REGENESIS』とも異なる『蒼天の拳』第2部が幕を開けます。
オランダ軍大佐ファン・デル・コールとの激戦。相手の傷を腐食させて自身の傷を治すという無敵とも思える拳法を使う敵に、拳志郎は苦戦を強いられるのです。
果たして、勝負の行方は……?
- 著者
- 辻秀輝
- 出版日
- 2018-11-20
拳志郎の激闘が見所の本巻。コール大佐は「魔法の拳」とのいわれる手で、拳志郎の腕を攻撃します。すると、彼の腕はみるみる毒に侵食されていくのです。咄嗟に肉をえぐって対処する彼ですが、かなりの苦戦を強いられていくのでした。
これぞまさに創生(リジェネシス)!
私に傷は無意味だ。
(『蒼天の拳 リジェネシス』2巻より引用)
このように発言する相手に対して、彼はどのように立ち向かっていくのか必見です。
また、エリカと同じ血筋の一族の目的は明らかになるのでしょうか?ますます目が離せません。
辛くも、ファン・デル・コール大佐を退けた拳志郎一行でしたが、休む間もなく次の戦いへと巻き込まれていきます。
深手を負ったヤサカの傷を癒すために立ち寄った街で、今度は秘密結社ジェネシスの刺客が襲い掛かってきたのです。ファン・デル・コールと同じく天斗聖陰拳を操る刺客との戦いが始まります!
- 著者
- 辻秀輝
- 出版日
- 2019-07-20
3巻は、秘密結社ジェネシスの刺客3人衆との戦いから始まります。
しかし、彼らは拳志郎とヤサカにとって敵ではありません。先の戦いで満身創痍のヤサカでしたが、覚醒した西斗月拳の力を武器に刺客を次々に蹴散らしてしまいました。
そして拳志郎一行は、エリカを執拗に狙う秘密結社ジェネシスのもとへ殴り込みにいくことを決意します。
そんな今巻の見どころは、なんといってもエリカの成長。
「私のせいでみんながこんなことになっているのに
ただ待っているなんてできない」
(『蒼天の拳 リジェネシス』2巻より引用)
渦中のエリカは、ただただ守られているだけではいけないと、自ら覚悟を決めたのです。
「それに…知りたいの 私の知らない私を……」
(『蒼天の拳 リジェネシス』2巻より引用)
自身も知らない自分を知るために、エリカも拳志郎達についていくことを決心し、彼らの旅がまた始まります!
いかがでしたか?第1部の勢いそのままに始められた『蒼天の拳リジェネシス』。宿命の争いがどう帰結するのか、見守りましょう。