5分でわかるクワガタ!生態や種類ごとの特徴、飼育法、採集法などを解説!

更新:2021.12.11

カブトムシと双璧をなす夏の人気昆虫、クワガタ。近年では、図鑑でしか見ることができなかった外国産の種類を購入することもできるようになりました。この記事では、彼らの生態や種類ごとの特徴、飼育方法、採集方法などをわかりやすく解説していきます。またおすすめの関連本も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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クワガタの生態は?体の特徴や寿命など

甲虫目カブトムシ亜科クワガタムシ科に分類される昆虫です。世界におよそ1500種類も存在し、日本国内で見られるのはそのうちの40種類ほどといわれています。

樹皮の裏に入り込めるような薄い体と、オスのみが鋏のような立派な大顎を持つことが特徴です。「クワガタ」という名前は、この大顎の形が戦国時代に武士が身に着けていた兜飾り「鍬形」に似ていることから付けられています。

オスは繁殖期に入ると、大顎を使ってメスをめぐる命をかけた激しい戦いをくり広げます。ただすべてのオスが発達した大顎をもつわけではなく、マメクワガタのような小型の種類はオスもメスも外見上の差がほとんどありません。

卵は地中で孵化した後、1令幼虫、2令幼虫、3令幼虫と脱皮をくり返して大きくなります。その後に前蛹という準備段階を経て蛹になり、気温が上がってくる4~6月頃に成虫となって地上に出てきます。

孵化した時期によって3令幼虫まで成長することと2令幼虫までしか成長しないことがあるため、幼虫でいる期間には多少のバラつきがありますが、成虫になってからの寿命は平均で数か月~半年です。オオクワガタのような大型の種類は2~3年生きることもあります。

 

クワガタの種類ごとの特徴を紹介

確認されているだけで1500種類ほど存在します。では日本国内で自然採取が可能な代表種と、ペットショップなどで購入できる外国種を紹介しましょう。

ノコギリクワガタ

体長はオスが25~75mm、メスが25~40mmほど。北海道から九州、種子島、屋久島、対馬、朝鮮半島に生息しています。幼虫の時期は朽ち木の地下部分で根を食べながら育ち、土中で蛹になります。

八丈島にのみ生息するハチジョウノコギリクワガタは、後ろ翅があるものの飛ぶことができず、這って移動をするそうです。

ヒラタクワガタ
体長はオスが23~80mm、メスが20~45mmほど。本州から南西諸島、伊豆諸島、朝鮮半島、マレーシア、インドネシア、フィリピンとアジアの広い地域に分布しており、生息地ごとに異なった外見や生態をしています。たとえば関東に生息するヒラタクワガタは夜行性ですが、九州に生息するものは昼間も活動するそうです。

日本国内で姿を見られるほとんどがヒラタクワガタの仲間です。

ミヤマクワガタ
体長はオスが30~80mm、メスが25~45mmほど。北海道から九州、伊豆諸島、台湾、朝鮮半島、中国と広い範囲に生息していて、国内の生息数も比較的多い種類です。夜行性が多いクワガタのなかでは珍しく昼間も餌を求めて活動することがあります。

大顎の付け根の歯が大きいものを「富士型」、小さいものを「蝦夷型」と呼び、生息地で大きさや体形が異なります。

ニジイロクワガタ
体長はオスが35~70mm、メスが25~40mmほど。オーストラリアやニューギニア島に生息しています。名前のとおり虹色に輝くメタリックな体色をしています。

オーストラリア地域にはほかにも、アウラタキンイロクワガタやパプアキンイロクワガタといった美しい姿をした種類を見ることができます。

コガシラクワガタ
体長はオスが33~90mm、メスが25~35mmほど。チリやアルゼンチンなど温帯地方の森林に生息していて、メタリックな体色と小さな頭、蜘蛛のような長い足が特徴です。

寒い時期にも活動し、チリでは12月にも成虫が樹液を求めて集まる姿が確認されています。

 

クワガタを飼育したい!販売価格やエサ、冬眠などを解説

ペットとして飼育をする際の入手方法は、自分で採集する方法と、ペットショップなどで購入する方法があります。採集するメリットは、メスであればすぐに産卵してくれる可能性があること、購入するメリットは羽化した時期がわかっているので寿命の目途がつきやすいといったことが挙げられるでしょう。

購入する場合の値段は、国産のオオクワガタのペアで4000円程度です。体長が大きいほど高値で取引される傾向にあります。ヒラタクワガタはペアで3000円程度、ノコギリクワガタはペアで1000~2000円程度が相場です。

外国産のものは比較的安いですが、ニジイロクワガタはペアで5000円前後、オウゴンオニクワガタはペアで1万2000円程度と高価な種類もあります。

成虫を飼育する際は、虫かごなどの飼育ケース、くぬぎの朽ち木などで作られた昆虫用マット、止まり木、餌である昆虫ゼリーと餌置き場を用意する必要があります。昆虫ゼリーは大小さまざまな種類があるので、個体の大きさに合ったものを用意しましょう。

ほとんどの種類は越冬しないため11~12月ころに寿命を迎えます。ヒラタクワガタの一部とオオクワガタ、コクワガタなどは、冬を越す場合は冬眠に入ります。

マットの下に潜り込み、ほとんど動かなくなりますが、まれに地上にあがってくることもあるので冬眠中も餌は準備しておきましょう。またマットが乾燥している場合は、霧吹きで保湿してあげてください。3~4月頃になると、冬眠を終えて地上に出てきます。

 

クワガタを採集してみよう!場所や時期、方法を紹介

成虫の姿をもっとも多く見ることができるのは6~8月です。自分で採集する場合は、この時期を狙いましょう。雑木林や公園など、樹木が多く昼間でも日が差し込まないような湿度の高い場所がおすすめです。種類ごとに好みの樹木が異なります。

コクワガタ:クヌギ、コナラ、椎
ノコギリクワガタ:クヌギ、コナラ、椎
ミヤマクワガタ:クヌギ、コナラ
ヒラタクワガタ:クヌギ、コナラ、椎
ヒメオオクワガタ:柳
アカアシクワガタ:柳、ナラ

昼間は樹木の中で寝ているため、樹の幹を蹴ると眠っていた個体が落ちてくることがあります。コクワガタやノコギリクワガタは、この方法で比較的簡単に採集することができるでしょう。

生息数が少ないオオクワガタを狙う場合は、昼間のうちにあらかじめ樹木の目星をつけ、夜間に採取するのが効率的です。懐中電灯を持っていき、樹液が出ている樹木の節を照らして細い棒で奥をつついてみましょう。表面にはいなくても、内部に隠れている個体が出てくることがあります。

ただ1度の採集では見つけられない場合もあるので、場所や時間を変えながら何度か足を運んでみてください。

 

夏の2大昆虫のすべてがわかる図鑑

著者
安藤“アン"誠起
出版日
2017-06-30

昆虫界の2大スターともいえるカブトムシとクワガタムシ。本書では、日本に現生している種類を中心に迫力のある写真を用いて紹介しています。

繁殖の方法や幼虫の育て方など他の飼育書には深く取りあげていないこともディープに解説しています。たとえばクワガタは、マットで育てた方が大きくなる幼虫と菌床を使った方が大きくなる幼虫がいるそうです。卵を産み付けるために使う産卵木の作り方も知ることができます。

自分で採集する場合の仕掛け餌の作り方や、標本の作り方の説明もあり、さまざまな経験に役立てることができるでしょう。

 

クワガタの生態がわかる絵本

著者
["高家 博成", "仲川 道子"]
出版日
2001-06-25

日本で姿を見ることができるいくつかの種類のクワガタたちが、誰が1番力が強いのか競うというストーリーの絵本です。相手を威嚇しようと仰け反ってひっくり返るなど、生態に則した描写しているのが特徴です。

飼育をする場合は基本的にひとつのケースに1匹を入れて飼うことになるため、クワガタ同士の力比べを見る機会はあまりないのではないでしょうか。本書では、同じクワガタでもさまざまな種類がいることが分かります。小さなお子さんでもクワガタたちの大きさをイメージしながら楽しめるでしょう。

 

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