5分でわかるミミズクの生態!トトロのモデルだった?耳や飼育法なども解説!

更新:2021.12.11

大型の種であれば、キツネや鷹など自分よりも大きな獲物でも単独で狩ることができる「ミミズク」。優秀なハンターで獰猛な猛禽類でもある反面、知性や神秘性を感じさせる外見が魅力です。この記事では、そんな彼らの生態や、「耳」と呼ばれる部分について、飼育方法、トトロのモデル説などを解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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5分でわかるミミズク!フクロウなの?大きさなど生態を紹介

フクロウ目フクロウ科に分類される鳥類です。実は分類学上はフクロウとまったく同種で、英名は「owl」に統一されています。つまり両者は独立した種類ではなく、ミミズクはフクロウの一種なのです。

大きさは種類によってさまざまです。アフリカオオコノハズクのような体長20cm前後、体重125~275g、翼開長50cm前後といった小型のものから、シベリアワシミミズクのように体長65~75cm、体重1500~4200g、翼開長165~188cmという大型のものまで存在します。ワシミミズクの仲間は鷹を捕食することもあるそうです。

基本的には肉食性で、夜間に狩りをおこないます。真っ暗な夜の森での狩りを可能にしているのが、大きな瞳です。ミミズクの網膜は色彩を感知する「錐状体(すいじょうたい)」という細胞が乏しい代わりに、物体の形状や立体視をする「杆状体(かんじょうたい)」が非常に発達していて、暗闇のなかでも獲物の大きさや位置を正確に把握できるのです。

また寒い地域に生息する種は、密な正羽で体が覆われているだけではなく、皮膚と正羽の間に体温を保温するための綿羽がびっしり生えていて、これによって平均的な鳥類のおよそ30%も体温調節に費やすカロリーをセーブできるといわれています。

この羽のつくりは狩りの際にも役に立っており、体を覆う羽毛が柔らかいことから獲物を襲う時も羽音が立たず、捕食対象に気付かれにくいようになっています。

 

ミミズクの耳は耳じゃない?

日本ではフクロウとミミズクを呼び分ける際に、頭部が丸いのがフクロウ、頭部に耳のようなものがついているのがミミズクとしてきました。

名前の由来にもなっており、「耳があるからミミズク」と思いがちですが、実は彼らの頭部についているのは耳ではありません。「羽角(うかく)」と呼ばれる羽毛の束なのです。

実際の耳は、羽毛に覆われているためわかりづらいですが、他のフクロウと同じく頭蓋に穴が開いているだけです。右耳は目の横付近、左耳は嘴のやや上のあたりと左右非対称の場所にあります。

この耳の構造も狩りをする際に役立っています。右耳は上からの音、左耳は下からの音を敏感に拾うことができるので、音が立体的に聞こえ、発信源までの距離を正確に把握することができるそうです。なんと彼らは、聴覚のみでも獲物の位置をわずか6%の誤差まで突き止めることができるとされています。

 

ミミズクはペットにできる!販売価格や餌、鳴き声など飼育法を紹介

ミミズクはペットとして飼育をすることが可能です。専門のショップなどで探すとよいでしょう。

販売価格は、小型のコノハズクなどでおよそ20万円前後、大型のワシミミズクなどは25万円からと、鳥類のなかでは高額です。

ミミズクを含むフクロウは、海外でブリーディングされているものが大半であるため高くなりやすいそうです。購入時のレートによって価格が左右されやすい特徴もあります。

ケージは狭すぎるとストレスが溜まってしまうので、なるべく購入前の大きさに揃えてあげるとよいでしょう。運動は室内での放鳥で充分なため、無理に外に連れ出す必要はありません。飼い主の元に戻ってくるようにしっかり調教すれば、屋外で自由飛翔させることも可能ですが、神経質な個体も多いために係留中に暴れて怪我をさせないよう注意が必要です。

餌は、小型種であればヒヨコやウズラなどの肉や、コオロギなどの昆虫も食べます。大型種の場合は、ヒヨコ、ウズラ、ラットなどを与えましょう。

コノハズク以外のミミズクの鳴き声は、フクロウと同様に低音で、時には2km先まで届くほどの音量で鳴きます。繁殖期には叫び声のようなものをあげることもあるので、騒音対策が必須でしょう。

唯一、コノハズクは「ブッポウソウ」と美しい声で鳴きます。この鳴き声は長い間、森の宝石とも呼ばれるブッポウソウという鳥のものであると考えられてきましたが、1936年にコノハズクの声であることが判明しました。

 

ミミズクはトトロのモデルだった⁉

スタジオジブリの代表作のひとつである「となりのトトロ」。国や世代を超えて高い人気を誇っていますが、実はミミズクがトトロのモデルになっているのではないかという説があります。

その根拠となるのが、劇中では使われなかったものの、初期設定では大トトロに「ミミンズク」、中トトロに「ズク」、小トトロに「ミン」という名前が付けられていたこと。彼らの頭部のシルエットを見ても、ミミズクのそれに近い印象を受けるでしょう。

ただ映画公開時のパンフレットに掲載された宮崎駿のインタビューには、「トトロの本当の名前は誰も知らない」とあることから、断言することは難しいようです。

その他、動物のチンチラ、北欧神話に登場する森の妖精トロール、クトゥルフ神話に登場するツゥトゥグアという邪神などがモデルの候補として挙がっています。

 

美しくてかっこいい写真集

著者
マリアンヌ・テイラー
出版日
2014-08-18

イギリスにある野生フクロウの保護施設にて撮影した、36種のフクロウのポートレートを載せた写真集です。

ページを開の向かって右に真っ黒な背景に佇むフクロウの写真、向かって左に名称、生息地、狩りの仕方や鳴き声などの基本的なデータをまとめています。生態などもしっかりとわかるため、図鑑として楽しむこともできる1冊です。

野生下のフクロウやミミズクを撮影しているわけではありませんが、余計なオブジェクトを一切排除した写真になっており、しっかりと個体を観察することができるでしょう。

また、実はDNAを見るとフクロウはオウムに近いという豆知識や、狩りの時に発揮される感覚機能の鋭さなどを解説した部分も興味深く、彼らを知るための入門書としてもおすすめです。

 

ミミズクやフクロウの飼育方法を解説するガイド本

著者
藤井 智之
出版日
2015-08-03

美しい写真とともに、日本国内でペットとして飼うことができるフクロウやミミズクの紹介や、飼育方法を解説しているガイド本です。

かわいくて一緒に暮らすと楽しいというプラスの面だけでなく、係留の方法や冷凍ウズラやヒヨコをどのように餌として与えるのかなど、肉食の猛禽類との暮らしについてしっかりと解説しています。

初心者向けの種類も紹介していますが、それでも攻撃力の強さや、扱い損ねた場合に飼い主が負う怪我などの注意点があり、やはり生半可な気持ちで飼うことはできないと実感するでしょう。

飼育をしている方はもちろん、飼育をしようか検討している人にもぜひ読んでいただきたい1冊です。

 

体を木の枝のように細くできるコノハズクの姿が話題になり、ペットとしても注目されるようになったミミズク。ただインコなどの鳥類とは異なり、飼育をする際には相当の覚悟と準備が必要な生物でもあります。飼育が難しい方は、紹介した本でその美しい姿を堪能してみてください。

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