戦国を舞台に、虫由来の特技を活かした異能で戦う忍者たちのバトルが魅力の作品。主人公のくノ一を筆頭に、美しくも強力な力を持った忍たちが、それぞれの目的のために命を賭けて戦うのです。くノ一の戦いらしく、色香を駆使した攻防によるセクシーな展開もある本作。その魅力を、ネタバレ紹介していきます。 本作はスマホアプリから無料で読むこともできるので、ぜひそちらもご利用ください。
京都にある遊郭を訪れた1人の侍、「半坐」。彼は童貞を捨てるために訪れたその遊郭で、「鱗」という美しい女性と出会います。
行為におよぶ前の耳かきの最中、そんな彼女を殺そうとする甲賀忍者の刺客が現れました。なんと彼女は甲賀の忍であり、追手から逃れるために、身を隠していたのでした。
そんな彼女の首元に当てられた刃が引き抜かれようとした、その時。半坐は手持ちの大刀を刺客に向けて振り下ろし、自らも伊賀の忍であることを明らかにするのです。
身分を偽り、敵、そして味方をも欺き、戦い続ける忍たちの物語が、今始まります。
- 著者
- 村田真哉
- 出版日
- 2018-01-25
本作は「アラクニド」「キャタピラー」の作者である村田真哉の作品であり、これらの作品の前日譚ともいえる内容です。そのため、虫を強調した能力バトルという点など、主要な部分は共通しています。ちなみにこれらの作品もスマホアプリで無料で読めます。
各キャラクターにはそれぞれ虫のあだ名が割り当てられており、その虫に応じた特性の能力を有しているのです。
『アラクニド』については<『アラクニド』が無料!昆虫×エログロ漫画の魅力徹底紹介!【ネタバレ注意】>の記事で紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。
- 著者
- 村田 真哉
- 出版日
- 2010-07-22
各キャラクターが能力を使う際には、それぞれの虫についてしっかりと解説がされているので、特技についての説得力も抜群。そのため、読み手としては展開をすんなりと受け入れる事ができ、読後感のモヤモヤがほとんどないまま読み進める事が出来るのです。異能バトル漫画としては、有難い魅力ですね。
また本作の舞台は戦国時代であるためか、誰も彼もが他者の命を奪う事に対して、あまり躊躇がありません。そのため、殺し合いについてはかなりドライで、騙し騙されの展開もスピーディーで、スムーズに展開が進むのです。
だからといって、肝心の戦闘もあっさりと味気なく終わってしまうのかといえば、そんなことはありません。かっこよく決めるべきシーンではしっかりと決め、凄惨で強烈なインパクトを残すべきシーンでは、きっちりグロテスクな描写を用いています。
ディープでショッキングなシーンにこそ魅力を感じるという読者の期待にも、しっかり応えられる内容だといえるでしょう。
先述のとおり、本作の舞台は戦国時代となっています。そのため、その時代ならではの出来事や人物とも絡んだストーリーが展開されていくのです。
そもそも冒頭から登場する半坐は伊賀の忍ですし、鱗も甲賀の忍です。いずれも戦国時代を代表する忍軍の代名詞といえます。歴史上の天下人の背後には、必ずといっていい程に、彼ら忍者の姿があったといわれているのです。
そして主人公の鱗は、なんと、かの織田信長に仕えた忍であったことが作中で語られます。当然、同じ時代を生きた徳川秀吉や明智光秀といった人物も、現時点では名前だけですが登場し、物語に関わってくるのです。
特に信長については、鱗の人生に大きな影響を与えた人物として、作中に登場。日本の歴史上でも例を見ない程の変わり者として名高い彼ですが、そんな快男児ぶりがありありとわかるシーンなどは、フィクションでありながら、さすが信長!と思わせる説得力に満ちています。
戦国時代特有の魅力のなかに、本作の設定を見事に絡める事で、作品の世界観の深みをグッと引き立たせているのです。歴史好きの方にもおすすめの内容といえるでしょう。
ここからは、本作のコミックス各巻の内容についてご紹介していきましょう。まずは鱗と半坐が出会い、それぞれの目的を達成するために行動をともにし始める、第1巻です。
- 著者
- 村田真哉
- 出版日
- 2018-01-25
本巻はあらすじに書いたとおり、鱗と半坐が遊郭で出会うところから始まります。実はお互いに甲賀と伊賀の忍者であることがわかり、甲賀の追手を退けた一件から、それぞれの目的のために行動をともにする事になるのです。
そんな2人の前には続けざまに甲賀の追手が現れ、次々と襲い掛かってきます。なんと彼らの狙いは、鱗が隠し持っている信長の首だったのです。
ひょんな事から信長の首争奪に巻き込まれる事となった半坐は、鱗と交わるまでは行動をともにし続けると宣言。童貞を捨てるために付き添う事となったのでした。
命の危機に瀕しながらも、協力して追手を退けていた2人ですが、その前に今度は伊賀忍者が現れます。身構える鱗でしたが、そんな彼女に対し、半坐は思いも寄らない行動を起こすのでした。
そんな本巻の見所は、鱗が信長との思い出を語るシーンです。かつて信長を暗殺するために刺客として送り込まれた彼女が、信長という男の偉大さに心惹かれ、いつしか本当の忠心に目覚めるのです。
そんな2人のやり取りは、殺伐とした本作の雰囲気のなかでもひと時の安息を与えてくれます。読後感も爽やかなエピソードといえるでしょう。
まさかの展開が続く、第2巻。
前巻のラスト、半坐の思いも寄らない裏切りによって、伊賀忍者に捕らえられてしまった鱗は、恐るべき拷問部屋へと放り込まれてしまいました。まさに、絶体絶命の状況に陥ってしまいます。
- 著者
- ["村田真哉", "速水時貞"]
- 出版日
- 2018-06-25
そんな彼女を救い出したのは、なんと裏切ったはずの半坐でした。1度は使命のために彼女を裏切ったのですが、彼自身のお人好しな性格によって、彼女を助けずにはいられなかったのです。そして拷問部屋から脱出した2人でしたが、今度は甲賀だけではなく、伊賀からも追われる事となってしまいます。
いずれも虫をモチーフとする忍術を使う、手練れの忍達。実力揃いの彼らを相手に、2人は無事、信長の首を守り切る事が出来るのでしょうか。
そんな本巻の見所は、やはり半坐が鱗を救い出すシーンでしょう。伊賀の忍としての目的のために、鱗を裏切った半坐でしたが、そこはやはり主人公らしく、ヒロインを救うために颯爽と駆け付けます。
もちろん忍者同士の戦いですので、味方同士であっても裏切りは常だといえるでしょう。
それでも半坐という男の心が、鱗に対する裏切りを許すことが出来なかったのです。これは、残酷な本作の世界観のなかでも、一筋の光明に思えます。
少年漫画の主人公らしい、真っすぐな彼に、今後も注目です。
いかがでしたか?歴史×異能のバトル漫画『蝶撫の忍』の魅力を紹介しました。グロテスクなシーンも多い本作ですが、半坐のヒーローらしい性格もあって、読みやすい作品となっています。今回の記事で興味を持った方は、実際に手に取ってお確かめください。
アプリから無料で読めるので、ぜひそちらもご利用くださいね。