5分でわかるゾウリムシ!繊毛や収縮胞などの特徴や構造、培養方法を解説

更新:2021.8.2

肉眼では見えない小さな世界に棲むゾウリムシ。単細胞生物ですが、驚くべき能力をもっています。この記事では、彼らの生態や特徴、繊毛、収縮胞、培養方法などをわかりやすく解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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ゾウリムシの特徴は?色や大きさ、体の構造など

その名のとおり、草履のような楕円で平たい形をした繊毛虫です。英語名は「slipper animalcule」といい、「slipper」を「草履」と訳したことからこのような名前がつきました。繊毛虫門ゾウリムシ目ゾウリムシ科に分類されます。

大きさは0.1~0.2mmほどと非常に小さく、肉眼ではっきりと姿を捉えるのは難しいでしょう。しっかりと観察するには顕微鏡が必要です。色は乳白色で、やや茶色がかっているものもあります。

私たち人間の体は何十兆という膨大な数の細胞によってできていますが、ゾウリムシはひとつの細胞で生きている「単細胞生物」です。ただ細胞の数が少ないからといって生物的に劣っているわけではなく、むしろひとつの細胞で消化や排出、移動などの機能を兼ね備えている複雑な構造をしています。

主な生息地は川や田んぼ、池などの淡水で、エサは自身の体よりも小さなバクテリアです。天敵は小さな魚や大型のアメーバなどです。

 

ゾウリムシの「繊毛」について

彼らを顕微鏡で観察すると、体中に毛が生えているのを確認することができます。これは「繊毛」といって、規則性があり、なんと約3500本も生えているそうです。

哺乳類における体毛のようにも見えますが、役割はまったく違います。ゾウリムシは繊毛を動かすことによって水中を移動しているのです。障害物にぶつかると、遊泳する方向を変えることができる機能をもっています。

塩化ニッケルという金属イオンに触れると動かなくなるので、顕微鏡などで観察をする場合に用いることが多いです。

繊毛は抜き取ることも可能で、ゾウリムシが生きていれば約1時間ほどで再び生えてきます。

 

ゾウリムシの「収縮胞」について

ゾウリムシの体には「収縮胞」という器官があり、これを開いたり閉じたりすることで浸透圧を調整しています。

浸透圧とは、濃度が異なる水分が同じ環境にあった場合、全体を一定の濃度に保とうとして水分子が移動することです。

淡水に住むゾウリムシは、自身の体内の水分のほうが体外の水分よりも浸透圧が高いので、体外の水が絶えず浸透してくる状況にあります。そこで収縮胞を使って体内の水分を外に排出しているのです。

たとえば淡水にいる個体の収縮胞が1分間に10回の収縮をしていたとします。同じ個体を食塩水に入れると、体外の水分の濃度が上がったので排出する水分量は少なくてよく、収縮の回数は1分間に7回ほどに減ることが確認できるでしょう。

 

ゾウリムシの培養方法を解説

ゾウリムシは分裂によって個体数を増やす「無性生殖」をおこないます。個体差はあるもののなんと700回も分裂することができるそうです。回数の限界に達すると細胞は死滅します。

ここで注目したいのが、彼らは接合と呼ばれる「有性生殖」もできるということです。この方法であれば異なる遺伝子を褂け合わせることが可能で、分裂の回数をリセットすることができます。

このようにしてゾウリムシは個体数を増やすことができるのが特徴です。人間の手によって環境を整えてあげるとどんどん培養することができるので、メダカなどを飼育している人が生餌として活用することもあります。

培養方法は簡単です。元ととなるゾウリムシと、エサとなる米のとぎ汁をペットボトルに入れ、20度前後の場所に置いておくだけです。光を当てる必要はありません。気温の変化が少ない場所に置いておくとよいでしょう。酸素は必要なので、ペットボトルの蓋は強く締めすぎず、緩めておいてください。

数日経つと、水面に膜のようなものが見えてきて、ゾウリムシが増えたことが確認できるでしょう。

 

もっと知りたいゾウリムシ!面白さがいっぱいのおすすめ本を紹介

おもわず微生物にときめく1冊

著者
出版日
2016-08-12

ゾウリムシをはじめとした微生物は、私たち人間とはかけ離れた存在のように思えるかもしれませんが、実際はあらゆる生物の基本構造に繋がるヒントが隠されているのです。

本書には多種多様な微生物の写真が収められていて、ミクロの世界を堪能できる1冊となっています。眺めているだけでも楽しいですが、合間に挿入されているコラムも必見です。堅苦しい解説ではなく、さまざまな切り口から微生物の魅力を綴っています。

肉眼では見ることのできない微生物の世界に触れてみてください。

 

ゾウリムシをはじめとしたミクロの生物たちを網羅した図鑑

著者
日本プランクトン学会 監修
出版日
2011-11-05

ゾウリムシやプランクトンのことを学ぶなら、本書を読めば十分といえるほど充実した内容の図鑑です。カラー写真が多く、めったに見ることのできない貴重な種も掲載しています。肉眼では見ることができないのが残念に思うほど、美しい微生物の姿に驚くでしょう。

さらに子どもでも興味をもてるようかわいいイラストをつけたり、実際に観察できるよう採集方法や顕微鏡の使い方も載せています。基礎知識を押さえつつ、エンターテインメント性もある1冊です。

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