公園や家の庭先などで見かけるカナヘビ。日本列島本土全域で見ることができ、その身近さから、教室で飼育している小学校もあるようです。よく見るととってもかわいらしい顔つきをしていて、ペットにすると懐いてくれることもある生き物です。この記事では、彼らの生態や種類、飼育方法、卵の孵化のさせ方、よく似ているトカゲとの違いなどを解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
トカゲ亜目カナヘビ科に分類される爬虫類です。「カナヘビ」と呼ばれますが日本にいるトカゲの代表種です。手足はありますが体がヘビのように細長く、体色が金属のような色をしているということから名付けられました。
国内での分布は広く、北海道から九州まで全国に生息しています。体長は20cm前後で、そのうちの3分の2ほどを尾が占めているのが特徴です。
自然の多いところはもちろん、庭先の壁などをちょろちょろと登っている姿も見ることができ、比較的人間の暮らしに身近な生物だといえるでしょう。
日本の固有種として知られているのが、「ニホンカナヘビ」です。体色は灰褐色で土の色によく馴染んでいます。
国外では、「ホウセキカナヘビ」という宝石のように鮮やかなエメラルドグリーンの体色をして80cmほどまで成長する種類や、「コモチカナヘビ」というヨーロッパ北部やロシア、北海道の一部など寒い地域に生息する種類も存在します。
寿命は5~7年ほどです。なかには10年ほど生きる個体もいるようです。
人に害を与えるような攻撃性もなく、毒ももっていないので、飼育をするのに適した爬虫類だといえるでしょう。自分で捕まえることもできますし、ペットショップなどで800~1000円ほどで購入することもできます。
ケージは、体の2~3倍の大きさのものを選びましょう。土を敷いて草を植え、流木や木の枝でカナヘビ用のアスレチックを作ってあげると喜びます。
餌は芋虫やハエ、コオロギなどが好物。ペットショップでこれらの生き餌を買うことができます。
注意をしたいのは、日光浴と水分管理です。カナヘビは太陽が大好きなので、週に3回くらいは日差しが強すぎない時間帯に外に出し、日光浴をさせてあげてください。
また水もよく飲むので、水飲み場を作り、常に綺麗な水がある状態にしましょう。ケージ内の土が乾燥してきたら、霧吹きで湿らせるのも大切です。
複数で飼う場合、ストレスの溜まる環境だと共食いをすることがあるので、餌の量などに注意が必要です。
飼育をしているカナヘビが卵を産んだり、あるいは卵をもらったりした場合は、ぜひ孵化に挑戦してみてください。赤ちゃんから丁寧に育ててあげると、驚くほど懐いてくれるのです。手の上に乗せて戯れることも夢ではありません。
卵を扱う場合のポイントをいくつか紹介します。
まず上下の確認が大切です。逆さまになってしまうと、中のカナヘビが窒息死してしまう恐れがあります。産み落とされた時点から動かしていなければ、その状態が正しい位置です。マーカーなどで殻に印をつけておくとわかりやすいでしょう。
カナヘビの卵は鳥類の卵とは異なり、温めたり転がしたりするものではありません。むしろ動かすのは良くないので、その危険性がある場合はそっと安全な場所に移してあげましょう。
適温は25度前後です。卵は水分を吸って大きくなるので、乾燥は大敵です。霧吹きなどで保湿をしてあげてください。この時、直接卵に水がかからないよう注意が必要です。
カビや、いつまでも治らないヘコみなどが確認できた場合は、無精卵であったり卵がすでに死んでいたりする可能性があります。健康な状態の卵は、40日ほどで孵化が始まります。
カナヘビとトカゲはよく似ていますが、いくつか決定的に違う点があります。
もっともわかりやすいのが外見です。カナヘビの体には光沢はなく、触り心地もカサカサとしていて、鱗が目立っています。一方のトカゲの体には光沢があり、特に若い頃は尻尾にかけて美しい青や紫の色がついているのが特徴です。
また舌先を見てみると、カナヘビはヘビのように2つに分かれていますが、トカゲは分かれていません。まぶたの動きにも違いがあります。カナヘビは下まぶたが上まぶたにくっついて、境目が山なりになっていますが、トカゲのまぶたは上下に分かれていて、ちょうど真ん中で一直線になります。
尻尾の長さもカナヘビの方が長く、トカゲは体の半分ほどしかありません。
習性にもさまざまな違いがあります。トカゲは土の中に潜ることができますが、カナヘビにその才能はありません。そのためトカゲはなかなか見つけづらいのです。捕まえようとしたときに地面の方へ逃げるのがトカゲ、壁を伝って上や横に逃げようとするのがカナヘビである可能性が高いです。
- 著者
- 松橋 利光
- 出版日
- 2008-09-01
小さなカナヘビを近くでよく観察してみると、まさに迫力のある「怪獣」に見えてきます。
本書は、彼らの視点に立ち、細部をズームアップした写真をたくさん収めた写真絵本です。リアリティはあるものの怖さはなく、実物ではなかなか見られない部分も観察することができます。
カナヘビだけでなく、トカゲやヤモリなどとの違いや生態、捕まえ方、飼育方法なども紹介しているので、この1冊でしっかりと情報を網羅することができるでしょう。
本文はすべてひらがななので、小さいお子さんでも読むことができます。
- 著者
- 小杉 みのり
- 出版日
- 2013-12-06
カナヘビの孵化と成長を丁寧に追った写真絵本です。やはり目を引くのがこの表紙でしょう。先述したとおり、この頃から育てるとしっかりと飼い主に懐いてくれます。くりくりと大きな目をしていて、そのかわいさの一端がわかるのではないでしょうか。
孵化したカナヘビの子どもはどんどん成長し、やがて自分で生きているバッタなどを捕まえられるようになります。その勇ましさと力強さに感動するでしょう。
「よみきかせ」とあるように、写真は大きく、文章は少なめです。ぜひ子どもたちと一緒に読んでみてください。