『赤ずきんの狼弟子』最新2巻まで全巻ネタバレ紹介!優しくて切ない絆の物語

更新:2021.12.4

狩人・人間・獣人、3種類の人がいる世界。特徴的な赤髪から「赤ずきん」と呼ばれている狩人の青年・ウルと、本来であれば狩人の狩り対象である獣人、人狼の少女・マニとの絆を描いた物語です。 ハイファンタジーならではの独特な世界観と、迫力あるバトルが魅力的な本作について、その見所を紹介していきます。

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『赤ずきんの狼弟子』あらすじ

狩人・人間・獣人という、3種類の人が存在する世界。その赤い髪から「赤ずきん」と呼ばれる、人間嫌いで有名な狩人・ウルは、ある日、絶滅したと思われていた獣人、人狼の子ども・マニと出会い、彼女を弟子にすることに決めました。

本来、狩る側と狩られる側である2人。マニはウルと出会ったことで、戦う術と生きる術を学んでいきます。一方ウルは、マニと出会ったことで、今まで毛嫌いしていた人間たちと関わるようになっていくのです。

著者
茂木 清香
出版日
2018-02-09

見所:言葉を交わせないという設定が切ない!

見所:言葉を交わせないという設定が切ない!
出典:『赤ずきんの狼弟子』1巻

 

人間と獣人は、互いの言葉も狩人の言葉も聞くことはできるのですが、狩人は獣人の言葉を聞くことができません。狩人は、強大な力を持つ獣人を狩るための存在で、彼らの言葉に耳を傾けて情けなどかけないように、「本能」がそうさせたのです。

いくらマニが言葉を尽くしたところで、ウルにその気持ちは少しも通じません。ウルの言葉は彼女に通じるのですから、余計言葉の壁を感じてしまいますよね。言葉が通じないことで、どんなに互いに情を抱いても2人を隔てる溝は無くなりません。

彼女はウルの言葉を聞いて、彼のなかにある優しさなどを知ります。しかし、ウルは彼女がどれだけ感謝を伝えても、それを知ることができないのです。

彼女にとっては、自分の話したいことが伝わらないより、自分や他の獣人が抱いた「感謝の気持ち」を、ウルが「恨みごと」や「文句」だと思ってしまうことのほうが辛いかもしれませんね。

周りに嫌われていると思うより、好かれていると思われるほうが嬉しいもの。まだ出会って日の浅い2人ですが、マニはウルのことを多くの人々に好いてほしく、またその周りの好意が彼に伝わってほしかったのです。

そんな彼女の一生懸命な想いが、少しも届いていないと思うと、悲しい気持ちになりますよね。

 

見所:マニがとにかく可愛い!

見所:マニがとにかく可愛い!
出典:『赤ずきんの狼弟子』1巻

 

本作の魅力のひとつでもあるのが、マニの明るさと可愛さ。まず外見的なところですが、彼女はまだとても幼い少女で、非常に小さいです。ウルの太ももくらいの背丈で、肩に乗ったり後をついて走る様子は非常に可愛いものがあります。

また、髪が長く広がっていて、服も大きめのものを着ているためか、体がまるっとして見えるのも可愛いところ。子どもの可愛さはそのプニプニ感とまるっと感にありますので、外見だけでもどれだけ可愛いかわかりますね。

また、内面的なところでいえば、一生懸命で感情豊かなところが可愛いですね。ウルに言葉が通じないとわかってからも、懸命に話しかけたり、身振り手振りで自分の気持ちをアピールしようとする姿は微笑ましいものがあります。

基本的には甘えん坊な彼女ですが、いざとなれば、無鉄砲ともいえるほどの勇気を振り絞った行動をするところもよいところ。その無鉄砲と身勝手でウルは苦労するのですが、彼に怒られて怯える彼女も非常に可愛いので注目したいところです。

怯えたり悲しんでいるときに、耳がヘタっと倒れるのも注目ポイント。言葉が通じない分、そういった外面的なところでSOSを出す姿は、悲しくもありますが、やはり圧倒的にかわいく感じますよね。

 

見所:別れの物語?気になる展開!

見所:別れの物語?気になる展開!
出典:『赤ずきんの狼弟子』1巻

 

この物語は、言葉を交わすことも叶わず、決して交わることのない2人が、それでも確かな絆を築いていくものになります。しかし、それで終わりではありません。1話のラストで「絆」の物語であり、また「別れ」の物語であることが明かされているのです。

そもそもこの世界では、狩人のみならず人間すらも知っている、とある事件がきっかけで、マニの種族である人狼は絶滅していると思われています。

彼女はその事件を知らないのか、ずっと自分の母親を探していました。そんな母を求める彼女は、ウルがいつも身につけている毛皮に何かを感じ取ったよう。そしてウルも、彼女の姿に何か覚えがあるようで……。

獣人、狩人、ということ以外に、こういったことも「別れ」と関係してくるように思います。マニがこのまま人を襲わずに育っていけば、ウルは彼女を狩る必要はありません。現状を考えれば、彼女が理由もなくウルや人間を襲うこともまずないでしょう。

ウルには、人間を嫌う過去、マニに情をかける過去があるようなので、その過去を2人が知ることで「別れ」が訪れるのではないでしょうか。

現状、彼はマニのことを「弟子」と呼び大切にし、彼女もウルの役に立ちたいと願っている様子。言葉の壁は大きいものの、その想いだけで確実に絆を深めている2人が、今後どのような道を進んで「別れ」を選択するようになるのか、非常に気になりますね。

 

『赤ずきんの狼弟子』1巻の見所をネタバレ紹介!

 

狩る側であり狩られる側の獣人、圧倒的数で栄えた暮らしを送る人間、常に狩る側の狩人、3種類の人が存在する世界。

人の頂点に立つ狩人のなかでも最強と名高く、通称「赤ずきん」と呼ばれる男性・ウル。彼はある日、自身の拠点へ帰る途中、弱々しい子どもの獣人、人狼の幼女・マニに出会い、彼女を自身の弟子として迎え入れることにしました。

本作の根幹ともいえるすべての設定の片鱗が見える1話が、読み込んでおきたいポイントも多く、見所といえます。

しかしここでは、残虐性や冷酷さが目立っていたウルの、そうでない面が見える3話に注目したいところ。

 

著者
茂木 清香
出版日
2018-02-09

 

人間の街へ行くため、列車に乗った2人。しかし、その列車の上空に、鳥と人間がひとつになったような獣人・ハーピーが現れます。

ハーピーはとある理由により、この列車に用があったのですが、ウルにハーピーの言葉は聞こえませんし、ハーピー自身に攻撃の意志はなくても、言葉の聞こえないウルには、列車を襲おうとしているように見えてしまうのです。

マニがどんなに「違う」と叫んでも、彼は気付くことができません。しかし、彼女の起こした行動で、彼はハーピーが列車にやって来た真意を知ることになります。そのあとのウルの言動に、マニもハーピーも驚くことになるのですが、このシーンから彼には彼なりのルールがあることがわかります。

ただ残忍なわけではない新たな一面は、一本筋が通っていてとてもかっこいいので、彼という人物を知るためには見ておきたい場面ですね。

『赤ずきんの狼弟子』2巻の見所をネタバレ紹介!

 

冬支度のため、自身の武器の調節をしに人間の街へとやって来た2人。ウルが武器の手入れをしてもらっている間、マニは街で心優しい獣人と出会い、また別の狩人に狙われていました。

ウルとはまるで違うタイプの、ナルシストの変態のような狩人の男性・キルケネスが本格的に登場してきます。1巻の終わりでも彼は姿を見せますが、ウル以外の狩人では、彼が初めての登場になりますね。

 

著者
茂木 清香
出版日
2018-07-09

 

キルケネスは本巻の後半にも再登場するので、ぜひその動向を押さえておきたいキャラクターです。

本巻での最大の見所となるのは、マニが出会った熊の獣人が異形の姿に変わる場面。マニとウルの絆がうかがえる6話ではないでしょうか。

心優しい熊の獣人は、たくさんの血を流し大怪我を負ったことで、獣人とも言い難い異形の姿へと変貌を遂げてしまいます。このとき、「スペル」という単語が出てくるのですが、これはどうやら獣人にとって大事なもののようですね。

結局、この獣人はウルが倒してしまうのですが、このシーンでは、狩人と獣人の壁というものが、より一層強く表れ、どこか寂しさを感じます。

また、この話でウルは大怪我を負うのですが、ウルとマニの絆がどれだけ築き上げられているかが、非常によくわかる場面が。幼いマニにウルが必要なのは当然ですが、彼にとっても彼女は必要な存在なのだと思わせるこのシーンとなっています。非常にあたたかい気持ちにさせてくれますよ。


決して交わることができない、狩人と獣人の絆を描いた『赤ずきんの狼弟子』。作中には、さまざまな童話に関連した人・物・事が登場します。ファンタジー好きはもちろん、童話好きも読んでいて楽しい作品となっていますよ。

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