本作はWebコミックサイト「コミックぜにょん」で連載されている、おのたけおの作品です。特殊な才能を発揮するBUGと呼ばれる存在になった女子高生キコが、望まぬままにBUGを巡る事柄に巻き込まれていく物語。コミカルタッチで血の雨が降る、異色のアクションとなっています。 この記事では、そんな作品の魅力をネタバレ込みでご紹介!本作はスマホの漫画アプリでも無料でご覧いただけます。本記事を読んで気になった方は、まず試してみてはいかがでしょう?
1999年7月を皮切りに、世界中で異常な能力を発揮する者は現れ始めました。彼らは人類社会に異常をもたらす「BUG」と呼ばれ、人々から恐れられるようになるのです。
それから10数年後。BUGの認知と対策が進んだ、2018年の日本。東京都立川市のとある高校に、主人公の少女が入学しました。
彼女の名前は、あやねキコ。どこにでもいる普通の女子高生――のはずだったのですが、数奇な運命が彼女の日常を変えてしまいます。
入学式がおこなわれている最中に突然、BUGとして目覚めたのです。彼女は人型の人外と化し、甚大な被害を巻き起こしました。
BUG対策組織に狙われるようになった彼女は、偶然知り合ったヤクザのカブラギに助けられ、BUGを巡る争いに巻き込まれていくのでした。
主人公のあやねキコは、15歳の少女としてはまあ可愛らしい部類の女の子でした。過去形なのは、BUG覚醒と同時に、姿がまるっきり変わってしまうからです。
一言で表現するなら四角四面。彼女は元々の特徴を極端にデフォルメした、2頭身半ほどのマスコットキャラクターのような姿に変化しました。世界的に有名なゲーム『マインクラフト』の主人公(デフォルトキャラクター)がもっとも近い姿といえるでしょう。
イメージ像として時々元の顔が描写されますが、基本的には常にこの状態となります。あまりにも気の抜けるその姿は、主人公とはとても思えません。せいぜいモブキャラ。
そしてもう1つ、彼女を女子と思えない――あるいは思いたくなくなる原因は、その能力にあります。
彼女のBUGとしての力。それは、途轍もない威力を秘めた爆発物を生み出すこと。造り出すではなく、生み出すというのが的確な表現なのです。なんといいますか、こう、踏ん張って。
もし飲食中にこの記事を読まれているのであれば、一旦読むのをやめて時間を置くことを強くおすすめします。
察しのよい方は、もうお気付きでしょう。彼女の生み出す爆発物とは、大の方のアレなのです。生物が食事として取り入れ、排泄物として体外に輩出するアレです。もちろんそのままのビジュアルではなく、奇妙な光沢のキューブ(ドット?)としてではありますが。
出す時は完全に踏ん張っているので、どう取り繕っても酷い見た目です。とても女子のすることとは思えません。
物語のキーとなる異能力、特殊能力者は「BUG」と呼称されます。現実に起こってしまった異常という意味での欠陥、すなわちバグです。
正式には「Body Unkown Gestalt(肉体の未知なる形態)」といいます。
BUGになった者の特徴として、肉体の内外か精神、あるいは両方に極端かつ驚異的な変質が起こります。それと同時に「ワザ」と呼ばれる特殊能力が身につくのです。
キコの外見的変貌は、まさにこの典型といえるでしょう。そして彼女の爆発物の生成がワザです。いろいろな意味で言いづらいので、劇中では「黄昏の宝石(スパークス)」と名付けられます。
BUGの形態とワザは千差万別。使いやすいものから使いにくいもの、強力なものから用途不明なものまで多種多様に存在します。
滅茶苦茶な事態に巻き込まれてしまいましたが、キコは本来普通の少女。彼女は元の姿に戻ることを願っています。そこで彼女の希望となり、話のうえで重要になってくるのが「デバッカー」です。
デバッカーとは言葉通りに、BUGを取り除く者のこと。BUGを取り除けるBUGです。
果たしてBUGとはなんなのか?デバッカーが生まれたわけは?1999年7月に異変が始まったという意味深な設定(ノストラダムスの予言ですね)が、一体どこへ向かうのか注目が集まります。
キコは、ヤクザのカブラギと行動をともにするようになります。初見ではただのチンピラのような青年でしたが、実はカブラギ組という組の、れっきとした組長なのです。
カブラギ組は「覇王会」という大組織の一部でした。
覇王会はいち早くBUGの有用性に目を付けて、社会から排斥される彼らを保護、優遇し、急速に成長した日本最大級の指定暴力団です。
力の強弱からそれぞれS、A、B、Cにランク付けされたBUG達が、ざっと2万数千人も所属している超巨大組織……だったのですが、話の展開でいきなり5千人前後まで激減します。
それは覇王会組長・神山と呼ばれる謎多き男の、鶴の一声でした。自身の野望成就のため、構成員が10人になるまで互いに殺し合わせる「組員10人になるまで潰し合いやめれま10(テン)」を開催したのです。
カブラギと関わったことで、キコも否応なくその潰し合いに参加することになります。実はそれが元に戻る希望、デバッカーに近付く数少ない方法でもあって、彼女に選択の余地はありませんでした。
そうしてくり広げられる異能バトル。破棄力はともかくとして、輩出する手間がある分だけキコは不利――かと思いきや、意外な力を発揮します。
彼女はBUGのなかでもごく一部、極限の精神状態に追い込まれた者だけがなれるという、「裏ワザ」の持ち主でした。マスコット2頭身から元の姿に類似した戦闘形態に変化し、凄まじい破壊力を見せるのです。その強さは覇王会屈指の猛者にも引けを取りません。
ヤクザとJKの争いに、対BUG組織チーターの改造人間まで乱入し、めまぐるしく戦闘がくり広げられていきます。
1番の見所は、やはり何を置いてもキコの初登場シーンと、そこから続く怒濤の展開でしょう。
彼女の残念な設定についてはすでに何度も述べましたが、最初の登場はそれに輪をかけて凄いインパクトでした。便秘に悩んでいたという彼女が、1ヶ月振りの「お通じ」でトイレに籠もっているところから物語は幕を開けます。ただただ酷い。
- 著者
- おのたけお
- 出版日
- 2018-09-20
そして初めてのBUG覚醒から、次から次へと事態は動いていきます。恐ろしい影響力のBUGを持つヤクザの組長が面白半分に始めた、国のトップを取るための遊び、そのための何でもありのバトルロワイアル、組長の娘のある能力など、これでもかと設定が詰め込まれていきます。
それはまさに「毎回 何が起こるか分かんねーし 方向性がハチャメチャだから どう売り出すか編す編集者も悩んじまう」ほど。カブラギのメタ発言ですが、まさに本作を象徴していると言えるでしょう。
ぜひそんなリアルに無軌道な様子を見せる本作を要チェック!
『バグガール』最終巻となる3巻では、覇王会組長の神山が人類滅亡を賭けた「お遊び」を開始!?
「漫画誕生以来の糞END No.1」のキャッチコピーをほしいままにする最終回に注目です!
- 著者
- おのたけお
- 出版日
- 2019-06-20
覇王会最強の戦闘狂・銀兕を辛くも打ち破ったカブラギ組でしたが、休む間もなく次の戦いへと駆り出されることになります。
ついに覇王会組長・神山が、とんでもないゲームを始めるのです。
その内容は、「72時間以内に神山を殺すことができなければ人類を滅亡させる」というものでした。全世界の人類が次々に殺戮されていく中、キコ達は神山の暴走を止めるべく最後の戦いへと向かいます!
最終巻ということで、超大規模の戦争が勃発する3巻。見どころはなんといっても物語のオチ。「漫画誕生以来の糞END No.1」と自ら本書の帯にでかでかと書いてしまうほどのクソっぷりは一読の価値アリ……!
(ある意味)漫画史に名を残すことになろうクライマックスにご期待ください!
いかがでしたか?『バグガール』は異形と化した姿の謎と、次から次に襲ってくるバラエティ豊かな強敵、奇想天外な攻撃方法が魅力です。漫画アプリからは無料で読めるので、ぜひこの機会にご利用ください。