どれから読む?東野圭吾のシリーズ小説7選!

更新:2016.5.22

東野圭吾は、ミステリー小説の完成度の高さはもちろん、奥深い人間描写、度胆を抜くストーリー展開を楽しめるシリーズを多く発刊している小説家です。今回は、そんな東野圭吾のシリーズ小説を7本、ご紹介します!

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難解なミステリーと圧倒的な人物描写、東野圭吾

東野圭吾は1958年生まれの小説家で、大阪府立大学工学部出身です。

学生時代から、ミステリー小説に興味を持ち、社会人になってからは、デンソーに勤務する傍ら、『人形たちの家』を執筆し、江戸川乱歩賞に応募するも落選します。2年後、『放課後』で江戸川乱歩賞を受賞。デンソーを退職し、専業作家になりました。

東野は、本格ミステリー・学園物・サスペンス・パロディ等、多数の小説シリーズを発刊しています。また、エンジニア経験を生かし、科学を扱った『ガリレオ』シリーズや、関心のあるスポーツを題材とした『スキー場』シリーズなども執筆しました。東野圭吾の小説シリーズは、どの作品も、人間描写が深く、細かく描かれており、小説から、登場人物の感情が溢れ出してくるような表現力の高さには、圧巻されます。

1: 鋭い人間観察眼を持つ男『加賀恭一郎』シリーズ

『加賀恭一郎』シリーズは、刑事である加賀恭一郎を主人公としたミステリー小説。シリーズ内では『新参者』『赤い指』『麒麟の翼』『眠りの森』が実写化さています。

著者
東野 圭吾
出版日
1989-05-08


教師を経て警察官となった加賀恭一郎は、体格がよく、逆光で目元が黒く見えるほどほりが深く、顎は尖り、威圧的な印象を与える男です。単独行動が多かったり、カジュアルな服装で捜査したり、事件とは関係のない質問をすることから、変態扱いされたり、いけすかない奴と言われたりしています。

本シリーズの面白さは、加賀恭一郎のずば抜けた人間観察眼です。加賀視点の小説は、事件関係者と一人ひとり丁寧に接し、観察し、その人の心情を読み取り、事件を解決へと導きます。一方、事件関係者視点の話では、加賀の鋭い人間観察眼に慄き(おののき)、ジワジワと精神的に追い詰められていく様子が、読者にも恐怖を抱かせます。

事件内容やトリックは、もちろん申し分ありません。そして、全十巻を通して、加賀恭一郎という刑事の人となりを追っていくことも、このシリーズが楽しめる一つの理由になっています。

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2: 事件×科学!『ガリレオ』シリーズ

『探偵ガリレオ』をはじめとする『ガリレオ』シリーズは、実写化が大ヒットしたことにより、東野圭吾の小説シリーズでも、最も知名度が高いと言えます。大学の物理学助教授である湯川学が、科学を駆使して、不可解な難事件を解決していく小説シリーズです。

著者
東野 圭吾
出版日
2002-02-10


難解なミステリーと、圧倒的な人間描写のイメージが強い東野圭吾が、工学部時代の知識をフルに発揮した小説です。読者に科学的な知識がなくとも、説明内容はわかりやすく、ページを捲る手が止まることはありません。まるでパズルゲームのように、淡々とピースをはめていく感覚でミステリーを楽しめるシリーズです。

『探偵ガリレオ』のような短編集は、湯川学が科学的に事件を解決していく姿を楽しめます。一方、長編は、人間描写が濃く、深く描かれています。『容疑者Xの献身』は、湯川が「天才」と言わしめた数学の教師で旧友の、石神哲哉が起こしてしまった悲しい事件を、湯川自身が苦悩しながら追い詰めていく、東野圭吾特融の人間描写も楽しめる内容となっています。

事件も科学も人間描写も楽しめる。読了後は、満足感に浸れること間違いなしの小説シリーズです。

3: 推理小説にはルールがある『天下一大五郎』シリーズ

事件、探偵、謎解き…ただの推理小説かと思いきや、推理小説のお決まり事や暗黙の了解を、皮肉とユーモアを交えつつ、突っ込みを入れていく、探偵小説の舞台裏を描いたコメディ色の強い小説シリーズ。

著者
東野 圭吾
出版日
1999-07-15


『天下一大五郎』シリーズでは、自称、頭脳明晰・博学多才・行動力抜群の名探偵である天下一大五郎と、事件をミスリードしたり、間違った推理をしたりするへっぽこ警部の大河原番三が、主な登場人物として描かれます。一見、よくある推理小説ですが、二人は事件の最中、舞台裏へ身をひそめ、事件の問題点などを論議したり、愚痴をこぼしたりします。

推理小説好きが読むと、思わず「わかる!」と頷けることが多く、笑いながら楽しむことができる小説です。「事件に困ったらとりあえず密室にする」「死にかけなのに、ダイイングメッセ―ジを書く余裕がある」「実写化すると、なぜか登場人物が美女になる」等々、ある意味「推理小説殺し」小説とも言えるでしょう。

4: しのぶセンセと少年たちが事件を追う『浪花少年探偵団』シリーズ

『浪花少年探偵団』をはじめとする、大阪の大路小学校の6年5組の担任・大内しのぶと、少年探偵団が身の回りで起きた事件を解決していく推理小説シリーズ。

著者
東野 圭吾
出版日
2011-12-15


タイトルを聞くと、「子供向け?」と思いますが、他シリーズ同様、難解な殺人事件が起こります。大内しのぶは、外見とは裏腹に負けん気が強く、口も達者で大雑把な性格です。好奇心旺盛でお節介なので、目の前の厄介事は放っておけず、あらゆる事件に首を突っ込みます。大内の教え子である、田中鉄平や原田郁夫、大内しのぶに思いを寄せる新藤刑事も事件に巻き込まれていきます。

「しのぶセンセ」の愛称で親しまれる大内しのぶは、関西人からみると「こんなおばちゃんおるな」となじみ深く、共感を持てる先生です。東野圭吾らしい難解な事件を楽しめると共に、しのぶセンセを取り巻く人々の人間模様も詳細に描かれており、人間味あふれる、ほっこり笑える小説シリーズです。

5: ブラックユーモアが溢れる短編集『○笑小説』シリーズ

『怪笑小説』をはじめとする、あらゆる事件をブラックな笑いに置き換えた短編集。満員電車の中で交差する鬱積、歌手にハマって年金を使い果たす「おっかけバアさん」、分譲マンションの評価を下げないよう、発見された遺体を捨てる住人達など、様々な事件、問題が繰り広げられる小説です。

著者
東野 圭吾
出版日


笑えない状況なのに、小説のシーンを目に浮かべるとクスッと笑ってしまいます。全てが短編として完結するので、短時間で読みやすいのも『○笑小』シリーズの特徴です。

『怪笑小説』『毒笑小説』『黒笑小説』『歪笑小説』——どれから読んでも楽しめるので、タイトルだけ見て「これから読んでみたい…」と思う本から手に取るのもいいでしょう。

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6: 事件は一流ホテルの中で…『マスカレード』シリーズ

『マスカレード・ホテル』『マスカレード・イブ』の2冊が発刊されている、「ホテル・コルテシア東京」で起こる事件を描いた小説シリーズ。

著者
東野 圭吾
出版日
2011-09-09


『マスカレード・ホテル』では、3件の連続殺人事件が起こります。現場に残された不可解な数列のメッセージから、「ホテル・コルテシア東京」で第4の事件が起こると推測されます。帰国子女という理由から、フロントスタッフとして潜入捜査を任ぜられた新田浩介と、浩介の補佐と教育指導として指名された優秀なフロント・クラークである山岸尚美が中心となって、事件を解決へと導いていく小説です。職業や価値観の違いから、浩介と尚美は反発していましたが、事件を追っていくにつれ、徐々に信頼関係を築き上げていきます。

『マスカレード』シリーズのために、特設ウェブサイトが開設されたり、イベントが開催されたりしています。小説を読むだけではなく、現実にホテルが実在し、事件が起こったとすら思わせるようなこれらの工夫も楽しめるシリーズです。

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7: 白銀世界を疾走する『スキー場』シリーズ

『白銀ジャック』『疾風ロンド』の2冊が発刊されている、スキー場を舞台にした推理小説。事件現場がスキー場であること、同じ名前の登場人物がいることから『スキー場』シリーズとなっていますが、スキー場の名前が違ったり、登場人物の経歴が変わっていたりするので、大きな繋がりはなく、それぞれで小説を楽しむことができます。

著者
東野 圭吾
出版日
2010-10-05


『白銀ジャック』では、新月高原スキー場に爆弾を埋めたと脅迫電話がかかります。経営者は、リフトやゴンドラ経営に携わる倉田玲司と、パトロール隊員の根津昇平に事件解決を委ねます。彼らが犯人からスキー場を守ろうと奔走する最中、1年前に起きた、ある事件を思い出します。

『疾走ロンド』では、とある研究員が、研究所をクビにされたことを理由に「K-55」という細菌兵器を里沢温泉スキー場に隠し、復讐をもくろみます。研究員は事故で亡くなりますが、「K-55」を探すため、研究員の栗林和幸は、パトロール隊員・根津昇平と、スノーボード選手・瀬利千晶に協力を仰ぎます。

本シリーズの読みどころは、警察には通報できないという危機迫る中で、事件を解決しようと奔走する登場人物達の疾走感。スキー場という、孤立した世界の中で起こる事件がさらに緊張感を高め、最後まで一気に読みたくなる小説シリーズです。

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