5分でわかる独占禁止法!目的や事例、改正前との変更点等をわかりやすく解説

更新:2018.9.11

第二次世界大戦後、財閥解体の一環として制定された「独占禁止法」。いくつもの改正をくり返し、現在は健全な市場を維持して、自由な競争を促す役割を果たしています。この記事では、概要や目的、「カルテル」「優越的地位の濫用」の事例などをわかりやすく解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひご覧ください。

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独占禁止法とは。概要と制定された目的を簡単に解説

 

厳密にいうと、日本には「独占禁止法」という名の法律は存在しません。正式名称は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」といいます。

この法律が制定されたのは、1947年のこと。まだGHQによって日本が占領されていた時代です。

連合国軍最高司令官であるマッカーサーは、日本の民主化を進めようと「五大改革指令」を発しました。そのうちのひとつである「経済の民主化」を推進するために、日本の財閥解体を目指します。この一環として、アメリカの「アンチ・トラスト法」を参考に制定されたのが、いわゆる独占禁止法です。

主な目的は、健全で自由な競争を促すために、「カルテル」のような不法な取引や、取引先に不利益を強要する「優越的地位の濫用」などを規制すること。

この独占禁止法を運用するのは、内閣府に設置された「公正取引委員会」です。委員長と4人の委員で構成され、他の行政機関からは独立して経済活動を監視しています。そのため「独占禁止法の番人」と呼ばれることもあります。

 

独占禁止法で禁止されている「カルテル」とは?事例とともに紹介

 

「カルテル」は日本語にすると「企業連合」といい、複数の企業が連絡を取り合い、本来はおのおので決めるべき商品の価格や販売数などについて協定を結び、共同で決める行為を指します。しばしば報道される、入札における事前協定「談合」も、この一種だといえるでしょう。

このような企業間の協定を認めてしまうと、競争が発生せず、また不当な価格の吊り上げなどにより消費者の利益が損なわれると考えられているため、独占禁止法は「カルテル」を禁じているのです。

公正取引委員会による取り締まりは頻繁に発生していて、近年では2018年5月に、道路を舗装するための「改質アスファルト」の販売に関する価格カルテルを結んだ疑いが強まったため、東亜道路工業株式会社やニチレキ株式会社など8社に立ち入り検査が実施されました。

独占禁止法に関連する最新ニュースは、経済の発展と消費者の利益を確保するために関係法令の普及や啓発活動をおこなっている「公正取引協会」のウェブサイトで確認することができます。

 

独占禁止法で禁止されている「優越的地位の濫用」とは?事例とともに紹介

 

カルテルと同様に独占禁止法が禁じているものとして、「優越的地位の濫用」というものがあります。

公正取引委員会では「自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が,取引の相手方に対し,その地位を利用して,正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える行為のこと」(「公正取引委員会」公式HPより引用)と定義しています。

つまり、優位な立場にある一方が、もう一方に対して不当な契約を強要することです。企業の規模や関係が不均衡になりやすい、親企業と下請企業の間で生じやすいといえるでしょう。

ただこれは世界的に見てもユニークな規制だといわれていて、欧米などでは企業間の取引まで規制をしてしまうと、企業を萎縮させてしまうという考えから、積極的な規制はしていません。

日本では、中小企業に無理難題を押し付けることで価格を引き下げるのは健全な競争ではないという考えから、「優越的地位の濫用」を規制しています。

有名な事例としては、玩具量販店の「トイザらス」が在庫整理などを名目に、取引先に対して取引額の減額や、在庫の返品受理を強要していたことが挙げられます。公正取引委員会は「優越的地位の濫用」とみなし、2011年に3億6908万円の課徴金納付を命じたほか、再発防止を求める排除措置命令を出しました。

 

日本の独占禁止法改正の歴史。改正前と変わったこととは

 

1947年に制定された独占禁止法ですが、たびたび改正されています。

上述したとおり、もともとは財閥解体の一環として制定されたものでした。しかし、その後の冷戦の激化にともない、アメリカは日本に対して民主化よりも「共産化の防波堤」としての役割を期待するようになります。

そのため財閥の解体は徹底されず、独占禁止法は1949年と1953年に相次いで大幅改正。三井、三菱などをはじめとする旧財閥系企業が復活することとなりました。

その後も改正をくり返し、2018年現在は、2013年に公布され2015年から施行されている内容が適用されています。この改正における主な変更点は、公正取引委員会による「審判制度」が廃止されたことです。

審判制度とは、公正取引委員会による行政処分に不服がある場合、不服申し立てを通じて処分の適否を判断することができる制度のこと。しかし処分を下している公正取引委員会自身が適否を判断することが批判されたため、廃止されることとなりました。

改正後は、処分に対して不服申し立てをしたい場合は東京地裁が一括して管理をし、必要に応じて東京高裁、最高裁が判断を下すことになりました。統一された判断がしやすくなり、また判例を蓄積してよりスムーズな採決ができるようになると考えられています。

さらに、行政処分の公正化を推進するため、処分の内容に関する告知義務や、事実を立証する証拠を当事者が閲覧することが認められました。

このように独占禁止法は、時流にあわせて改正をくり返し、より公平で自由な競争ができるようにしているのです。

 

本格的に学びたい方におすすめの一冊

著者
出版日
2018-04-03

 

最新の法改正をふまえて改訂された、独占禁止法に関するテキストです。新しいガイドラインや運用の変化、関連する判例や実務の動きに言及しながら、要点を丁寧に解説しています。

実務担当者や、専門的に独占禁止法を学ぶ法科大学院の学生たちにおすすめ。一定以上の知識が無いと読み込むのは苦労しますが、内容自体は読みやすく工夫がされています。

本格的に学ぶ方は、ぜひ手元に置いておきたい一冊です。

 

国際カルテルから独占禁止法を考える

著者
["山口 利昭", "井上 朗", "龍 義人"]
出版日
2014-09-20

 

異なる国籍をもつ複数の事業者間で結ばれる「国際カルテル」。本書は、特にアメリカに重きを置いてカルテルの規制をわかりやすく解説した作品です。実際の事例や、何が問題視されているのかが、当事者の立場から綴られています。

日本人の社員が国外で逮捕される事案も起きているそうで、規制を遵守しつつビジネスをするにはどうすればよいのか、具体的な指針を考えることができるでしょう。

国際的なビジネスをする方や、世界経済の動向に関心がある方におすすめの一冊です。

 

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