ピンク色をした見た目が美しく、また片足でスラリと立つ姿からは凛とした印象も受ける「フラミンゴ」。名前の由来は、ラテン語で「炎」を意味する言葉だそうです。この記事では、そんな彼らの生態や、片足で立つ理由、ピンク色の謎、驚きの子育て方法などを解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひご覧ください。
鳥綱フラミンゴ目フラミンゴ科に分類される鳥類です。全部で6種類が存在し、もっとも多いのが「オオフラミンゴ」というものです。それ以外の種は希少生物と認識されていて、絶滅を危惧されているものもいます。
首が長く、脚には水かきがあるのが特徴です。片足で立っている印象が強いですが、実は泳ぎも得意です。
生息地はアフリカや南ヨーロッパ、中南米の塩湖や干潟などで、数百から数万の群れを形成して生活しています。
塩湖やアルカリ性の湖など特殊な環境の水辺を好み、藻類や昆虫などを食べています。このような環境であれば天敵が少なく、他の生物と捕食競争をしなくてすむことから、適応していったようです。
オオフラミンゴの体長は120cmを超えるものがほとんどで、大きなものでは150cmにもなり、小柄な人間と同じくらいです。その他の種もほとんどが100cm近くにまで成長するので、比較的大きな鳥だといえるでしょう。
寿命は平均で25年ほどで、オーストラリアの動物園では83年も生きたという記録が残っています。
彼らの大きな特徴が、片足立ちです。なぜこのような立ち方をするのか、いくつかの説を紹介しましょう。
フラミンゴは先述したように天敵が少ない場所を選んで生活しています。また群れを形成していることからも、警戒心が強く、臆病な鳥だと考えられるでしょう。そんな彼らは片足で立つことで、万が一何かが起こった際に、すぐに逃げられるようにしているという説があります。いわば1歩を踏み出す直前の状態で立っているということです。
もうひとつの説として、異性へのアピールというものがあります。たしかに片足で立つ姿はスラリとしていて、まるでモデルのようです。求愛行動のひとつではないかと考えられていますが、明確な根拠はありません。
最後にもっとも有力な説として、体温調節が挙げられます。水の中に両足をずっとつけていると、体温が奪われてしまいます。冷えから身を守るために、表面積を小さくしているのではないかと考えられているのです。また塩湖やアルカリ性の湖を好むため、水にふやけにくいようにしているのではないかという分析もあります。
片足立ちと並ぶ大きな特徴として、ピンク色の美しい体色が挙げられるでしょう。
しかしこの色は、生まれながらにもっているものではありません。孵化したばかりのフラミンゴのヒナは、白色をしているのです。
成長していくにつれてピンク色になっていくのですが、これは遺伝子によるものではなく、藍藻(らんそう)類の色素だろうと考えられています。
藍藻類にはβカロテンやカンタキサンチンという、体内に沈着するとピンク色になる色素成分があり、フラミンゴはこれらを含んだプランクトンなどを好んで食べます。そのため徐々に体色がピンク色へと変化していくのです。
反対に、これらの色素がないものを餌として与え続けると、ピンク色にはなりません。動物園などで飼育されているフラミンゴは、色素を添加した飼料を与えられています。
フラミンゴの子育ては、オスとメスが協力しあっておこないます。オスとメスが交代で卵を温め、ヒナが誕生した後も両者ともに愛情をたっぷり注ぐのです。
驚くことに、オスもミルクを出して授乳ができます。とはいっても哺乳類のようにおっぱいから与えるのではなく、ヒナの鳴き声を聞くと刺激を受けて、食道器官の一部である「素嚢(そのう)」という箇所からミルクが分泌される仕組みです。
これは「フラミンゴミルク」と呼ばれていて、親が口移しでヒナに与えます。栄養価が高く、成分は哺乳類のミルクとほとんど変わらないそうです。また赤い色素が含まれていて、ヒナは自分で自然界のものを直接口にしなくても徐々に身体がピンク色になっていきます。
フラミンゴミルクはオスも分泌することができるので、父親もミルクを与えることができるのです。
- 著者
- 細川 博昭
- 出版日
- 2017-03-16
フラミンゴをはじめ、鳥は芸術的な生き物です。人間では考えつかないデザインをしているものや、賢い生き方をしているものが存在します。
本書は、そんな鳥たちの意外と知らない豆知識を集め、紹介している作品です。科学的な視点からアプローチしているので、その内容はどれも驚きながらも納得できるものばかり。すぐに誰かに話したくなる雑学もたくさん掲載しています。
また図鑑のようにカラー写真がたくさんあるのも嬉しいポイントです。いつの間にか鳥に関する知識をつけられる1冊です。
- 著者
- 昼田 弥子
- 出版日
- 2017-01-23
杖を買ってきてほしいとおじいちゃんい頼まれた主人公のノボルくん。しかし財布を落としてしまいます。困った彼にフラミンゴのおまわりさんが片足を差し出して、これを杖として使いなさいと言ってくれました……。
やや奇抜な設定ですが、そこは絵本の世界。かわいらしい絵もあいまって、不思議と違和感はありません。フラミンゴの特徴も活かされていて、楽しく読むことができるでしょう。オランウータンやヤマアラシなど他の動物も登場し、ストーリーはどんどん展開していきます。
細部に道徳的なメッセージが込められているのも魅力のひとつです。困っている人には親切にすること、お年寄りを大切にすることなどを自然と学ぶことができる1冊です。