オナラや悪臭の代名詞ともなっている「スカンク」。調べてみると、その威力は体に害を与えるほど強烈なものでした。この記事では、彼らの生態や臭いのもととなる成分について、また飼育法を解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひご覧ください。
ネコ目スカンク科に属する哺乳類の総称で、4属15種に分類されています。「肛門傍洞腺」から強烈な悪臭の液体を放つのが特徴です。
ほとんどが北米から南米にかけて生息していて、もっとも代表的なのは黒と白の縞模様が印象的な「シマスカンク」です。また白と黒の斑模様が特徴の「マダラスカンク」もいます。東南アジアでよく見られるのは「スカンクアナグマ」という種類です。
夜行性で、昼間は巣穴で眠っています。草木の生い茂った場所は苦手で、どちらかというと開けた場所を好みます。自分で巣作りをすることもありますが、他の動物が作った巣に棲みつくことも多いようです。人工物も居心地が良ければ生活拠点にするそうです。
雑食性で、昆虫や小型の爬虫類、魚、小鳥などを捕食するほか、植物や果実も食べます。
成体の大きさは平均で30cmほどで、ネコくらいだと考えるとよいでしょう。
スカンクと聞いて真っ先に思い浮かぶのが「臭い」というイメージではないでしょうか。悪臭の例えとして使われることもよくあります。
ただ彼らが悪臭を放つのは、天敵に襲われた時、つまり命に関わる非常事態です。スカンクの性格はどちらかというと臆病で、捕食対象となる獲物以外にはほとんど攻撃性をもちません。敵に襲われた際も、抵抗するのではなく逃げるのです。
その際、敵を遠ざける手段として、悪臭を放ちます。あまりにも強烈な臭いなので、それだけで相手を圧倒する威力をもっているのです。
その臭いはさまざまなものに例えられますが、「焼けたゴムにニンニクを混ぜたような臭い」や「都市ガスに腐ったごま油を混ぜたような臭い」という声があります。
天敵から身を守るための強烈な悪臭。その成分について掘り下げてみましょう。
臭いのもとは、肛門の両側にある「肛門傍洞腺」というところから分泌される黄色い液体です。肛門から出るので「オナラ」といわれていますが、実際にはガスではなく液体を霧状に噴霧しています。その飛距離はなんと3mにものぼるそうです。
分泌液の主成分は「ブチルメルカプタン」という物質です。まともに目に入ってしまうと失明の危険性もあります。また口に入れば呼吸困難を引き起こすこともあり、体に付着すれば臭いが4か月近くとれないそうです。
実は「ブチルメルカプタン」は、タンパク質と結合する性質を持っています。つまり皮膚などの組織に染みこんでしまうため、いくら石鹸で洗っても臭いの成分が落ちなくなってしまうのです。
スカンクはペットとして飼育をすることもできます。ペットショップに売られている個体は臭腺が取り除かれているので安心してください。
野生のスカンクの寿命は平均で5年ほどといわれていますが、飼育下で丁寧に育てると10年以上生きることもあるようです。
臆病な性格なので、犬や猫のように頻繁にスキンシップをすることはできませんが、小さな頃から人間と暮らしていれば、体をすり寄せてきたり手に乗ったりすることもあります。これらの習慣が身につくのは生後10か月ほどまでといわれているので、それまでに慣れさせてあげましょう。
専用の餌は市販されていることが少ないですが、ドッグフードで代用できます。野菜や果物も混ぜ、栄養バランスに気をつけてあげてください。
もともと行動範囲の広い動物なので、定期的にケージから出してストレスを解消させてあげましょう。部屋の中に放つ際は、電化製品のケーブルなどをかじられないよう、対策が必要です。
- 著者
- とりごえ まり
- 出版日
- 2008-04-03
かわいいイラストとほっこりするストーリーが魅力の絵本です。作者のとりごえまりは動物が大好きで、NPO東京生活動物研究所の研究員も務める人物です。
主人公となるスカンクのプウちゃんは、とっても恥ずかしがりやさん。唯一の武器であるオナラ攻撃も上手にできず、自信を失ってしまいます。そんなある日、ネコのミイちゃんがキツネに襲われてしまいました。プウちゃんは、必殺技のオナラでやっつけることができるのでしょうか。
勇気を出すことの大切さを教えてくれる内容で、小さなお子さんの読み聞かせにもぴったりです。
- 著者
- 出版日
- 2017-10-28
子どもたちにとって身近な動物である哺乳類をピックアップし、「1番」を切り口に生態を解説している図鑑です。説明もわかりやすく、退屈させないビジュアルも魅力です。スカンクもしっかりと紹介しています。
「1番足が速いのは」「1番体が大きいのは」にはじまり、「1番よく寝るのは」「1番頭突きがすごいのは」など興味をひく内容で、動物の多様性に触れることができます。
持ち運びもしやすく、世界観を広げてくれる1冊です。