『江戸前の旬』の強烈さが分かる5つのまとめ。94巻までネタバレ紹介!

更新:2021.2.1

男性向け漫画雑誌「週刊漫画ゴラク」に1999年から連載をしている本作。銀座にある寿司屋を舞台に、熱き寿司職人の人生を扱った本作は、106巻を超える超大作となっています(2021年2月現在)。 2018年と2019年に、テレビドラマが放送された本作の見どころをご紹介します。

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ドラマ化漫画『江戸前の旬』が面白い!モデルはどこのお店?【あらすじ】

寿司屋「柳寿司」の三男として生まれた柳葉旬は、二代目である父・鱒之介が倒れたことをきっかけに、寿司職人になることを決意しました。物語は旬がまだ高校生の頃、寿司職人として修行を始めたところから始まります。

彼の実家で、修行場所でもある「柳寿司」は、銀座という場所に店を構えながらも、大衆向けの寿司屋として営業していました。

それとは対照的に一流店として名を馳せているのが、同じ銀座に店を構える「嘉志寿司」。その跡取り息子・吉沢大吾は旬と同じ高校に通っており、何かにつけ大衆向けの「柳寿司」をバカにし、旬に恥をかかせようと勝負を挑んできます。旬もまた、そんな大吾を負かそうと躍起になるのです。

それが、旬の寿司職人としての腕をますます磨かせることになります。そして、大吾との勝負は日に日に熱いものへとなっていくことになりました。

物語の序盤ではまだ高校生でライバルとの勝負に燃える旬も、物語が進むにつれて身も心も成長していきます。その過程ではさまざまなライバルや、問題を抱えた客なども現れ、彼は寿司職人として力をふるってそれらに立ち向かっていくのです。

本作の魅力は、そんな彼の成長物語としての面白さはもちろん、もう1つ、なんといっても美味しそうな寿司。「柳寿司」は、本格江戸前寿司を提供するお店として有名な赤羽の寿司店「すし処 みや古鮨分店」がモデルになっています。

漫画を読んで美味しいお寿司を食べたくなったら、「すし処 みや古鮨分店」へ行ってみてはいかがでしょうか。

1:登場人物が濃いメンツばかり!?

1:登場人物が濃いメンツばかり!?
出典:『江戸前の旬』1巻

出てくるお寿司が美味しそうで、主人公が寿司職人として成長する物語も楽しめる本作ですが、そのエピソードやキャラクターの濃さも、本作を語るうえでは欠かせません。

主人公の旬は、基本的な性格は優しく、人望も厚いタイプ。最初は彼のことを妬んだり嫌ったりする敵キャラクター達も、交流を重ねるうちに和解することが多くあります。

そんな彼を取り巻くのが、ライバルである吉沢大吾をはじめ、旬の寿司のファンで彼に想いを寄せる三枝詩織、さらに気仙沼の寿司職人で旬のライバルの1人・森野石松など、とにかくインパクトの強いキャラクター達です。

ちなみに詩織は、ストーリーが進むうちに大吾とも急接近し……!?という展開も。話が進むにつれ、キャラクター達が結婚したり、子供が生まれたりと、世代を超えた物語が描かれるのも、長く連載作品だからこその魅力といえるでしょう。

2:主人公・旬と大吾の切磋琢磨が面白い!ただ、スピンオフは濃すぎる?

本作はキャラクターのみならず、ストーリーの内容の濃さが際立っているのも特徴です。たとえば、旬の高校時代から登場して生涯のライバルとなる大吾は、気にくわない旬を負かすために卑怯な手を使うのも厭わないところがあり、そういったところは読んでいてムカムカしてくる方も多いかもしれません。

ただ、順を追ってストーリーを読み進めれば、そういったところも人間的に成長していく姿を見ることで、面白さを感じることができます。ただ要注意なのが、2人の対決エピソードだけを描いたスピンオフ作品です。

著者
九十九 森
出版日
2015-10-09

すでに90巻を超えて続いている本作では、スピンオフ作品もいくつか発売されています。2人の対決を描くスピンオフ作品も、その1つです。これらの作品では特定のキャラクターに、より強くスポットが当てられるせいか、その濃さが一段と際立っています。

2人の対決を描くスピンオフ作品では、もともと性格の悪いキャラクターである大吾の悪い部分がさらに際立っていて、読み進めるのもなかなか大変です。それだけではなく、彼以外にも強烈な印象を残すキャラクターが多く、そちらが気になってストーリーが頭に入ってこない!なんてことも、もしかしたらあるかもしれません。

他にも、本編で迷惑キャラクターとして認識されている1人、鹿野昭夫というキャラクターにスポットを当てたスピンオフ作品もあります。彼はうんちく好きのイヤミなキャラクターなので、彼が登場する話をまとめて読むとなかなか強烈。

スピンオフ作品を読む時は、その内容やキャラクターの濃さを覚悟して読むといいかもしれません。

3:ヒロイン藍子へのプロポーズが寒い!? 結婚までの道のりは大恋愛だった?

長期連載されている本作だからこその魅力の1つが、長い時間経過をじっくり読むことができる点です。序盤では高校生だった旬も、ストーリーが進むうちに彼女が出来て、結婚して、やがて子供も生まれます。

彼は、最初の頃はいまいち恋愛方面には疎く、不器用な男でした。そんな旬のお相手となるのが、朝岡藍子という女性で、37巻から登場します。恋愛に不器用な彼ではスムーズに関係が進展しませんが、そんな紆余曲折を経て、とうとう彼女へプロポーズ。

そのプロポーズの仕方が、寿司の代わりに指輪を出すという、寿司職人らしくも見る人によってはロマンチックとも苦笑ものともとれるようなものでした。

著者
九十九 森
出版日
2009-05-20

しかし、そんなプロポーズの様子も、長い物語のなか、高校生の頃から彼を知っている読者にとっては感慨深いものもあるかもしれません。ちなみに2人が結婚式を挙げるのは47巻。

90巻を超えている本作で、藍子の初登場から結婚までそれほど長くないので、2人の恋愛が気になる方はこの辺りを中心に読んでみるのもいいかもしれません。

ちなみに2人の間には、みどりという女の子が誕生しています。彼女が生まれてからは、彼らの親としての姿も描かれていくので、そちらもぜひ注目してみてください。

4:無謀なリクエストをする永井おじいちゃんがクズだと有名?

何かとインパクトの強いキャラクターが多く登場する本作ですが、そんななかでもひと際異色な雰囲気を漂わせるお客さんがいます。それが、永井さんというおじいちゃんです。

彼は自前の丼ぶりを持ち歩き、寿司店を訪れてはその丼ぶりにちらし寿司を作ってくれるように頼みます。しかし出来上がったちらし寿司を見ては、何かが気に入らない様子で店を出て、せっかく作ってもらったそれを捨ててしまうのです。

どうしてそんな行動を取るのか……それは彼が、旬の店「柳寿司」へ訪れたことでわかります。

彼が、どんなちらし寿司を求めて寿司店を歩いていたのか。それはぜひ本編を手に取って確認してみて頂きたいのですが、ただ、このエピソードだけを見ると要望は無茶ぶりで、あっさりと食べ物を捨ててしまう描写もあることから、彼の評判は読者のなかで、いまいちよくありません。

ですが彼は、実は旬の祖父である「柳寿司」の初代と、過去に関わりのあった人物でした。かつてトラブルに巻き込まれて困っていたところを、旬の祖父に親切にしてもらい、その時にふるまってもらった寿司のことを忘れられずにいたのです。

普段の振る舞いはやや極端で掴めないタイプの永井おじいちゃんですが、そんな彼の背景には寿司に対するいろいろな思いが隠れています。

こういったキャラクターのいろいろな面が読み取れるのも、長く連載の続く本作の魅力といえるでしょう。

5:名言満載!

5:名言満載!
出典:『江戸前の旬』7巻

 

本作には、名言ともいえる心を打つセリフもたくさんあります。なかでも、今回は7巻に登場するセリフをご紹介。

この時点では、旬はまだ修行中の身。「柳寿司」の親方は彼の父・鱒之介です。鱒之介は気難しい職人気質な男で、客に対しても遠慮することなく自分の意見を言ってしまうようなところがあります。今回ご紹介する名言は、この親方が、店にやってきた売れない女優に対して言ったセリフです。

売れない女優は、自分が売れないのは全てマネージャーのせいだと、一緒に来店したマネージャーを責めていました。それを見かねた親方は彼女に向かって、

「辛い事が多いのは感謝を知らないからです。
苦しい事が多いのは自分に甘えがあるからです。
行き詰まりが多いのは自分の心が裸になれないからです!!」
(『江戸前の旬』7巻より引用)

と言い放ちます。

お客さんに向かってここまではっきり言える親方の気風にほれぼれしますが、このセリフにも心打たれる方は多いのではないでしょうか。

自分が売れないこと、辛い日々を送っていることを全て人のせいにする彼女。一方、そんな女優のために必死に動いているマネージャー。辛い事は人のせいにしてしまえば楽ですが、本当は自分が感謝の心を忘れ、相手に甘えているからなのです。

そのことに気が付いた彼女は、心新たに頑張ることを決意します。多かれ少なかれ誰しも彼女と似たような気持ちを抱くこともあるかもしれません。そんな時は、このセリフを思い出してみてはいかがでしょうか。

『江戸前の旬』94巻の見所をネタバレ紹介!

現在、本作は106巻まで発売されています(2021年2月現在)。100巻を目前にした本巻では、旬の一人娘であるみどりが、幼稚園を卒園。小学校へと入学します。

著者
さとう輝 九十九森
出版日
2018-08-09

高校生で寿司職人の修行を始めた旬が、結婚を経て子供を授かり、その子供が小学生になろうというのですから、長く本作を愛読している方にとっては感慨深いものもあるかもしれません。

ここまで巻数が重なると多少ストーリーがマンネリ化することもありますが、こういったキャラクターの人生の節目があると、また新しい空気が漂って面白さを感じることができるでしょう。

また、序盤では気難しい面が際立っていた旬の父親・鱒之介は、すでに職人を引退。旬に店を譲っています。そのためか性格も少し柔らかくなっている様子があり、孫のみどりを溺愛している様子などには微笑ましいものを感じることができます。

その時期の魚介類を紹介することでも知られる本作。本巻では、春から初夏にかけてのネタが満載!みどりの成長や、食べごろの食材まで、時の流れを感じることのできる最新刊です。


いかがでしたか?すでに100巻近くも出ているシリーズなので一気読みするには少し大変ですが、1度気に入ったらじっくりと長く楽しむことのできる作品です。また長く続く作品だからこそ、キャラクターの人生を疑似体験することもできるでしょう。寿司を扱ったグルメ漫画としてはもちろん、大河ドラマのような人生漫画としても楽しめる本巻を、ぜひ読んでみてください。

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