5分でわかるカゲロウの生態!寿命や種類、トンボとの関係などを解説!

更新:2021.8.2

大量発生をした年は豊作になるといわれ、古くから日本人に愛されてきた「カゲロウ」。交尾をした日に死んでしまうなど、儚い生物でもあります。この記事では、彼らの生態や種類ごとの特徴、トンボと同じ漢字を書く名前の由来などを解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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カゲロウの生態は?寿命や生息地など

昆虫綱カゲロウ目に分類される昆虫の総称です。豊作の年に大量発生することから「豊年虫」、二十四節気の白露の頃に現れることから「白露虫」とも呼ばれてきました。

円筒形の細長い体で、どの種類も共通して弱々しい外見をしています。3つに分かれた胸部の真ん中と後方に1対ずつ羽があり、これをぴったりと重ねて植物などに止まるのが特徴です。前羽は後羽に対して小さく、種類によっては後羽が退化しているものもあります。

成虫の口は退化しているため食事をすることはできません。多くが羽化した後数時間で死滅するという、非常に短い寿命です。

日本全国に分布していて、幼虫、成虫ともに河川などの流れがある綺麗な水場を中心に生息しています。湖岸や池などの止水域に暮らす場合もありますが、海水への耐性はありません。

オスとメスを見分けるには、腹部の末端を確認するのがわかりやすいでしょう。「把持子(はじし)」と呼ばれるハサミのような器官がついているものがオス、何もついていないものがメスです。把持子は、交尾の際にオスがメスの腹部を挟むために利用される器官で、カゲロウ目のすべてのオスに見ることができます。

ちなみにカゲロウ目のもっとも古い化石は、約3億~3億5000万年前の古生代石炭紀の地層から発見されていて、昆虫のなかでももっとも長い歴史をもつ種だといわれています。

 

カゲロウの種類ごとの特徴を紹介

日本に現生するカゲロウ目の昆虫は、約140種。そのなかから代表的なものを紹介しましょう。

モンカゲロウ

体長1.6cmほどの大型の種類です。翼開長は3.5cmほどで、黄色がかった羽にはっきりと黒い羽脈が浮かんでいるのが特徴です。複眼は黒く、オスよりもメスの方が大きな体をしています。

成虫の姿を見られるのは春の終わり頃です。

 

ナミヒラタカゲロウ

体長1.6cmの大型の種類です。翼開長は3.6cmほどで、前羽の縁が黒く、腹部にカギ状の把持子があるのが特徴です。また他の種類と比べて前肢が長くなっています。

成虫の姿を見られるのは3月中旬から下旬頃です。

 

トビイロカゲロウ

体長は1cmほどで、翼開長は2cmほどです。体は褐色で、羽の縁にも褐色の筋が見られます。赤い複眼と透明な足をしているのが特徴です。

成虫の姿を見られるのは早春です。

 

キョウトヒメフタゲカゲロウ

体長は1.8cmほど、翼開長は3.2cmほどです。褐色がかった透明の羽を持っています。

日本で成虫の姿を観られるのは4月頃です。

 

オオシロカゲロウ

体長は1cmほど、翼開長は2.2cmほどです。黄褐色もしくは黄色がかった白色の体に、透明の羽を持っています。晩夏に羽化して産卵し、卵のまま越冬して水温が上がった頃に孵化をします。

8月から9月になると、愛知県や栃木県、島根県などで視界不良になるほどの数が一斉に羽化し、通行止めがされることでも有名です。

 

カゲロウの名前の由来。なぜトンボと同じ漢字なのか

カゲロウを漢字で表記する場合、「蜉蝣」と「蜻蛉」の2種類が使用されますが、このうち「蜻蛉」はトンボにも使われている漢字です。なぜ異なる2種の昆虫に同じ漢字が使用されているのでしょうか。

時は平安時代に遡ります。歌人である藤原道綱母が『蜻蛉日記(かげろうにっき)』を書いた当時、2対の透明の羽と細長い体をした昆虫はすべて「蜻蛉=かげろう」と呼んでいました。

その名残として、現代でもどちらの昆虫に対しても「蜻蛉」という漢字があてがわれているのです。

体の大きさなどは異なりますが、成虫の触角が短く針状であることや、羽脈の見え方など、両者の間には共通点も多く見られます。また幼虫時代は水中で生活をし、成虫になってからも水辺から離れずに暮らす種が多いことも特徴です。

さらにトンボのなかでも原始的な種である「ムカシトンボ」などは、カゲロウのように左右の羽を垂直にあわせた状態で止まるなどの類似点があるため、近種であると考えられています。

 

カゲロウの成虫期間はとても短い!その一生を紹介

多くのカゲロウの繁殖期は、3月から4月頃です。オスは自らメスを探すのではなく、産卵に適している場所に留まってメスを待ち、やってきたら交尾をします。そのためこの時期になると、川べりに大量のオスが待機をしている様子が見られます。

交尾が終わると、メスはすぐに産卵を始めます。場所は水中や川底の砂利の中、水際などさまざまです。1匹あたり500~1000個もの卵を産みます。卵の平均的な大きさは0.2mmほどです。1~3週間で孵化します。

幼虫は、川底の付着藻類や「デトリタス」と呼ばれる動植物から出される細かなカスを食べて成長し、数十回の脱皮をくり返して羽化します。脱皮の回数は摂取する栄養の質と反比例していて、栄養が豊富な場所であれば脱皮の回数は少なく、反対に餌が少ないなど十分に栄養を補給できないと脱皮の回数は多くなります。

背中の羽が膨らみ、飛ぶ準備が整うと、羽化をします。トンボやセミのように何時間もかけておこなわれるものではなく、一瞬で終わるのが特徴です。そのため殻から羽がうまく抜けなかった場合などは、そのまま体が硬化して死んでしまうことも多いのです。

ほとんどの昆虫は羽化を終えると成虫になりますが、カゲロウは成虫になる前に性的には未成熟な「亜成虫」と呼ばれる特殊な段階をはさみます。亜成虫は成虫に比べて太い体と暗色の羽をもち、羽化した後に川辺の木の枝などに止まって数日過ごしてから、最後の脱皮をして成虫になるのです。

成虫になるとその日のうちに交尾を済ませ、寿命を迎えます。長く生きることのできないカゲロウは、同種で一斉に羽化をして交尾と産卵し、一斉に死滅するのです。

 

もっと知りたいカゲロウの生態! オススメの本をご紹介

川虫に特化した専門図鑑

原色川虫図鑑 幼虫編

2016年08月02日
丸山 博紀、高井 幹夫
全国農村教育協会

 

日本全国の河川で見られるカゲロウ、カワゲラ、トビゲラの3種の川虫を紹介する図鑑です。

「幼虫編」と「成虫編」の2冊が発表されており、「幼虫編」ではあわせて125種、「成虫編」では349種の写真を掲載しています。またカゲロウについてはしっかりと「亜成虫」の写真も紹しています。

それぞれの生態も詳しく解説していて、識別のポイントとなる交接器などについては詳細な図を用いた説明もあるため、同時期に同場所に発生する個体の見極めに役立つでしょう。

また水生昆虫は、生息場所の環境を調査する際の絶好の指標にもなるそうです。昆虫好きだけでなく、自然環境に興味のある方などにもおすすめの1冊です。

 

カゲロウなど身近な昆虫を紹介する図鑑

著者
川邊透
出版日
2014-07-31

日本国内で姿を見ることができる身近な昆虫1614種を、生息環境がわかる写真とともに紹介している図鑑です。

身近な昆虫に対する理解を深めることを目的に作られていて、掲載しているのは主に首都圏や中部圏、近畿圏などの都市部に生息しているものです。分布図では生息数を3段階で評価していたり、幼虫期はどのような植物を好むのかを書いていたりと、採集に役立つ情報が多いのも特徴です。

カゲロウの仲間は11種を紹介しています。外見の違いを比較しながら理解することができます。

さらに、分類とサイズから昆虫を探すことができるマトリクスがついているのも嬉しいポイントです。街中で見かけた昆虫の識別に役立つでしょう。

 

脆弱な印象のある外見や、羽化して数時間で生涯を終える姿から、儚さの象徴のようにも思えるカゲロウ。しかし示し合わせたかのように一斉に羽化をして我先にと子孫を残すさまは、むしろ3億年前から生き続けた種の強さを感じるでしょう。

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