『スレイヤーズ』の伝説は終わらない!シリーズ全編ネタバレ紹介!16巻発売

更新:2018.10.27 作成:2018.10.27

『スレイヤーズ』シリーズは、かつて富士見ファンタジア文庫から発売していた、神坂一の作品です。2000年に刊行された15巻で完結したはずでしたが、突如16巻『アテッサの邂逅』が発表され、2018年10月20日に発売されました。自称・美少女天才魔導士リナ=インバースと再び出会える日がくるということで、ファンの間では大きな話題となりました。 今回は伝説のヒロイック・ファンタジーの新作に備えて、型破りなこの物語を、予習を兼ねておさらいしていきたいと思います。最新16巻の見所もお伝えしますので、そちらもどうぞ。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena

小説『スレイヤーズ』本編16巻が発売!シリーズのあらすじ、魅力を解説!

 

剣士にして魔道士という万能キャラクター、リナ=インバースと、彼女の保護者を自称する青年剣士ガウリイ=ガブリエフの2人が、仲間とともに各地を巡って魔族の陰謀に立ち向かう物語、『スレイヤーズ』。

このように書いてしまうと、正統派ヒロイック・ファンタジーのように思えますが、実情はまったく違うものです。

強い主人公パーティ、魔王とその配下の軍団といった設定こそファンタジーRPG的であるものの、関西人である作者の思考(または嗜好)を反映してか、真面目くさったシリアス展開にツッコミを入れる、破天荒なノリが多々見られます。

 

著者
神坂 一
出版日
2018-10-20

色褪せないライトノベルの金字塔!その理由は?

 

ライトノベルに限らず、日本の異世界ファンタジーはトールキンの『指輪物語』を元ネタにしたTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』が大本にあります。そのTPRGのリプレイ(再現読み物)から生まれたのが、水野良の小説『記ロードス島戦』。そして、そういった王道ファンタジーの系譜にあるお約束をぶち破ったのが、本作『スレイヤーズ』なのです。

王道ファンタジーを歌劇や演劇にたとえるなら、本作はさしずめ吉本新喜劇。本編はシリアスかつダークな部分もありますが、スピンオフのギャグ短編などは、まさしくそのようなノリです。笑いあり、涙あり、ロジックありと、本作は今日ライトノベルと呼ばれるジャンルの原形や、それらが含む要素を内包しているので、まさに礎のひとつとなった作品だといえるでしょう。

また、そうしたライトノベル草創期の作品でありながら、メディアミックスの先駆けとなった点も見逃せません。複数回にわたるアニメ化、映画化はライトノベルの認知度を飛躍的に向上させました。特に90年代から00年代にかけての人気は凄まじく、当時のサブカルチャーにおいては基礎教養に近い扱いをされていたのです。

 

彼らがいるからこその『スレイヤーズ』!登場人物を紹介!

 

くり返しになりますが、本作の主人公はリナ=インバース。作中で多少変化しますが、15、6歳の少女です。あらゆる意味において、彼女なしでは本作は成立しません。

この後ご紹介するガウリイなどには劣るものの、剣士としての腕もなかなかのものですが、魔道士としては作中屈指。人間最強といっても過言ではありません。一部例外を除けば、強大な上級魔族、魔王の者達と渡り合えるのは、彼女くらいなもの(ちなみに、その例外とは彼女の姉のこと)。

その癖、「悪人に人権はない」と公言するほど奔放であり、風評が1人歩きした結果、善人悪人を問わず、広く一般に恐れられてもいます。そうして付けられた異名が「盗賊殺し(ロバーズ・キラー)」や「ドラまた」です。「ドラまた」とは「ドラゴンもまたいで通る」の略。凶悪モンスターの代名詞のドラゴンすら、彼女を恐れると噂されているのです。

そして、もう1人の主役級人物が、ガウリイ=ガブリエフ。第1部、第2部をとおして登場するリナの相棒。男女の関係になりそうでならない、微妙な間柄も魅力です。

彼は見た目こそ美青年ながら、話の聞き役というポジションなせいか、クラゲと評されるほどふにゃふにゃ脳みその持ち主。初期はまともだったのですが、段々と記憶力も理解力も残念なことになっていきました。とはいえ、その剣の冴えはまさに達人。彼を上回る使い手は、ほぼ出てきません。そのうえ、彼の家に代々伝わる伝説の武器「光の剣」の存在もあって、無双の強さを誇るのです。

第1部では魔法剣士ゼルガディス、戦う平和主義――もとい巫女アメリアなどがレギュラーとして登場します。アニメでは、この2人はずっとパーティメンバーなのですが、原作第2部からは彼らに変わって、ルークミリーナというコンビが加わります。

『すぺしゃる』、『すまっしゅ』にだけ登場する白蛇(サーペント)のナーガは、半分以上ギャグキャラなので、見た目も言動も滅茶苦茶。しかも腕前はリナに匹敵するという(ある意味で)危険人物。

この他、謎に包まれた神官ゼロスや、さまざまな魅力的キャラクターが、本作のストーリーを彩ります。

 

呪文がカッコいい!魔法について解説

 

『スレイヤーズ』といえば、何を置いても、呪文の詠唱が魅力的です。

『黄昏よりも昏きもの
血の流れより紅きもの
時の流れに埋もれし
偉大なる汝の名において
我ここに 闇に誓わん
我等が前に立ち塞がりし
すべての愚かなるものに
我と汝が力もて
等しく滅びを与えんことを!』
(中略)
「竜破斬(ドラグ・スレイブ)!」
(『スレイヤーズ3 サイラーグの妖魔』より引用)

この本作の代名詞ともいえる呪文はあまりにも有名で、特定の年代のオタクであれば、さらりといえるほどの知名度を誇ります。

本作における魔法は、大まかに黒魔法、精霊魔法の2つ。基本的に原理は同じで、人間より高位の存在の力を借りて奇跡的な力を発揮します。借りる相手が魔族ならば黒魔法で、自然ならば精霊魔法といった具合です。

本作の舞台となっている地方は、魔王の腹心による結界が張られており、物理的にも精神的にも孤立した状態で、神の加護は届きません。そのため白魔法はあるものの、神に由来する術ではなく、精霊魔法のうち神秘的なものをそう呼んでいるだけです。

たとえば竜破斬は、この世界の魔王シャブラニグドゥの力を借りたものとなります。では魔王、魔族とはどういった存在なのでしょうか?

 

世界観が深い!超常的存在とは?

 

魔族とは、世界の成り立ちから神族と争い続けている、負の存在です。

物語から遡ること5000年前、「赤の竜神(フレアドラゴン)」スィーフィードと、「赤眼の魔王(ルビーアイ)」シャブラニグドゥは壮絶な戦いの末に共倒れして、世界に分身体を残しました。魔王は7つ、竜神は4つです。以後も分身体を巡って対立は続きますが、1000年前の降魔戦争から小康状態に入りました。

本編の舞台となる土地の結界は、その降魔戦争の際、スィーフィードの分身である水竜王ラグラディアを弱体化させる目的で作られたのです。

高位の魔族や神族は死ぬことがなく、一時的に消滅しても、いずれは同等存在が復活します。復活させずに無力化するための方法として、作中では魔王の一部が、人間の魂に封印されている例が出てきます。

魔族や神族の「格」は絶対的で、高位存在に刃向かうことは出来ません。それぞれの最上位に位置するのがスィーフィードであり、シャブラニグドゥなのですが……その背後に「金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)」という謎の存在が示唆されます。

 

『スレイヤーズ』本編、第1部をネタバレ紹介!【1~8巻】

 

気まぐれに盗賊をいびり倒し、気ままな1人旅をしていたリナ。特に困っていたわけでもないのに、傍目にはピンチな場面をガウリイに助けられ、なし崩しに2人旅になりました。

彼らは偶然知り合った現代の賢者、「赤法師」レゾとその部下ゼルガディスと意図せず対峙し、その顛末で復活した魔王の分身体の1つを撃破しました。レゾに従っていたのは不本意だったゼルガディスは、彼に改造された体を元に戻すため、リナ達と行動をともにするようになります。

 

著者
神坂 一
出版日
2008-05-17

 

しかし、一行はその先々で魔族絡みの事件に巻き込まれていくのでした。そして聖王国セイルーンのお家騒動から、王女アメリアや、謎の神官ゼロスが仲間に加わってきます。

やがてその流れは、魔王の腹心の1人「冥王(ヘルマスター)」フィブリゾの思惑へと集束していくのです。

話の順序や細部は異なりますが、この辺りの展開はアニメ版1~2期とほぼ同じ。予想とお約束を覆すノリはそのままに、原作ではややダークな味付けがされているという違いがあります。

 

『スレイヤーズ』本編、第2部をネタバレ紹介!【9~15巻】

 

フィブリゾの件が片付いた後、ゼルガディスとアメリアはそれぞれの思いを胸に別れていきました。一方のリナとガウリイは、ごたごたで失われてしまった「光の剣」の代わりを求めて、新たな旅に出ます。

そして伝説の武具と聞いては各地に立ち寄るのですが、どれも紛い物ばかり。それどころか、またしても魔族絡みの出来事が頻発していきます。
 

 

著者
神坂 一
出版日
2008-07-18

 

2人はその途中でルーク、ミリーナのトレジャーハンターコンビと出会いました。その新たな交流を育む間もなく、フィブリゾと同格の「覇王(ダイナスト)」グラウシェラーの暗躍が彼らを襲います。

第2部はアニメ化されていない、原作だけのエピソードです。第1部でもシリアス、ダークな部分はありましたが、ここからはさらに輪をかけて陰湿な展開になっていきます。

『スレイヤーズ』らしからぬ話の行く末は……?

 

『スレイヤーズすぺしゃる』&『すまっしゅ。』を解説!【全35巻】

 

『すぺしゃる』は、15巻で完結した本編に変わって長く連載されていましたが、アニメ4期『スレイヤーズREVOLUTION』に合わせて『すまっしゅ。』と改題。

タイトルは変われど、中身は変わらず。シリアスに流れることもある本編とは違って、基本的にギャグ一辺倒の短編集となっています。

 

著者
神坂 一
出版日

 

時系列的には本編より少し前で、数年から数ヶ月ほど前に当たります。毎回のようにリナが騒動を巻き起こしたり、珍事件に際して爆発(魔術的な意味で)するのがお決まり。

レギュラーキャラは、ギャグ時空の住人たるナーガのみです。自称リナのライバルですが、喧嘩仲間に近いでしょう。実は本編のある人物の血縁……。

気楽に読めるので、入門としてはこちらから読み始めるのもいいかもしれません。

 

著者
神坂 一
出版日
2018-10-20

『スレイヤーズ16巻 アテッサの邂逅』の見所をネタバレ紹介!

魔王やその腹心達との壮絶な戦いを経たリナは、旅に一区切りを付けて、長く離れていた故郷ゼフィーリア王国の首都に向かっていました。そしてその途中で、ゼフィーリアと聖王国セイルーンとの境界にある森の街、アテッサに立ち寄ります。

そこはちょうど奇妙な一団の襲撃を受けており、リナ達は実力を見込まれて、自警団から協力を依頼されました。引き受けて早々に、リナは襲撃者と遭遇。しかし、そのなかに見覚えのある魔法剣士が混じっていたのです。素性を確かめる間もなく、セイルーンからあの要人まで現れて……!

著者
神坂 一
出版日
2018-10-20

完結から18年目の新作ということで、見所は、その変わらない中身です。奥の手のタリスマンを失って弱体化してもなお、健在なリナの大暴れっぷり。そして、何かも相変わらずのガウリイが存分に楽しめます。

さらにファンタジア文庫30周年を記念した特別版ということで、懐かしくもお馴染みのキャラが、同窓会的に勢揃いしているのです。

記念作品としての意味合いが強い本巻ですが、反響しだいではさらに続く可能性もあるようです。復活した伝説のファンタジーの今後に期待が募ります。

 


神坂一のほかの作品が気になる方は<神坂一のおすすめ本4選! 大ヒットシリーズ『スレイヤーズ』の作者>の記事もおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。

いかがでしたか?18年振りの新作には、旧来からのファンならずとも、歴史の生き証人となるかのような興奮があるのではないでしょうか。新たな伝説の1ページは、ぜひご自身の目でご確認ください!