漫画『空挺ドラゴンズ』の面白さを徹底語り。龍を美味しく調理する……!?

更新:2021.4.5

「マンガ大賞2017」で13位を獲得し、徐々に人気に火がついている『空挺ドラゴンズ』。天空を泳ぐ龍に魅せられた乗組員たちを描いた、大冒険&美食ファンタジー作品です。ジブリ作品を彷彿とさせる世界観と、美味しそうな料理の描写が見所。2020年1月にはアニメ化も予定されている、まさに注目の作品! この記事では、龍が美味しそうに見えてしまう不思議な魅力をご紹介します。

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ハイファンタジー好きにおすすめ『空挺ドラゴンズ』が面白い!【あらすじ】

ジブリ作品にでてくる食べ物。「あの描写が好き!」という方に、とってもおすすめの作品です。本作は、空の旅、龍が生息している世界、そして捕獲した龍の美食グルメが楽しめます。

舞台は、龍が生息している架空の世界。主人公の男性・ミカは、補龍船クィン・ザザ号の乗組員です。彼らは龍を捕まえては売って生活しています。

しかし、お金はあまりなく、乏しい物資をやりくりして、なんとか日々を送っていました。

そんなある日、クィン・ザザ号が市に降りて休息していると、市の上空に大型の龍が出現。ミカたちが様子を見にいくと、それは彼らが捕まえた龍の母親でした。退治すれば宿と食事が用意されるということもあり、一行は龍を捕獲しようとするのですが……。

龍の捕獲に奮闘した後は、美味しい食事が待っています。その食事を楽しみに、乗組員たちは今日も旅を続け、ときに龍と戯れ、龍と戦い、龍の生態を発見していく……そんな子供の頃に夢見たような旅を覗き見できる物語です。

 

作品の魅力:本当にありそうな料理の描写が食欲をそそる!

作品の魅力:本当にありそうな料理の描写が食欲をそそる!
出典:『空挺ドラゴンズ』1巻

 

本作最大の魅力は、料理の描写にあります。

龍を捕まえた後は必ず料理を作り、単行本のおまけページにはレシピまで記載。主に使うのは龍の肉ですが、それ以外の食材は玉ねぎや鶏肉など現実にもあるものなので、本当にありそうな料理に見えるのがポイントです。

作者の画力も相まって、実に美味しそうに描かれています。過程が丁寧に描写されているのが、面白いところでしょう。

たとえば、1巻に登場する「龍の尾身ステーキサンド」は、肉に塩胡椒を振る下ごしらえから、龍の皮の脂を牛脂のように使ったり、仕上げにワインを入れたりする様子などが事細かに描かれており、その場の雰囲気、匂いまで伝わってくるようです。

また、龍を捕獲する場面は緊張感にあふれていますが、ミカたちが舌鼓を打つシーンはほのぼのとしたもの。その2つの対比が作品のスパイスになっていて、ストーリーに緩急がついて引き込まれるというのも見所なのです。

 

『空挺ドラゴンズ』のアニメ映像がすごい!PV公開!

 

2020年1月8日からTVアニメ「空挺ドラゴンズ」の放送がスタートします。フジテレビ「+Ultra」という枠にて放送されるのですが、この枠のコンセプトは私たちのアニメに限りない「プラス」というもの。

海外にもアニメカルチャーを広げるため、高品質で世界基準のアニメーション作品を提供しています。過去には『BEASTERS』などを放送していました。本作のハイファンタジーな世界観と、+Ultraの高品質アニメーション……。これはもう、期待せざるをえません。

すでにティザー映像を公開していますので、こちらの映像を見て本作の世界観を覗いてみてはいかがでしょうか。

 

『空挺ドラゴンズ』の世界観に圧倒される、第1巻

 

本巻は、龍捕りの描写が中心になります。何度かの龍との戦いが描かれますが、毎回違う種類のものを相手にするので戦い方も変わってきます。主人公のミカが中心になって戦いますが、他の登場人物の活躍も見所でしょう。

1巻は登場人物紹介としての役割もあり、タキタやヴァナベル(通称・ヴァニー)といった人物の性格や、なぜ補龍船に乗っているのかといった背景が語られます。以降の物語にも繋がる伏線にもなっているので、注目です。

また、クィン・ザザ号の構造や補龍船の風習も解説され、構想が緻密に練られていることがわかります。補龍船の構造や龍捕りは、捕鯨をモデルにしているのだそう。捕鯨の予備知識があれば、より一層本作を楽しむことができるかもしれません。

 

著者
桑原 太矩
出版日
2016-11-07

 

そんな本巻でもっとも印象に残るのは、光る龍に関する話ではないでしょうか。乗組員の1人であるジローは、船を嵐から救ってくれる光る龍の言い伝えを信じていました。クィン・ザザ号のメンバーは迷信だといいますが、彼はまだ信じている様子なのです。
 

そんなときに、一行は嵐に見舞われてしまいます。ジローとミカが見張りに立っていると、雲のなかに光が……。それはなんと、輝く龍だったのです。

果たして、彼らは嵐から抜け出せるのでしょうか。そして、光る龍はどんな役割を果たすのでしょうか。

 

キャラクターの個性が見えてくる、第2巻

 

本巻では、クィン・ザザ号が補給のためにクオーン市に降ります。補龍で栄えた、有数の港町です。

つかの間の休息を楽しもうと思った乗組員たちですが、他の補龍船のメンバーとケンカになってしまいます。さらに、騒動が収まったと思ったら、ケンカをした捕鯨船が捕まえた龍が暴れ出し、市を破壊してしまうのです。

 

著者
桑原 太矩
出版日
2017-05-01

 

クィン・ザザ号のメンバーは、どさくさに紛れて龍を捕獲しようと計画。しかし、龍は光線で物を焼き払う能力を持っていて、一筋縄ではいきません。ミカとジローが奮闘しますが、戦いの行方はいかに……。

その他にも、ジローがクオーン市の少女と恋をしたり、龍の皮で作った工芸品が出てきたりします。こちらも注目です。

本作は細部へのこだわりがうかがえる内容になっており、その独特の世界観が特徴。2巻は、それが特に垣間見える内容になっています。

料理の描写は少なくなりますが、その分キャラクターの個性が垣間見えるのがポイント。彼らの人となりがわかってきて、より一層物語を楽しむことができるでしょう。

 

乗組員の成長と、絆と、龍との関係が垣間見える、第3巻

 

本巻では、タキタが龍捕りの最中に、船から転落してしまいます。彼女の生存を諦めかける乗組員……。ところが、彼女は無事に生きていました。傷を負って熱を出してはいましたが、とおりかかった猟師・アスケラに助けられていたのです。

タキタが助かったのは、小型の龍ともつれ合って落ちたおかげでもありました。その龍は彼女を母親だと思い、そばを離れません。しかし、そんな様子を見て、彼女は龍を群れに返す決意をします。

彼女が墜落した地域には、山から煙が出たら龍が現れるという言い伝えがあり、今はまさに煙が出ているところだったのです。

小型の龍は、地上では生きられません。そのため、弱って死にかけの状態になってしまいました。タキタは時間がないと思い、夜中にもかかわらず山に登り、龍の群れに近付こうとしますが……。

彼女と龍の運命はいかに。そして、クィン・ザザ号には帰れるのでしょうか。

 

空挺ドラゴンズ(3) (アフタヌーンKC)

2017年11月07日
桑原 太矩
講談社

 

本巻の主人公は、タキタです。クィン・ザザ号では新米の彼女が、本来は殺す対象であるはずの龍のために奔走し、人間としても、龍捕りとしても成長していく姿に注目です。

一方、クィン・ザザ号のメンバーが、彼女のために必死に捜索活動を続ける様子も見所。普段は新米の彼女をこき使っていますが、「あいつが死ぬはずはない」と一生懸命に探します。登場人物の絆が垣間見えるのも、3巻の見所なのです。

 

クィン・ザザ号、廃業のピンチ!?働き方を考える、第4巻

 

本巻で、クィン・ザザ号は大きなピンチに見舞われます。それはなんと、廃業の危機です。

きっかけは航行中に豪華な船と衝突してしまったこと。船体を損傷してしまったので修理のため地上に降りますが、修理費用を用意できないことが判明します。次の龍捕りに行けないので、このままでは廃業するしかありません。

そんなときヴァナベルは、クィン・ザザ号にぶつかった船を発見。内部に乗り込みます。その船の船長は大富豪の御曹司で、龍の写真を撮ることに躍起になっている、ブルノという男でした。

ヴァナベルはお金を稼ぐためにクィン・ザザ号を近くの市まで連れていってもらうように要求しますが、聞く耳を持ってもらえないどころか、放り出すように部下に命じられてしまいます。

しかし、彼女が見た龍の話をすると、態度が急変。龍の情報と引き換えに、その要求を飲んでもいいというのでした。はたして、クィン・ザザ号は龍捕りに復帰できるのでしょうか。

 

著者
桑原 太矩
出版日
2018-05-07

 

今回活躍するのは、ヴァナベルとガガです。ヴァナベルは、クィン・ザザ号とタキタのためにブルノと交渉し、話を有利な方向に勧めます。ガガは絵がうまいことが特徴ですが、そのおかげで思わぬ事態になり、彼自身も岐路に立たされるのです。

4巻では、お金や仕事がモチーフとして扱われています。龍捕りをするためにはお金が必要であることや、乗組員の再就職や引き抜きなどが描かれ、実にリアルなところが見所。働き方について考えさせられるところがあり、仕事について考えるきっかけにもなるでしょう。

 

『空挺ドラゴンズ』の過去が知れる、第5巻

クィン・ザザ号は、ある龍と遭遇します。それは、龍船だけを狙って活動する「船喰い」龍でした。高額の賞金がかかっているこの龍を捕獲しようとする一行。しかし、そんななかヴァナベルが飲み込まれてしまうのです。
 

それでも、なんとか危機を脱した一行。無事にヴァナベルを助け出しますが、顔には痣や傷跡があり、かなりのダメージがあったことが伺えます。

そんな波乱の展開を乗り越え、彼らは世界有数の大都市・ハーレへと到着。クオーン市に負けるとも劣らないこの都市で、予想外の出来事が待ち受けているのです。

著者
桑原 太矩
出版日
2018-11-07

港に着いたということで、クィン・ザザ号の数人で酒場へとくり出します。ミカとタキタも、そこにいました。

着いた酒場で、ミカはある人物を発見します。その人物の名前とは、クジョー・ランダウ。彼は、かつてミカと2人でノラゴス号で龍捕りをおこなっていた、いわばミカの師匠ともいえる存在です。

「勝手に船を出て行った」「アンタが追い出した」などと言い合う2人。何やら因縁はありそうですが、その様子から決して悪い関係でないことが伺えます。そんななか、クジョーは昔を回顧して、語り出すのでした。

本巻の見所は、ミカの過去の回想シーンです。かつて同じ船に乗っていた2人。そんな彼らの船長はある日、龍を仕留めるのに毒を使用すると言い出し、クジョーは反対します。そのことがきっかけで、彼は船を降ろされることになってしまうのです。

そんななかで彼についてきた唯一の船員が、ミカでした。そして2人だけの龍捕りが始まるのでした。

若き日のミカとクジョーの絆は、まさに必見。最初は、毒の入っていない龍が食べたいという不純な動機でついてきたミカも、心のどこかでクジョーを師匠として尊敬しているのが感じ取れるでしょう。初めて龍を仕留めた彼の姿は非常に印象的なので、ぜひご注目ください。


龍を食べる異色の作品『空挺ドラゴンズ』。その独特な特徴もさることながら、乗組員の人間模様など、さまざまなところを楽しむことができるでしょう。ぜひ、これを機会に手に取ってみてください。

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