苦手意識をもっている人も多い「蜘蛛」。その一方で、映画やゲームなどさまざまなコンテンツのモデルにもなっています。この記事では、彼らの生態や種類ごとの特徴、発生原因、退治の方法などを解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひチェックしてください。
節足動物門鋏角亜門クモ綱クモ目に分類される蜘蛛。非常に多くの種類が存在していて、世界では3万種以上、日本にも1000種以上が生息しているそうです。
大昔には昆虫として扱っていたこともあるようですが、近年ではまったく別者とされています。昆虫は脚の数が6本なのに対し、蜘蛛は8本です。また頭部と胸部の境目が明確でないことや、触覚がないことも大きな違いです。
蜘蛛の代名詞ともいえるのが、腹部から出す糸で作った網状の巣でしょう。まず1本を風に乗せて飛ばし、着いた先と往復して強度をあげます。ある程度糸を太くしたら、真ん中あたりから下に糸を伸ばして、Y字型にします。同じように交点から放射状に糸を伸ばしていくと、縦糸の枠の完成です。その後横糸を張っていくと、見慣れた蜘蛛の巣の形になります。
ちなみに、獲物を捕まえるためにネバネバとした粘着力をもっているのは、横糸のみです。蜘蛛が自分の巣を歩く時は縦糸しか使いません。
多くの種類が存在する蜘蛛ですが、日本で知名度の高いものをいくつか紹介しましょう。
ジョロウグモ
日本でもっともメジャーな蜘蛛といってもよいかもしれません。北海道を除いた全国に生息していて、大きいものだと体長は3cmほどになります。
黒い体色に黄色の横縞模様が入っているのが特徴です。糸も黄色みがかかっています。この華やかさが花魁を彷彿とさせ、「女郎」という意味の名前が付けられました。
ハエトリグモ
人家に住みつくため都市部でもよく見かける種類です。名前のとおり、ハエなど小型の羽虫やアリを捕食します。
基本的には巣を張らずに歩きまわって獲物を探すのが特徴です。人間にとっては特に害があるわけではなく、むしろ害虫を食べてくれます。
セアカゴケグモ
多くの蜘蛛は毒をもっていませんが、本種は子どもや疾患のある人が噛まれると命を落としてしまう可能性もある毒蜘蛛です。
もともと日本には生息していなかった外来種で、原産地はオーストラリアです。1995年に発見されて以来、目撃情報が増えています。
丸い体で、表面は光沢を帯びた黒色をしているのが特徴です。ひし形が縦に2つ並んだ赤い模様が背中にあるので、見つけたらすぐにわかります。近づかないようにしましょう。
多くの蜘蛛は人間にとって無害ですが、発生してしまうとやはり気持ちのいいものではありません。特に巣を張られてしまうと厄介です。
家に蜘蛛が発生する1番の原因は、そこに彼らの餌となるものがあるからです。そのため、常に清潔な環境を保つようにしましょう。埃っぽい場所にはダニやノミも多く発生し、蜘蛛にとって絶好の餌場となってしまいます。
また侵入経路を塞ぐことも大切です。窓やドアの隙間は大敵です。また庭やベランダなどに植物を植えている場合も発生しやすくなるので注意しましょう。
発生してしまった蜘蛛を退治したい場合、市販の殺虫剤でも十分に効果を発揮します。ただ厄介なのは、巣です。個体を駆除できても巣が残っていると、新たに別の個体が住みつく可能性があります。
巣を退治するおすすめの方法は、棒の先に捨ててもよい布を巻き、くるくると巻き取ることです。蜘蛛の巣は粘着性があるので、簡単に取れます。巻き取ったらそのままビニールなどに入れて捨てれば、直接触らずにすみます。
また蜘蛛を寄せ付けない方法としては、ユーカリオイルや酢が有効です。彼らの苦手な成分が含まれているので、これらを水に溶かしてスプレーすると、退治にも予防にも効果的です。
- 著者
- ["馬場 友希", "谷川 明男"]
- 出版日
- 2015-04-20
身近な蜘蛛を100種類選んで解説している作品です。どんな場所に生息しているのか、どんな暮らしをしているのかなど、基本的な生態を知ることができるでしょう。
またオスとメスの写真が並べて掲載されているのも嬉しいポイントです。写真とともに識別ポイントが記されているので、初心者でも簡単に違いを知ることができます。
持ち運びがしやすいサイズなので、フィールドワークの際はぜひ本書を持ってお出かけください。
- 著者
- 須黒 達巳
- 出版日
- 2016-08-08
ハエトリグモは、人家にもよく住みつくため、比較的頻繁に目にする種類です。しかし、彼らがいったいどんな姿をしているのか、じっくりと見たことがある方は少ないのではないでしょうか。
本書は、丸ごとハエトリグモの、しかも瞳に特化した写真集です。真ん丸なガラスのようで、色も実に鮮やかです。人間の体には無い神秘を秘めています。ハエトリグモだけで20種類以上いるというのも、驚いてしまうでしょう。
作者の、偏愛ともいえる蜘蛛への愛情が伝わってくる写真集で、生態の解説やコラムも充実しています。