堀越耕平は、主に「週刊少年ジャンプ」で活躍する漫画家。アメコミテイストと少年漫画の王道を融合した代表作『僕のヒーローアカデミア』が大ヒットし、アニメ化や映画化もされて、今や名実ともにジャンプを背負う看板作家といえるでしょう。 そんな堀越耕平という作家について、どんな人となりなのか、どういった経歴なのかを詳しくご紹介したいと思います。
堀越耕平(ほりこし こうへい)は1986年11月20日生まれ、愛知県出身の漫画家です。名古屋芸術大学デザイン学部に在籍中の2006年、短編「ヌケガラ」で手塚章佳作を受賞。その1年後、「赤マルジャンプ」に読み切り「テンコ」が掲載されて商業デビューを果たしました。
以後は「週刊少年ジャンプ」を主な活躍の場として、『逢魔ヶ刻動物園』『戦星のバルジ』と立て続けに発表。
しばらく充電期間を置いて、商業デビューから初連載までの間の2008年に描いていた『僕のヒーロー』を元にした『僕のヒーローアカデミア』(以下、「ヒロアカ」)を描き上げて、現在に至ります。
- 著者
- 堀越 耕平
- 出版日
- 2014-11-04
シンプルながら力強い画風が特徴で、作風もそれが反映されて、芯の強い登場人物が多く出てくるようです。心を揺さぶるような、感動的な熱い展開も魅力。
漫画家という職業柄、表には出てこないので、その素顔はあまり知られていません。しかし、少ないながらもサイン会での目撃や仕事場の取材風景などから、意外にも細身のイケメンだということがわかっています。「ヒロアカ」のファンを中心として、同作に出てくるイレイザーヘッド似だともいわれているようです。
性格についても不明な点が多いですが、インタビューや対談で本人が語ったところによると、「ヒロアカ」のキャラクターでは主人公のデクこと緑谷出久に似ているよう。特に、デクのネガティブな部分が似ているとか。
堀越耕平の代表作「ヒロアカ」は、1億総超人社会となった世界のヒーロー漫画です。
日本でヒーローといえばウルトラマンや仮面ライダーなどの変身ヒーローが思い浮かびますが、この作品の世界では等身大の人間が超常能力を持っており、そんな人々が社会秩序を守る「職業」ヒーローが描かれます。
これは作者がアメコミ好きで、スパイダーマンやバットマンなどに影響されたことからのようです。その影響がもっとも顕著なのが、1人だけ画風の違いがネタにされるオールマイトです。とはいえ、アメコミに寄せすぎても少年漫画として成立しないので、バランスが崩れないよう自重しているとか。
その甲斐もあってか、王道少年漫画とアメコミテイストの融合は本場アメリカでも受け入れられ、北米で公開された「ヒロアカ」映画は、なんと日本アニメ映画の歴代興行収入ランキングで10位に入るという快挙を成し遂げました。
「ヒロアカ」では「ヒーローのいる社会」というフィクションが描かれますが、そこで活躍するキャラクターの心理描写は繊細で、リアルに感じられます。
それもそのはず。一部のエピソードやモノローグに関しては、実体験が元に作られているそうなのです。たとえば雄英ビッグ3の天喰環が、幼少期に転校した学校で馴染めずミリオに手助けされた話は、堀越が進学した中学校で友達がいなかったところを救われたという実体験からきています。
こうしたフィクションのなかに盛り込まれた実体験が、彼の作品を面白くしているのかもしれません。
作者堀越は、以前にジャンプの企画で、仕事場の自宅を公開したことがあります。
さすがにジャンプ最前線の漫画家とあって、漫画や映像などの資料が本棚にぎっしり詰まっていました。そして、他の棚にはそれに負けない、いや、それに勝るインパクトのあるアメコミフィギュアの数々が、ところ狭しと並べられていたのです。
スパイダーマンに、バットマンに、スターウォーズ……「ヒロアカ」作中でも愛あるオマージュの見られる元ネタのグッズが、山のようにありました。
こうした「好きなもの」に囲まれて、日々の漫画が生まれているのですね。
堀越耕平は、生粋のジャンプ漫画ファンです。
画風としては『NARUTO-ナルト-』の影響を告白していて、「NARUTO」の作者・岸本斉史との対談で、「手」の演技に多大なショックを受けたと語っています。「ヒロアカ」はキャラクターの手が特徴的なことで知られていますが、意外なところに原典があったのですね。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 1997-12-24
また尾田栄一郎の『ONE PIECE』とも、思わぬ接点があります。
かつて素人時代、読者投稿で送ったイラストが、なんと単行本に掲載されていたことがあるのです。堀越がファンだったこと、掲載経験を打ち明けられた尾田は、驚きの余り『ONE PIECE』77巻で、この話を紹介しました。
漫画好きの漫画少年が、漫画家になったからこそのエピソードです。
女子高生の蒼井華(あおい はな)は、自分の鈍くささを克服すべく、夏休みを利用して動物園のアルバイトを始めました。ところが、そこの園長の椎名は、呪いで頭をウサギに変えられた自己中な男。しかも動物園自体も、閉園時間の午後4時44分に動物達が喋り出す、不思議な場所でした。
当初は驚いた華も、喋る動物達に必要とされたことから、不思議な動物園で奮起し始めるのです。
- 著者
- 堀越 耕平
- 出版日
- 2010-11-04
園長のウサギ頭も、特定の状況で動物達が話し始めるのも、呪いがあるから。そしてその呪いは、この動物園が世界で1番楽しい「天下一の動物園」になった時に解けるというのです。
華が仲間や動物と協力し、寂れた動物園の復興と園長の呪いを解こうと奮闘する、ハートフル感溢れるファンタジー作品となっています。
本作はなんといっても、個性的な動物が見所です。「ヒロアカ」でも見られる、秀逸な人外デザインの片鱗がすでに出ていて、そんな動物の独特な愛嬌が魅力的。
惜しくも打ち切りとなった作品ですが、画風とマッチしたデザインや話には根強い人気があります。
自分と瓜二つの王子バルジから、王家秘伝の武器「王具(オーグ)」を託された主人公アストロが、インダストリア星の平和を取り戻すために旅に出るアクション漫画。
アストロは、孤児を引き取ってスラムで暮らす、優しい少年です。瀕死のバルジから王具を受け取り、それを知ったインダストリア星王から頼まれて、旅に出ることを決意します。
- 著者
- 堀越 耕平
- 出版日
- 2012-10-04
『逢魔ヶ刻動物園』の次に始まった、堀越耕平の連載2作目です。ハートウォーミングだった前作とは変わって、当初からバトル展開の続く、重いテーマの作品となりました。
しかし、作品の根底には堀越節ともいうべき温かさ、心の強さがすでに健在。アストロは引き取った孤児を家族とし、家族のために戦っていきます。そこには、切ないほどの家族愛が込められていました。
おそらく、この一途さが後の「ヒロアカ」のデクに繋がったのではないしょうか。
いかがでしたか?ヒロアカで有名な作家の意外な素顔、手がける漫画の面白さの源泉を垣間見ることが出来たのではないでしょうか?