伊坂幸太郎好きにおすすめの本5選!言葉のチョイスと疾走感が楽しめる作品

更新:2018.12.13 作成:2018.12.13

個性あふれるキャラクター描写や、ユニークなセリフまわし、伏線の一挙回収にクロスオーバー……さまざまな魅力がある伊坂幸太郎の作品。もうすべて読んでしまった、という方もいるのではないでしょうか。今回は、そんな伊坂幸太郎の作品を好きな方におすすめしたい小説を5つご紹介していきます。

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村上春樹の代表作のひとつ『海辺のカフカ』

 

本作の主人公は2人います。ひとりは家出中の15歳の少年・田村カフカ。家出の原因は、父親に「母と交わり父を殺し、姉とも交わる」という呪いをかけられたことでした。

そしてもうひとりは、知的障害があり読み書きはできないけれど、猫と話すことができる60代の男性・ナカタさんです。

古代ギリシャで上演されていた悲劇と日本の古典をもとに、年齢もタイプもまったく異なる2人のストーリーが交互に描かれていく構成。中野区から四国に向けて家出中のカフカと、中野区に住んでいるナカタさんの物語は、「猫殺し」と名乗る男の登場によってやがて交わりあうのですが……。

 

著者
村上 春樹
出版日
2005-02-28

 

本作が発表された際、それまでの20~30代の主人公が多い村上春樹の小説にしては珍しく、15歳の少年が主人公ということで話題になりました。

カフカ少年の章は一人称現在進行形、ナカタさんの章は三人称過去形で書かれていることから、現実と非現実、パラレルワールドが混ざりあい、独特の世界観をつくり出しています。

物事を換喩的に扱う描写や、登場人物たちのウィットに富んだ言いまわし、並行して進んでいた物語がひとつに溶けあう部分など、伊坂幸太郎ファンが楽しめる要素が満載です。

 

怒涛の歴史が語られる大江健三郎の大長編『同時代ゲーム』

 

メキシコの大学に研究者として在籍している主人公の僕が、双子の妹に宛てて書いた書簡形式の小説です。

その内容は、かつて大日本帝国に支配されてしまった、ふるさとである「村=国家=小宇宙」のこと。とある集落を追放された者たちが四国の山奥につくりました。一族にまつわる歴史や神話、大日本帝国との戦いなどが語られていきます。

 

著者
大江 健三郎
出版日

 

第1稿で2300枚になった原稿を、削りに削って1000枚にまで縮めたという逸話もある本作。そぎ落とした分、読者の考察の余地が大きくなっているのも大きな魅力でしょう。

導入部は、何の説明もなしに主人公が突然過去の事件を語りはじめます。ミステリアスな雰囲気をかもし出し、そこから手紙の内容へ。数百年にわたる「村=国家=小宇宙」の歴史が怒涛のエンターテイメントとして展開されていきます。

観念的なものを示す表現が多いですが、読み進めていくうちに、やがて全体像が掴めるはず。とてつもなく長い歴史を分析しながら語る主人公。最後に見えてくるものは何なのでしょうか。

 

辻村深月の青春ミステリー小説『名前探しの放課後』

 

主人公は、高校1年生の依田いつか。ある日、撤去されていたはずの看板がかかっているのを見かけ、違和感を覚えます。日付けを確認してみると、彼が認識している日の3ヶ月前でした。

自分が過去にタイムスリップをしていることに気づいたいつか。そこで、あることを思い出します。

同級生の自殺……。しかし、当人の名前が思い出せません。いつかは友人たちに相談し、名前のわからない誰かの自殺を止めようとするのですが……。

 

著者
辻村 深月
出版日
2010-09-15

 

「誰が自殺をしたのか」を突き止めるために、さまざまな人間関係が描かれる作品。高校を舞台に爽やかな青春物語がある反面、随所に伏線が張り巡らされていてミステリー要素も満載です。

途中からは、現実と、いつかの知っている未来が少しずつ異なっていき、ワクワクしながら読み進められるのではないでしょうか。会話のテンポもよいので、どんどんページをめくることができます。

また本作は、辻村深月の他作品『ぼくのメジャースプーン』の登場人物や設定を踏襲している部分があります。伊坂幸太郎作品にもよく見られるクロスオーバーが好きな人は、あわせて読むとより楽しめるでしょう。

 

転落していく群像劇を楽しめる奥田英朗のエンタメ小説『最悪』

 

取引先の無理な注文や不況に悩む町工場の社長、家庭の問題やセクハラに悩む女子銀行員、ヤクザに弱みを握られてしまった若者……。

それぞれに最悪な出来事を抱えた3人の人生が、やがて交わり大きな最悪に。「坂道を転がり落ちるように」という言葉がぴったりの怒涛の展開が描かれる、犯罪エンタメ小説です。

 

著者
奥田 英朗
出版日
2002-09-13

 

当初3人が抱えていた悩みは、いわゆる小さなもの。読者も共感をもって読めるのではないでしょうか。しかし後半になるにつれ、裏目が裏目を呼び、最悪の出来事の連続。開き直っても後悔しても下り坂が止まりません。

とある事件を描いた犯罪小説なのですが、本作の魅力はその事件に巻き込まれていく登場人物たちのキャラクターでしょう。だからこそ読後の後味の悪さはなく、すっきり。スピーディーな群像劇を楽しめる一冊です。

 

生と死を考える本多孝好の連作短編集『MOMENT』

 

とある病院で清掃のアルバイトをしている主人公の「僕」。ふとしたきっかけから、ある末期患者の最後の願いを叶えることとなりました。やがて「最後にひとつだけ願いを叶えてくれる」都市伝説の当事者となり、他の患者からも頼られるようになります。

死が迫る人々と、彼らの願いを叶えるために奔走する「僕」の4つの物語が収められた、連作短編集です。

 

著者
本多 孝好
出版日
2005-09-16

 

どこか別の世界に生きているように思える、死に向かって生きている人と、それ以外の人。「僕」はどこにでもいる普通の青年でしたが、彼らと関わることで自身の人生観をしっかりともてるように成長していきます。

死というのは重たいテーマですが、「僕」がどこか飄々とした性格をしているからか暗さはありません。「なぜこれが最後の願いなのか」など、本多孝好が得意とするミステリー風味も効いています。