TVタレントとしても活躍する、日本の漫画家、江川達也。エンタメ性が高く、エロスの多い作風は、賛否両論ながら高い人気を誇っています。完全なフィクションの他、史実や古典名作のコミカライズを積極的に手がけていることでも有名です。 今回はそんな江川達也について、プロフィールや驚きのエピソードなどをご紹介したいと思います。
江川達也(えがわ たつや)は愛知県出身の漫画家、タレントです。生年月日は、1961年3月8日。既婚者で妻子があり、2人の子の父親です。
愛知教育大学教育学部数学科を卒業。在学中に漫画研究会、アニメ研究会、人形劇サークルなど多数のサークルを兼任して、創作活動をおこなっていました。
BE FREE! 1 (モーニングKC)
卒業後は中学校の数学科講師となりますが、わずか5ヶ月で辞職。その後、本宮ひろ志の元でアシスタントしながら描いた習作が評価され、1984年に『BE FREE!』でデビュー。
アシスタントも4ヶ月で終え、1年に満たない間に中学教師、漫画家アシスタント、漫画家デビューと忙しない経歴を歩んでいきます。
- 著者
- 江川達也
- 出版日
- 2017-07-18
また、歯に衣着せぬ物言いのコメンテーターとしても知られており、特に同業者への批判もすることから、性格が悪いといわれがちです。「漫画の神」手塚治虫や、世界的に有名な藤子・F・不二雄をも批判していることで知られています。その一方で、水木しげるは尊敬する人物であるようです。
代表作は『東京大学物語』『まじかる☆タルるートくん』など。作風は数学教師としての経験からか、教育関係や道徳・倫理的な話が多く見られます。
ヒット作に恵まれたことで、漫画家でも指折りのお金持ちとして有名な江川。
自宅は、東京都高級住宅地にある6億円の豪邸で、その豪華さはTV取材で何度かお茶の間に放送されました。しかもメルセデス・ベンツ、SLRマクラーレン、スマート・フォーフォーをはじめとして、超高級車を複数台所有しています。
その散財っぷりに本人は、名古屋人は家と車に執着することが多く、自分は名古屋出身だからこういうことをしていると語っています。
この豪快な性格が、パワー溢れる作風に繋がっているのかもしれないですね。
全盛期の江川は、週刊連載を何本も抱える売れっ子作家でした。そうすると当然、仕事の方も過密スケジュールとなります。最盛期にはアシスタントを18人も雇って、人物以外を彼らに任せていました。
しかし、あまりにも大所帯になったこと、仕事が重なったせいで全体に目が届かなくなることから、忙しさに耐えかねたアシスタントが15人も一気に辞めたということがあったそうです。
そうなると当然、労働力は大幅に減ります。江川は当時、背景を真っ白にして乗り切ったとか。どこまで白くしたら読者に怒られるかの実験、と言って取り掛かっていたのだそう。このエピソードから、かなりの極限状態だったと予想できますね。
しかしそこをアイディアと口八丁で乗り切ったのですから、すごいと言わざるを得ません。
江川は教育大出身であることから、教育やその関係に一家言のある人物です。そのため、いつしかTVでコメンテーター役をすることが増えました。
舌鋒鋭い論客である彼の発言には、非常に考えさせられる名言がいくつかあります。
公式を知っているのと、それを使いこなせるかどうかはまた別の問題です。
自分で新しい公式をつくれるようにならなければ、
本当の意味で、公式を使いこなすことはできません。
出来ないヤツは出来ない理由を考えてそれを語り 出来ない。
出来るヤツは出来る方法を考えてそれを語り 行動する。
どうでもいいヤツは何も考えない
前者の発言は、公式を「知識」や「技術」と言い換えればわかりやすいでしょう。どちらも、物事の本質のわかる人だけが成功するといった趣旨の名言です。
このあとからは、作者の代表作含め、おすすめ作品をご紹介します。
時の帝の寵愛を一身に受けた女・桐壺の更衣。彼らの間に生まれた子は「光の君」と呼ばれ、あらゆる人々から愛される子でした。
『源氏物語』は後に「源氏の君」となる彼が主人公となって、平安貴族の栄光と、没落が描かれていく物語となっています。
こういった概要や教科書の記述からだと読み取ることは困難ですが、実は『源氏物語』には、かなり俗っぽい事柄が多数出てきます。現代的に平たくいうと、不倫に横恋慕、近親相姦に年下趣味などです。
- 著者
- 江川 達也
- 出版日
- 2001-10-20
そんなある種、破廉恥なところのある古典文学を、江川流の隠さないエロスで赤裸々に描いたのが、江川達也版『源氏物語』。
かなり刺激的な内容となっており、当時男女が顔を合わせるのは体を重ねる時だけだった事実から、顔を見る=性行為と同等という描写になるのが、とても面白いです。小箱にした排泄物で嫌がらせをしていたなどのエピソードは、普通の訳では想像することすら出来ません。
原文が併記されているので、対訳として読めば、平安時代の勉強にもなるでしょう。
日本のある時、あるところに、吉田ススムという小学3年生の男の子がいました。心根は優しいのですが、何をするにもうまくいかない少年で、いじめられがちでした。
そんな彼が、人間を幸せにするために下界に降りてきた天使「うんポコ」と出会います。きわめて脳天気で、たまに思い違いもするうんポコが、毎回さまざまなアイテムを駆使して、ススム達の幸せのために活動していきます。
魔動天使うんポコ 1 (てんとう虫コミックス)
江川達也の代表作といえば、まず『まじかる☆タルるートくん』が思い浮かびますが、本作はある意味で「タルるートくん」を凌駕する作品です。
作中では小学校低学年向けに、お馴染みのお色気や、はちゃめちゃ破天荒なギャグ(下ネタ)を満載しつつも、道具や人に頼ることの道義的問題が提起されていきます。
もちろん子供ウケしそうなキャラ造形と、目玉となる多数の秘密道具は魅力的。しかし、美味しくて止められないけれど食べ過ぎると巨大化するソフトクリームや、1本で多用途に使えるものの必殺技(?)で噴火が起きるゴルフクラブなど、道具には落とし穴があります。
ここからは、楽してもいいことはない、というメッセージが子供にも読み取れるでしょう。
主人公の村上直樹はルックスもよく、文武両道を地でいく完璧な男子高校生。彼はある日、友人に誘われ、同じ学校の女子テニス部の試合を観戦しにいきました。するとそこで、ヒロインの水野遥と運命的に出会うのです。
村上からの告白で付き合うことになった2人でしたが、遥の志望大学は、なんと東京大学。彼らは2人して猛勉強し、東大を目指していきます。
- 著者
- 江川達也
- 出版日
- 2015-09-26
江川の代表作にして、最大のヒット作が本作です。受験の悲喜交々……は本筋とほとんど関係なくて、その最中におこなわれる青春の光と影が、コメディタッチで描かれます。
当時としては、かなりオープンに描写される性事情が特徴的。村上と遥のプラトニックな恋愛と並行して、村上の決して褒められない肉欲が、面白おかしく出てくるのです。
また超高速で濃密な思考の表現として、異常なまでに細かい長文のモノローグが出てくるのも見所。そして、顔芸とも言えるレベルの百面相も見逃せません。
善悪はともかく、江川という漫画家を語るうえでは欠かせない、途轍もない問題作となっています。『東京大学物語』が気になる方は、見どころについて紹介した<漫画『東京大学物語』の見所を最終回までネタバレ紹介!まさかの妄想オチ!?>の記事をご覧ください!
ちなみに本作はIOSのスマホアプリで無料で読むことができますので、そちらからもどうぞ。
いかがでしたか?最近は漫画家というよりタレント活動が多いようですが、やはり彼の作品には面白いものが多くあります。今後もいろいろな作品が発表されることを願ってやみません。