当作品は大学合格を目指す熱血漫画……では、ありません!受験勉強よりも、女の子とイチャイチャしたい!! 若い男女の生々しい性表現と、クセの強過ぎる主人公が見所のラブストーリーです。 漫画家・江川達也の、最大のヒット作品『東京大学物語』。その衝撃的な結末から、実に賛否の分かれる作品となっています。今回は話題性抜群で、実写化までされた本作の魅力について、最終回までの内容をご紹介しましょう。
IQ300の頭脳と、恵まれた身体能力を持つ美形男子・村上直樹(むらかみ なおき)は、高校時代にテニス部だった女子生徒・水野遥(みずの はるか)に一目惚れします。
東京大学物語(1) (ビッグコミックス)
村上は勢いのままに水野に告白し、水野もそんな彼の告白を受け入れて、2人は瞬く間に交際を開始するのです。
そして、2人はともに東京大学へ進学し、充実したキャンパスライフを送るはず……だったのですが、ひょんなことがきっかけで、村上だけが受験に落ちてしまうのでした。
彼らの前途多難な恋の行方は、一体どうなるのでしょうか。
本作は主人公・村上の個性がとても際立っており、正直、嫌悪感を抱く人も少なくないのではないでしょうか。
彼はとにかく恵まれた才覚を持っているのですが、その優秀さに比例して異常なまでにプライドが高く、他者を常に見下しています。
東京大学物語(2) (ビッグコミックス)
その反面、他人からどう見られているか常にビクビクし、自分の立場が危うくなれば平然と他者に責任を転嫁するといったような、卑怯な行為もするような人物なのです。加えて、異常なまでの性欲の強さを持ち、妄想癖まで抱えています。
以上の事から、常に彼の精神状態はグラグラと不安定です。そのせいで、水野以外の女性と容易く肉体関係を持ってしまうといった事もしばしば。女性からは「最低」と言われても仕方のない人物といえるでしょう。
しかし、そんな彼の欲望が大爆発するさまは、まさしく男性が若い頃に抱えている鬱屈した想いを凝縮したようなもの。諸手を挙げて彼に共感出来る人はなかなかいないかもしれませんが、その節々で男として共感してしまう部分は必ずあるはずです。
そんな、若い頃の自分を振り返って「痛かったな……」と思ってしまうような行動の体現者が、村上という主人公なのではないでしょうか。
村上が(ある意味で)魅力的な人物であることはお伝えしましたが、そんな彼と関係を築いていくヒロイン達もまた、美女揃いで魅力的となっています。
特にメインヒロインである水野については、実に正統派といったキャラクターです。
東京大学物語 (3) (ビッグコミックス)
村上が一目惚れしただけの事はあり、見た目の可愛らしさは申し分ありません。明るく素直ですが、ちょっと天然なところがある彼女は、多くの女性と肉体関係を築く村上の事も一途に信じ続けます。
一時的に他の男性と付き合う事はありましたが、村上の事を想って肉体関係を持つことはなく破局するのです。
そして、そののちも村上から放置されながらも、それを愛情の裏返しのプレイであると勘違いしながら好意を寄せ続けたのでした。そんな彼女を筆頭に、本作には実にさまざまな可愛い女の子が登場するのです。
しかも、そんな彼女達と村上の肉体関係はしっかりと描写されており、エロシーンとしてのインパクトも抜群。
思わずドキドキしてしまうような生々しい性的描写も見所ですので、ぜひご一読ください。
あらすじでもご紹介したとおり、村上は水野とともに東京大学に入学する事が出来ませんでした。その理由というのが、なんと受験前夜に、高校時代の水野のクラスメートである鈴木英里(すずき えり)と浮気をしたからだったのです。
しかも村上にとっては、この時が初の性体験。水野よりも早く肉体関係を築いてしまった事になります。メインヒロインを差し置いて別の女性と肉体関係になるというだけでも、かなりヤバイ人間であるといえるでしょう。
東京大学物語 (4) (ビッグコミックス)
しかし先述のとおり、彼はこの後も数多くの女性と関係を持っては別れるといった事をくり返します。精神的な弱さから拠り所を求めてしまったがゆえの行動とはいえ、次々と溢れる性欲を発散していくさまは、もはや清々しい程。
そんな彼がフラフラと数多の女性を渡り歩きながら、水野との関係を追い求める様子も、本作の見所といえるのではないでしょうか。
ここまで、登場人物達の織り成す破天荒な恋模様を中心とした見所についてご紹介してまいりました。ですが、本作がとにかく話題になっているのは、なんとこの物語自体がすべて妄想オチだったというところにあるでしょう。
これまで壮大に村上と水野の恋愛について描いていたにも関わらず、実はその物語はすべて小学4年生の水野遥が思い描いた虚構の内容であった、というとんでもない結末が本作のラストで明らかになるのです。
この衝撃的なラストによって、本作はその評価がきわめて難しく、賛否が真っ二つに分かれる作品となっています。では、なぜ作者は、そのような非難も集まるラストシーンとしたのでしょうか。
実はこのオチについては、作者からのあるメッセージが込められているのでした。
- 著者
- 江川 達也
- 出版日
実際のメッセージについては、ぜひ作品でご自身の目で確認していただければと思いますし、その解釈も人それぞれであるでしょう。
ですが、おそらく作者の言いたかった事とは、妄想が否定されてしまった時に、否定されてしまったという悪い状況を受け入れて次々と新しい妄想をするべきだ、という事だと考えられます。
ポジティブであるためには、新たな妄想を次々と生み出していく事も必要だ、ということなのでしょう。
受け取り方はさまざまな内容であるとは思いますので、自分なりの考察で楽しみたいという方は、ぜひ作者のあとがきまでチェックしてみてください。
作者の江川達也について気になった方はこちらの記事をご覧ください!
江川達也の意外な3の事実!豪邸&高級車……金持ちぶりが凄まじい!
TVタレントとしても活躍する、日本の漫画家、江川達也。エンタメ性が高く、エロスの多い作風は、賛否両論ながら高い人気を誇っています。完全なフィクションの他、史実や古典名作のコミカライズを積極的に手がけていることでも有名です。 今回はそんな江川達也について、プロフィールや驚きのエピソードなどをご紹介したいと思います。
東京大学物語 (1) (ビッグコミックス)
ここまでご紹介してきた本作は、いかがでしたでしょうか。人を選ぶ内容ではあるものの、読者のセンスにガチっとハマれば、実に読みごたえのある秀逸な作品であるといえるでしょう。
未読で少しでも興味を持った方は、これを機にぜひ手に取って、最後まで読み進めてみてください。