ちょっと(?)太めなOLが、明るく誠実なイケメンとの関係を発展させようと四苦八苦する、グルメラブコメディ漫画。主人公のOLによるダイエット奮闘記と、それを台無しにするような食べっぷりの食事シーンが満載となっている、ゆるくて笑える作品となっています。 今回はそんな本作の魅力を、全巻分ご紹介。スマホの漫画アプリから無料で読むこともできるので、そちらもご利用ください。
ぽっちゃり体型なOL・丸山杏は、とにかく食べるのが大好き。
ですが、同じ部署で憧れの同僚である沢谷優との関係を進展させるためには、今のままの身体ではとても叶わない、と彼女は考えるのです。
ぽちゃこい ( 1) (ニチブンコミックス)
2017年01月19日
そして、一世一代のダイエットを開始しようとするのですが……結果はなかなか振るわず、失敗ばかりのまま、また食べ過ぎてしまうのでした。
果たして彼女はダイエットを成功させ、素敵なプロポーションを手に入れられるのでしょうか。そして、憧れの沢谷と恋人関係になる事が出来るのでしょうか。
本作の主人公である丸山杏は、タイトル通り、かなりのぽっちゃり女子。というより、身長と体重から考えれば、言い逃れ出来ないくらい太っているといえるでしょう。
そんな彼女は、食べる事に関しては特に我慢がきかず、魅力的なご飯の前では、すぐさまダイエットの初志が揺らいでしまうのです。そのため、彼女のダイエットは基本的に順調に進む事の方が珍しく、大抵の場合は消費カロリーを上回るほどに食べてしまいます。
そんな彼女の様子は、もしかしたら読んでいてやきもきするようなものかもしれません。実際、彼女自身も、自分の意思の弱さに自責の念が募るほどなのです。
ですが、そんな不完全なところだらけの彼女が、戻ったり進んだりしながら目標達成に向けて頑張るからこそ、思わず応援したくなるような気持ちになるのではないでしょうか。
本作は、丸山と沢谷の恋の行方が気になるラブコメディ作品ですが、それと同時に丸山の食事シーンを堪能するグルメ漫画としての側面もあります。
彼女は基本的にダイエットを志し、日々減量を意識する事になるのですが、それと同じかそれ以上に食欲に敗北するシーンが描かれています。そして、その度にとにかく食べたい物を、食べに食べまくる事になるのです。
ハンバーグ、スイーツ、豚骨ラーメン……。カロリー、糖質、脂質なんのそのといった様子で、とにかく欲望のままに美味しいものを食べまくるシーンが目白押しとなっています。そして、そんな彼女は美味しいものを頬張った瞬間、決まって「うん まー!!!」と感嘆の声を上げるのです。
その様子が本当に美味しそう。読者としても読んでいて、気持ちのいい食べっぷりといえるでしょう。
こうした、ヒロインでありながら、食べっぷりに魅力を集約したような彼女の様子こそが、本作における各話の山場といえるのではないでしょうか。
また、そんな彼女が食べる物も実に美味しそうに描かれているため、彼女でなくても食欲を刺激される事請け合いといえます。
とにかく食に対して魅力たっぷりな本作を、余すところなく召し上がってみてはいかがでしょうか。
ぽちゃこい ( 1) (ニチブンコミックス)
2017年01月19日
ヒロインである丸山と、その恋愛対象である沢谷についてはすでにご紹介しましたが、本作ではそれ以外に登場する人物も個性豊かで、濃い面々が揃っています。そのうち、序盤から登場する主要なキャラクターをご紹介しましょう。
まずは同じ部署の後輩で、丸山と同じく沢谷に惚れている長澤です。彼女は丸山とは違い、美人でスタイルもよく、部署内からの評判も上々という、いわゆる「デキル女」といった人物。
ですが、性格に少しだけ難があり、表面上は明るく可愛らしい振る舞いをしながらも、腹の中では太っている癖に沢谷に気がある丸山を見下して、嘲笑っています。
そのため、作中でも丸山にだけわかるように下衆で悪意のある笑顔を向けるなど、実に露骨な悪役に徹しているのです。その表情変化のバリエーションは物語が進むごとに豊富になり、もはや顔芸の域へと昇華されていくほどで、それが笑いを誘います。
しかし、単に性格が悪い人物というだけではなく、常に自分の美貌やスタイル維持のために奮闘するなど、ストイックな一面も。そういった意味では、丸山とは実に対照的なライバルキャラといえるのではないでしょうか。
続いてご紹介するのは、アメリカ支社からやってきた同僚・オラ王子です。彼は初登場時から実にクセの強いキャラで、常に自信満々な様子が印象的な人物。
また、丸山に対し平気で豚だのデブだのと罵倒の言葉で攻め立ててくる、容赦もデリカシーもない性格をしています。しかし、実は内心で彼女の食べている時の顔が可愛いと思っており、その顔を見たいがために幾度となく彼女を食事に誘うのです。
本人は気付いていないのかもしれませんが、丸山が沢谷とともに行動している時はあからさまに不機嫌になるなど、どう考えても焼きもちを焼いているとしか思えない描写が幾度も描かれています。
そのツンデレぶりが、自信過剰な彼のキャラクターとのよいギャップになっており、思わず愛らしく感じてしまうのではないでしょうか。
このように、本作に登場するキャラクターは主役2人以外にも魅力に溢れた人物が揃っているため、彼らにもぜひ注目して読み進めて頂ければと思います。
ここからは、単行本ごとの見所をネタバレ紹介していきます。
まずは丸山がダイエットを志し、行動を開始するところから始まる第1巻です。想い人に顔向け出来るように幾度となくダイエットに挑む彼女ですが、その度に誘惑に負けて食べてしまって3㎏太ったり、沢谷に誘われたからと嬉しい気持ちに任せて食べてしまったりと、なかなか思うようにダイエット出来ません。
そして、そんな彼女の様子を見ては、長澤やオラ王子たちが間に入ります。しかし、それが結果的に丸山と沢谷の関係に微妙な変化を起こしすなどして、事態はよりややこしい事になったりするのです。
ぽちゃこい ( 1) (ニチブンコミックス)
2017年01月19日
そんなてんやわんやの本巻の見所は、クライマックスで丸山と沢谷が、あらためてお互いの事を意識するようになるシーンでしょう。
1度はオラ王子の出現により微妙な空気となってしまった2人でしたが、そんな状況をよしとしなかった沢谷の行動もあって、ようやく関係を修繕する事が出来ました。
そして、それまでよりも、さらにお互いを特別な相手として意識するようになっていくのです。実に王道のラブコメらしい展開で、盛り上がる事間違いなしといえるのではないでしょうか。
悪役2人(?)の奮闘ぶりも、長澤の表情含めてかなり面白いので、要注目です。
最終巻となる本巻では、いよいよ恋愛展開もクライマックスに向かいます。
前巻でひと段落ついたかに見えた2人の関係性ですが、やはり、それでは現状維持がやっとです。相も変わらず、実家でのお汁粉や、オラ王子からの食べ物攻めなど、丸山のダイエットの障害は次々と襲い掛かります。
ですが、それと合わせて長澤の沢谷に対するアプローチも本格化してきて、丸山もいよいよ呑気に構えてはいられなくなってくるのです。そして自分に自信をつけるため、本格的にダイエットに向けて動き出します。
そんな彼女の、恋の行方は……?
- 著者
- ムラタコウジ
- 出版日
- 2018-07-19
そんな本巻の見所は、やはり最終話に向けての丸山の変化でしょう。
これまで口だけでは、ダイエットに本腰を入れる発言を続けてきたものの、いまいち危機感の足りなかった彼女。しかし、長澤の沢谷への告白なども相まって、これまでの自分自身との決別を求められる事になります。
クライマックスに向けて、きっちりヒロインとして成長していく様子が描かれているため、これまで以上に彼女を応援したくなるような展開となっているのです。
本筋である恋の行方を見守ってあげたくなるような内容となっていますので、ここまで読んだ方であれば、ぜひ最終話まで読み切って頂きたいと思います。
彼女の努力は、無事に実るのでしょうか。