強みを活かせる何かを仕事にしたい自分に悩んでいる人におすすめの本

更新:2021.12.2

「人の目を気にしない生活」を選んだがゆえに「人の目が異様に気になる」。 「ユニークな人になりたい」けど「常識はずれな人にはなりたくない」。 「普通なんてない」といいながら「平均が気になる」。 変わった人だねと言われることに喜びを感じつつも、その裏の裏まで気になってしまう…自意識過剰を順調に育てて来た筆者が送る、「自分との戦い」ならぬ「自分との痴話喧嘩」に悩むあなたにおすすめの新書、ご紹介します。

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仕組みはできるものじゃなくて作るもの

恐ろしいことにもう年末である。電車もこころなしか混んでいる気がする。連日酒臭く帰りながら、たまにシラフで帰る晩は電車のよっぱらいにうんざりしたりもする。酔っ払って帰った日の翌朝は、昨晩の醜態に壁に頭を打ち付けたい気持ちと戦いながら、身支度をする。ああ、年末。

毎年のことではあるのだけれど今年は特に変化の年だった。

本業は2回変わり、転職の切り替わり時期で始めた仕事がなにやら多方面に分岐。大学時代の旧友と映像制作の仕事をする機会をもらい、ひさしぶりに徹夜で仕事なんてことも。この仕事もそうだけれど「文章を書く」とか「映像を作る」とかいわゆる「クリエイティブ」と呼ばれる仕事は、「やってもやってもおわらない」苦しさとその先のナチュラルハイ(合法的な幻覚症状がおきること)が楽しいものである。もっとも自分は2週に1回のこの場と、スポットで入ってくる仕事でしかやっていないので、いわゆる「日々産みの苦しみと戦う人たち」とはまた違うのだろうけれど。

いろんな仕事をやって見るということが、社会通念としていいこととは言い切れないのだろうけれど、まっこうから説教してくるひとがいると「それは違う」といいたくなる。「業種」「職種」に適正があるように、働き方にも適正があると思う。いかんせん、自分は飽きっぽい。本からのインプットは並みの人には負けない自信があるけれど、人と出会って話をして、時には飲んで、嫌味を言ったり言われたりして…そこからえられる情報も好きである。だからいろんな人と会ってみたい。引き出しも増やしたいからへんな資格をとることも。「インスタ映え」ならぬ「履歴書映え」重視で「毒物劇物取扱責任者」と「エコ検定」という相対しそうな資格も取った。

さらに振り返ってみると「作業に対して飽きっぽい」「じっとしているのが苦手」「お節介」といった「特性」が面接で言う「短所」としてあるのだけれど、実はそれ以上に「自分に飽きてしまう」のがずっと怖い。

著者
坂爪真吾
出版日
2018-10-16

ちょっと話題のピークがすぎた感じはあるが「パパ活」の本である。経済的な援助をしてくれる、いわばミニマムなパトロン「パパ」を見つけ、手のひらで転がし、運用していく活動のことである。(筆者の理解による意訳を含む)。別にこの本を通じて世の中に社会課題をアピールしたいとかではない、というのだけ前置きさせてほしい。

 

 

新書によくある『〇〇の社会学』という本ではあるものの、どちらかというとインタビュー集といったところである(そういうインタビューこそが社会学なのだ!という人がいたら申し訳ないが)。これがまた切り口を気張って設けた感じもなく、登場してくる女性陣もどこかひょうひょうとしている。「実録!〇〇」みたいな、コンビニに置いてある俗っぽさをひたすら煽るものとはわけが違う。「パパ活」という言葉に飛びついて読み始めると意表をつかれるところがある。

そもそもこの帯であおっている「社会課題の集積地」っていうほど、課題感もない。それぞれが抱えている課題の粒感も違えば、新しい男性との接し方と割り切って行動している人もでてきて、そういう人からすればそもそも「課題」とか勝手に押し付けないで欲しいと感じる気もしないでもない。

特におもしろいのは、この本の大半を占めるインタビューが終わったあたりからでてくる「パパ活」の発生経路である。ちょっとここらへんから社会学っぽくなってくるのかと思うと、今度はビジネスの仕組みの話になってくる。「パパ活」は業界が作った新しいシステムで、稼ぎ方やビジネスを広げて行く上での注意点はあれとこれですといった文の運び。「パパ活」を若い女性の中で自然発生した何かだと思っていた自分からすると、それがそもそも驚きである。仕組みだったのか!っていう。

まあでもそう考えると、「パパ活」は「愛人」よりかは毎月かかる費用も抑えられるし、「キャバクラ」よりかは1夜にドカンとお金が消えるバブリーな感じもないし、流行りのサブスクリプションモデルみたいなものなのだろう。

それでいうと「自分」を何か売れる新しい風を起こしたいとかムーブメントにのっかりたいという目指し方がそもそもおかしくて、「仕組み」をつくるか「仕組み」に乗っかるかっていう問題なのかもしれない。

 

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