自身の運営するWebコミックサイトなどで活躍する、日本の漫画家。シンプルながら印象的なキャラクター造形と、シュールな笑いを誘う4コマ漫画に特徴があります。 今回は、この新進気鋭の鬼才漫画家についてご紹介。彼の何がそんなに凄いのか、イケメンと呼ばれることは事実なのか、多岐に渡るニャロメロンをどうぞ。
本名は非公開、大分県出身の日本の男性漫画家です。1988年10月3日生まれの30歳(2019年1月現在)。
大分大学の漫画研究会に参加し、Web漫画サイト「週刊メロンコリニスタ」を運営。そこで公開されていたシュールな作風の4コマ漫画が話題を呼び、同大学院在学中に、秋田書店からのオファーで商業デビューを果たしました。
大学ではAI(人工知能)の研究をしており、本来は研究者の道に進むはずだったという異色の経歴を持っています。
シュールすぎる4コマ漫画とは対称的なバリバリの理系出身、というだけでも充分インパクトがあるのですが、顔出しのインタビューから、しょうゆ顔系のイケメンであることが発覚しています。
- 著者
- ニャロメロン
- 出版日
- 2014-05-30
そもそもニャロメロンが漫画家になった発端は、彼が高校生の時に流行ったYouTubeなどの動画サイトの影響だといいます。当時流行のサブカルに触れてオタクとなり、上記の経歴を辿って現在に至ったようです。
そんなインターネット時代の申し子のような彼ですが、自身が発信者となって影響をおよぼしたことがあります。およそ性的雰囲気と無関係な画像に「このあと滅茶苦茶セックスした」と入れるコラージュ(画像編集)の元ネタが、誰であろう、ニャロメロンなのです。鬼才を感じさせる意外なエピソードではないでしょうか。
まずニャロメロンで特徴的なのが、彼の描く登場人物の特異なデザインでしょう。
棒人間に少しディテールを書き足したような体に、ジャンケンのグー、チョキ、パーにも似た不思議な頭を持ったキャラクター。これがニャロメロンの漫画サイト「週刊メロンコリニスタ」に登場する「4コマーズ」と呼ばれる者達です。頭のシルエット以外は、点と線だけの単純な表情が共通しています。
彼ら4コマーズには奇妙な存在感があり、マスコットとしても人気です。多数のグッズが出ているところから、その人気が窺えるでしょう。
商業作品では新たに擬人化キャラクターを登場させていますが、動物よりも無機物が目立ち、モチーフとなったものが原型を留めた状態で丸ごと顔になっているのが特徴です。
高校からオタクデビューを果たしたニャロメロンですが、今では立派に一家言持つ、この道の人となっています。
その1つがアニメです。
それも、そんじょそこらのアニメではありません。日本ではあまり馴染みのない、アメリカやヨーロッパなどで放映されている、カートゥーンアニメなのです。初期のディズニーや『トムとジェリー』といえばイメージ出来るでしょうか。
どこから仕入れたのか不明ですが、それらカートゥーンへの知識とこだわりが尋常ではありません。たとえば『おかしなガムボール』と言われて、すぐわかる人がどれだけいるでしょうか?
その凄まじい熱量から、情報サイト「ヌートン」で専用の連載を持つほどです。ひょっとするとシュールな笑いは、このカートゥーン由来なのかもしれませんね。
ニャロメロンはシュールさがウリの4コマ漫画家ですが、その作中で、時折ゲームのパロディを描くことがあります。そのパロディの度合いから、かなり気合いの入ったゲーマーであることが窺えるのです。
わかりやすいところでは定番の『スーパーマリオ』や、裏技コマンドが有名な『グラディウス』。ゲーム開発途中の謎めいた不気味なメッセージをネタにしたり、システムの穴を付いたバグをモチーフにしたりと、知ってるとクスリとくるマニアックなものまであります。
近年では、作品自体がゲーム業界へのオマージュの塊ともいえる『Undertale(アンダーテール)』にも傾倒しており、そのなかでの特徴的な場面をネタにすることもあるようです。
あるところに、元気な1人の女の子がいました。
彼女の名前は、チャイム・リンガベル。クリスマスの夜に出会った両親――サンタクロースの鳴らすジングルベルの母と、冬休みの校舎で哀愁漂わせていた学校の鐘の父が出会って産まれた、鐘の女の子です。
- 著者
- ニャロメロン
- 出版日
- 2014-12-10
あらすじではまったく意味がわからないと思いますが、これがニャロメロンの商業デビュー作。基本的にはリンガベルを中心とした擬人化(?)キャラクター達が、毎回シュールで破天荒な言動を見せる4コマ漫画となっています。
4コマの性質上1ページごとにボケが描かれるのですが、どのキャラクターもボケに回るので、どこがネタの始点でどうオチるのか予想不可能です。そしてオチの後、コマの最後に掲示される作品のタイトルでさらにオチるので、常に油断出来ません。
ちなみに『ベルリンは鐘』というタイトルは「ベルリンの壁」をパロったものですが、それに特に意味はないようです。
どことも知れない場所で、助けを呼ぶ声がします。そこには包丁を突き付ける男(?)と、手を上げて怯える人物がいました。
包丁の男は無感情にそれを振り下ろし……見事にケーキを切り分けます。彼は凶行におよぼうとしていたわけではありませんでした。
しかし、再び悲鳴が上がります。2人の背後には崖から落ちそうになっている第三者がいたのです。
- 著者
- ニャロメロン
- 出版日
- 2014-05-30
これぞニャロメロンの真骨頂。「週刊メロンコリニスタ」で連載され、そのうちいくつかをピックアップして書籍化したのが『濃縮メロンコリニスタ』であり、『凝縮メロンコリニスタ』なのです。
誰にでも状況のわかるシンプルな絵柄と、判別しやすいコマの移行。そこからの予想不能なオチと、最後に付記されたタイトルの2段オチ。先述した『ベルリンは鐘』でも見せたニャロメロンのスタイルが、すでに完成されています。
あまりにもシュールで、しばしば理解までにタイムラグを要することもあるでしょう。しかし、この勢いとネタの濃度が癖になるのです。理不尽かつ不条理でありながら、起承転結はしっかりしているという不思議な感覚は病み付きです。
- 著者
- ニャロメロン
- 出版日
- 2015-12-25
いかがでしたか?ニャロメロン本人のエピソードから、彼の作品が気になったのではないでしょうか?Web連載作品は手軽に読めるので、これを機に試しに読んでみてください。