今回は、『GTO』の最終回まで含めた名言をランキング形式でご紹介。説明不要の学園ドラマの傑作『GTO』。元ヤン教師による予測不能、大胆不敵な教育で、生徒や教師、保護者をも巻き込んで学園内の問題を解決する痛快な作品です。過去には実写、アニメと映像化も数多くされた名作漫画。胸がアツくなる言葉は、まさに必見です。
かつて最強の不良集団として名を馳せた「鬼爆」。その1人として恐れられていた鬼塚英吉(おにづか えいきち)は、替え玉試験で優羅志亜(ユーラシア)大学に入学し、その後(不純な動機がきっかけで)教師になる事を目指します。
- 著者
- 藤沢 とおる
- 出版日
- 1997-05-14
しかし、彼は面接で訪れた東京吉祥学苑で、腐敗した教育現場の実態を目の当たりにします。そして、そんな学校教育を変えたいという一途な想いに目覚めるのです。
彼の誠実な姿勢を見出した理事長は、彼を中等部の教員として採用する事を決めたのでした。
ここから、鬼塚の世界一グレートな教師を目指す物語が始まったのです。
本作の魅力は実にさまざまで、挙げ始めたら切りがありません。しかし、何と言っても、破天荒な主人公・鬼塚が退廃した教育現場にガチンコでぶつかっていく様子が、1番の魅力といえるのではないでしょうか。
彼は決して正義の味方というわけではなく、むしろ世間一般的には「クズ」とまで揶揄されるような人種だといえるでしょう。暴力沙汰は日常茶飯事で、その他、犯罪行為スレスレ(アウト?)な問題行為も目白押しです。
また、先述の替え玉で大学を卒業した事などからもわかるとおり、本来は教師として勉強を教えられるほど頭がいいとは言えません。
ですが、そんな彼だからこそ、他の打算で生きている大人には出来ない、真っ直ぐなぶつかり合いが出来るのです。
たとえば、普通の教師であれば、生徒に手を挙げればどんなトラブルが起きるのかを恐れ、叱責すら満足に出来ない実情があります。しかし、鬼塚はそういった社会的な体裁を保つ考えよりも、「ものの道理」を通したいという信念を重視しているのです。
そのため、時には自分の身や体裁が危険に晒されようとも、生徒に真っ向からぶつかっていきます。生徒を1人の人間として接し、時には暴力を振るおうとも叱責するのでした。
そんな真っ直ぐで飾らず、偽らない彼の姿勢に対し、荒んでいた生徒達の心は徐々に開かれていきます。
この後にご紹介する名言の数々は、そんな鬼塚が作中で生徒達の事を真剣に想っているからこそ生まれた言葉であるといえるのではないでしょうか。
また、一部鬼塚によって影響を受けた人物による名台詞もご紹介。生徒だけではなく、教育現場に関わる人物すべてに影響を与える鬼塚というキャラクターの魅力を感じていただければと思います。
この台詞は、彼が教育実習にて訪れた東京都立武蔵野吉祥寺東高校で出会った女生徒・水樹ななこに向けて放ったものです。
彼女は両親の不仲という事情を抱えており、信頼できる鬼塚の家に逃げ込んできたという経緯があります。しかし、鬼塚は彼女の家はここじゃないと冷たく突き放し、水樹は渋々と家に帰る事になりました。
- 著者
- 藤沢 とおる
- 出版日
- 1997-07-15
そんな彼女の家に、鬼塚はなんとハンマーを持って現れ、ななこと両親の居室の間にある壁を叩き壊してしまうのです。あまりにも突拍子もない行動に、あわや警察に通報かというところまでいくことになります。
しかし、時間が経って鬼塚の作った大穴から顔を見合わせた両親は、これまでの夫婦間の凍てついた関係をぶち壊されたように、少しずつ打ち解け合うようになるのでした。
鬼塚が保護者まで巻き込んで問題を解決したエピソードの代表的例といえるでしょう。
クラスでイジメを受けていた生徒・吉川昇。そんな彼に対してイジメをくり返していた主犯格が、同じクラスの女生徒である杏子です。
女子生徒からのイジメ、とはいっても吉川に対するそれはすさまじいモノで、人間としての尊厳を踏みにじるには十分すぎる程の仕打ちでした。
実際、その仕打ちを受けた吉川は、自らの命を絶とうとすら考えた程です。
- 著者
- 藤沢 とおる
- 出版日
- 1997-09-13
そんな杏子に対して、鬼塚はこれまで吉川が受けてきた仕打ちをまとめて、倍返しするような勢いで仕返しをおこないます。
そんな仕返しの最後に、鬼塚が彼女達イジメっ子に対して言い放ったのが、この台詞です。
普段は女好きで異性に対してだらしない面も見せる彼ですが、悪い事に対する制裁であれば男女平等、という正義感がカッコいい場面ではないでしょうか。
同僚の教師であり、後に鬼塚に対して恋心を寄せるようになる人物・冬月あずさに向けた言葉。
彼女は登場当初から生徒との接し方がわからずに悩んでおり、あまつさえ生徒からイジメを受けるほど追いつめられていました。
- 著者
- 藤沢 とおる
- 出版日
- 1999-11-15
そんな彼女は生徒達と良好な関係を築いている鬼塚に、生徒との接し方について相談します。そこで鬼塚は、そもそも教師と生徒という立場を取り払って、1人の人間として接するようアドバイスをするのです。
これによって、冬月はそれまでの生徒達に対して感じていた隔たりを超えて一歩踏み込み、吹っ切れた様子で教壇に向かうのでした。
まさしく、教師・鬼塚英吉が実践する「グレートなティーチャーの在り方」の原点といえるでしょう。
ランキング9位でご紹介した女子生徒・杏子に対して、鬼塚が告げた一言。
元々吉川をイジメの対象としていた彼女ですが、ある事件の際に吉川に救われた事をきっかけに、彼のことが気になってしまって仕方がない様子でした。
しかし、元々吉川を見下していた彼女は、自分が彼の事を好きだという気持ちを素直に認める事が出来ず、どうしていいかわからないようです。
- 著者
- 藤沢 とおる
- 出版日
- 1999-11-15
そんな杏子に、鬼塚は吉川のぼるという男子を好きになってしまった事、吉川のよいところを知っているからこそ好きになってしまった事を素直に認めるよう働きかけます。
生徒と同じ目線で話せる一方で、色恋沙汰についてもキッチリと大人の男としての観点でアドバイスできる、そんな鬼塚の人間としての器の大きさが垣間見える一幕です。
クラス内で断トツのトロさが特徴の女子生徒・野村トモ子(通称トロ子)は、のんびりしすぎて目立たない、地味な女の子。
イジめられているわけではありませんが、おっとりしすぎている事からやや小馬鹿にされているような立場であり、本人もそれを自覚している様子です。
- 著者
- 藤沢 とおる
- 出版日
- 1998-01-13
しかし、そんな彼女に対し、鬼塚はなんと芸能界デビューを目指すように働きかけるのでした。トロ子自身を含めた生徒達が予想外の抜擢に驚くなか、鬼塚だけが彼女の素質に気付き、そのよさを発揮できるように考えていたのです。
そして、キッチリと鬼塚の読み通り成果を出したトロ子に対し、この台詞で励まします。
一見振り回しているようで、最終的には生徒の自信を付けさせるために動いていたという、粋な鬼塚らしいエピソードといえるでしょう。
ランキング5位はこれまでとは違い、鬼塚の言葉ではないところからの抜粋となります。この発言をしたのは、内山田ひろし教頭という、GTO読者の間でもファンの多いキャラクターです。
彼は登場して間もなく不良生徒を「クズ」呼ばわりしたり、その後も自己保身のために生徒を切り捨てようとしたり、ストレスのはけ口として電車内で痴漢行為をくり返したりといった、教育現場の腐敗を象徴するような人物でした。
常識外れの行動ばかりくり返す鬼塚に対しても、明確に敵対心を剥き出しにしており、彼を学苑から追放しようと躍起になっていた時期もありました(鬼塚によって愛車のクレスタを何度もオシャカにされているので、無理もありませんが)。
- 著者
- 藤沢 とおる
- 出版日
- 2000-12-13
しかし、そんな内山田教頭は、自殺を図ろうとした女生徒の捜索を打ち切ろうと発言した際に、鬼塚から拳での一撃と叱責を受けます。そして、必死に女生徒の捜索を続けようとする彼の姿を見て、自らが目指していた教育者としての在り方を思い出すのです。
そんな熱血教師時代の自分を思い出した内山田。鬼塚に対し感謝の意として告げたのが、この名台詞です。内山田は、鬼塚によって振り回されるだけ振り回されるギャグキャラの印象もありましたが、このエピソード以降は教育者らしい姿を見せる事も多くなりました。
真正面からぶつかる鬼塚の精神が、敵対していた人物までも取り込んでしまった好例であるといえるでしょう。
ランキング第5位でご紹介した、内山田教頭を教育者として立ち直らせた、鬼塚の一言です。この言葉を受けるまで真剣に生徒の事など考えていなかった内山田に対し、鬼塚がブチギレて鉄拳とともに言い放ちました。
これを受けた後、内山田の熱血教師時代についての回想があるのですが、やはり彼も熱い教育者魂を持った1人の若い教師だったという事がわかります。
鬼塚の熱い心に触れることで、内山田自身もかつての熱意を取り戻す感動的なシーンです。
自殺を図ろうとした女生徒を救い、学校へと帰ってきた鬼塚。しかし、そこに居たのは鬼塚についての問題行動を記した文書を受け取った保護者達でした。
明らかに教師として相応しくない彼の姿を見て、口々に非難を始める保護者達。生徒達の素行が悪くなったことは、すべて鬼塚という教師のせいに違いない、という方向に話が変わり始めます。
- 著者
- 藤沢 とおる
- 出版日
- 2000-12-13
自分達の親としての責任も忘れ、子供達についての問題を他人のせいにしてしまう彼らの姿勢に、いよいよ鬼塚も怒り心頭です。
そして、自分の子供に対して不信感を持つ親を、生徒の視点に立って叱責したのがこの台詞。鬼塚が保護者や教師達に対して怒る時は、ほとんどが生徒の事を真剣に考えている時なのです。
自分に対する非難の声よりも、子供が間違った方向に進んでいるのだと思い込んでしまっている保護者達に対して怒るところが、他の教師達とは違うところですね。
最終巻まで続いていた学苑にとっての大事件が解決し、その事件で負傷を負った鬼塚が病院の屋上で、親友・弾間龍二(だんま りゅうじ)に呟いた一言です。
普通の教師なら嫌になって逃げだしたくなるような学苑内の問題も、彼にとっては一教師として積極的に関わりたい仕事に他なりません。学苑に赴任してきてからも、何度となく立場が危うくなるような事件に巻き込まれ、時として命まで危険に晒されるような目にも遭ってきた鬼塚。
GTO(25)<完> (講談社コミックス)
2002年04月15日
しかし、それを踏まえても、彼にとっては学校での教師生活というものは堪らなく魅力的で、少しでも長く居続けたい場所である事に変わりはないようです。
人生を賭して教師であり続ける彼の姿は、連載から何年経っても先生の理想像であると感じられます。
年々、生徒と教師の関係が冷え切ってしまうような世の中においては、やはり彼のような教師こそ必要なのではないでしょうか。
- 著者
- 藤沢 とおる
- 出版日
- 1997-05-14
こちらの問いは、作中のキャラクターの台詞ではなく、最終話にて作者である藤沢とおるから読者に宛てられたメッセージです。日本において学校というのは、中学校までは義務教育として誰もが通う場所です。
だからこそ、誰しもが学校という場所について特別な思いを抱いています。
GTO(25)<完> (講談社コミックス)
2002年04月15日
しかし、卒業して年齢を重ねるにつれて、学校に対する想いは薄れていくことでしょう。このシンプルな言葉は、最終話まで本作を読んできた読者にとっては、学校に対する価値観を改めさせるような意味合いさえ持ちます。GTOの物語を通して、「自分にとって学校とはどんな場所だったんだろう」「教育とはなんだろう」という事を読者に考えさせるのが、作者の狙いだったのでしょう。
『GTO』を読んだ事がある方も、そうでない方も、この台詞に対する自分の想いを確認するために、最終話まで読み進めてみてはいかがでしょうか。
『GTO』を含む大人買いしたくなる完結した漫画を集めた<大人買いしたいおすすめ漫画ランキングベスト5!一気に楽しめる完結名作>の記事もおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。