【山下耀子のごきげんなワケ】飾ることなく

【山下耀子のごきげんなワケ】飾ることなく

更新:2021.12.6

ごきげんよーこ! 全国各地には「ゆるキャラ」という見た目がゆるいキャラクターがいますよね。目的は、地域おこしや企業PRなど様々です。その愛らしい見た目から地方のイベントにまで追っかけちゃうファンがいるほど。年に一度ゆるキャラ界の1番を決める「ゆるキャラグランプリ」が開催され、昨年もニュースで取り上げられていました。 そんなゆるキャラ界に一風変わったゆるキャラがいるのをご存知ですか?

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ゆるくないゆるキャラ?

ゆるキャラは、私の愛する高知にもたくさんいます。2016年のグランプリに輝いた「しんじょう君」を筆頭に、名産のゆずをモチーフにした「とさゆずのやま」やショウガをモチーフにした「しょうがちゃん」、土佐くろしお鉄道「ごめん・なはり線」20駅の各駅に一体ずついたりと数え切れません。

なかでも私がファンなのは、「カツオ人間」です。名前がまるで妖怪のようですが、名前だけでなく見た目も衝撃的で異彩を放ち、人気のキャラクターなんです。

くりっとした大きい目で一見可愛らしいのですが、実はスパッと切り落としたカツオの頭部なのです。よく見ると切り落とし部分の赤身と骨が丸見え(笑)

このように名前も姿もゆるキャラらしくないのですが、さらにゆるくないのは性格です。例えば、東京でお仕事をする時の告知ツイートは、

「カツオ人間、明日は東京の表参道で仕事やけんど、一緒に写真撮るばぁのことやき楽勝じゃ。終わったらチンであがって神楽坂でギャルズとデートするがやき。ひゃっひゃっひゃっ!」

(カツオ人間、明日は東京の表参道で仕事なんだけど、一緒に写真撮るくらいのことだから楽勝だね。終わったらすぐにあがって神楽坂で女の子たちとデートするんだから。)

ファンとの撮影会を「楽勝」と言いつつ、もうすでに終わった後のことを考えている…。ゆるキャラとは思えない呟きです(笑)。このようなツイートは土佐弁で建前もなく思ったことをそのまま呟いているので、人間味があって親近感が湧きます。

憧れのカツオ人間

私がファンである理由は、この飾らない性格に惹かれたからです。飾らない発言なのに嫌な気にさせないというのは素敵な魅力だなと感心しました。

そんなカツオ人間とは反対に、私は思ったことが言えず、相手に意見を合わせてしまいます。そうなったのには「諦める癖があること」と、「たまに言い方がキツくなること」という2つの理由があります。

私には姉と兄がいて小さい頃は二人には何をしても敵いませんでした。おやつは私が選ぶ間もなく姉と兄が先に取るし、兄が私にちょっかいをかけてケンカをした時100%兄が悪いのに、母に泣きじゃくる私がうるさいと怒られていました。2人の意見ばかりが通るので「私が言っても意味ないや」と言う前から諦める癖がついてしまったのです。

たまに言い方がキツくなるのは、お笑いに影響を受けたからだと思います。ボケとツッコミのように家族でも自然とやりとりして育ったので、少し言い方がキツく聞こえるのです。

気を許している家族だからこそというのはありますが、ストレートな表現をしたり、ぶっちゃけたりすることがあります。それが普通で育ってきたので、慣れていない方からすると少し言い方がキツい印象を受けるようです。家族のように気を許しているからこその言い方なのですが(笑)

私は、人を傷つけたくはないので発言を控えていたら、いつの間にか思っていることが言えなくなってしまいました。だからこそ自分が思っていることを素直に 言い、誰も傷つけない表現ができるカツオ人間に憧れるのです。

最後になりますが、そんな私の憧れ(?)、カツオ人間の魅力が詰まった本を1冊、紹介したいと思います。

著者
出版日
2013-04-02

60ページほどと短いですが、そのすべての写真に高知の良さが凝縮されているのです。1ページごとに綺麗な風景とカツオ人間が写っており、しかもよくみると細かいネタが忍ばされているので、何度読んでも楽しめます。

さらにその写真の良さを引き立てるカツオ人間の一言が、なんとも癖になります。例えば、久礼(くれ)の海辺で出会った猫との写真。猫の後ろには高知の軒並みや奥におじさんが写っている何気ない一枚ですが、この写真に添えられていた一言が

「なんか知らんけど、ぎっちり猫に付け回されるがよ。おんしゃぁ、なに見ゆうがな。」
(なにか知らないけど、ずっと猫に付け回されるんだよ。おまえ、なにみてるんだ。)

まるでこの猫にケンカを売るような一言ですが、人懐っこい猫であることが読み取れます。

実は久礼(くれ)には近くに久礼大正市場があり、毎日新鮮な魚が売られています。おそらく猫が人懐っこいのは、市場の店主に美味しいお魚を毎日もらっているからだと考えられます。

ちょっと口が悪く聞こえるのに高知の良さがなぜか伝わる、これもカツオ人間の魅力。

このように、カツオ人間の写真集には高知のマニアックな情報が忍ばされていて、くすっとする一言があり、ちょっと高知に行ってみようかなと思わせてくれる1冊です。

この記事が含まれる特集

  • 山下耀子のごきげんなワケ

    香川生まれで高知を愛する「ごきげんよーこ」こと、山下耀子(やましたようこ)さんが、高知での体験とそこから学んだ生きるヒントをご紹介。

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