漫画「インハンド」3つの魅力を解説!ドラマ化原作が面白い【ネタバレ注意】

更新:2021.12.3

寄生虫が大好き(!)な義手の変人研究者と、元医者の男。そんな彼らがさまざまな医療や科学にまつわる謎を解き明かしていく漫画が、本作『インハンド 紐倉博士とまじめな右腕』です。 2019年4月にはテレビドラマ化などもされるなど、その完成度の高い面白さは、多くの人からの支持を得ています。今回は、そんな作品の魅力をご紹介しましょう。

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『インハンド 紐倉博士とまじめな右腕』内容を徹底紹介!ドラマ化漫画が面白い【あらすじをネタバレ】

 

寄生虫研究科の紐倉哲と、その相方となる元医者の高家春馬が、さまざまな医療に関する謎を解き明かしていく本作。1巻完結で全3話からなる本作では、2人がコロナウイルスの感染源を探したり、不老不死や遺伝にまつわる事件の解決に挑みます。

不老不死など、単語だけ見るとファンタジーを想像する方もいらっしゃるかもしれません。しかし、本作は医療ミステリー・医療サスペンスです。短い作品ですが、2019年4月には実写ドラマ化も決定しており、その面白さは折り紙付き。

作者の豊富な医療知識に基づいて描かれる本作では、物語を楽しむと同時に、医学や科学の知識を楽しむこともできるでしょう。

 

著者
朱戸 アオ
出版日
2016-07-22

 

一方で、紐倉と高家のデコボココンビにも注目です。天才だけど変人な紐倉と、真面目な高家は、まさに正反対の人物。そんな2人が、対立しながらも少しずつ理解して、協力しあって事件を解決していく様子は、バディもの・友情ものとしても面白く読むことができます。

そんな王道な要素もありつつ、重厚な人間ドラマと奇抜な医療ミステリーで、一度読みだしたら途中でやめることができなくなるでしょう。

 

作品の魅力1:多種多様なキャラクター達!寄生虫オタクの変人×真面目な元医者

作品の魅力1:多種多様なキャラクター達!寄生虫オタクの変人×真面目な元医者
出典:『インハンド 紐倉博士とまじめな右腕』

 

主人公は、寄生虫研究科の紐倉。頭脳明晰で、さまざまなところから研究費用も援助されている彼は研究者としては天才的ですが、性格は傲慢で、いけ好かないタイプです。片腕が義手で何かと謎めいた人物ですが、ずば抜けたその天才性はとにかく魅力的。

本作の探偵役ともいえるポジションで、高家のことを振り回しつつも、事件の謎はきっちりと解き明かしていきます。寄生虫のことが大好きでそれ以外のことには興味がない、というような素振りを見せますが、何かと理由を付けられ、さまざまな事件への解決に乗り出すことになるのです。

 

出典:『インハンド 紐倉博士とまじめな右腕』

そんな彼の相棒となるのが、高家春馬という元医者の男。コロナウイルスを巡る事件で紐倉と知り合い、そのまま協力して、コロナウイルスを日本に持ち込んだであろう「患者ゼロ」の調査をすることになりました。

彼は紐倉とは正反対の人物で、真面目で実直な性格。そのため紐倉とは何かと衝突しますが、ともに行動するうちに少しずつ彼のことを認めていくことになるのです。物語上のワトソン的な役回りで、医療や科学への読者の理解を助けてくれます。

正反対の2人がコンビを組むのは王道ですが、彼らのようなキャラクターが中心になるからこそ、物語が軽快に進んでいくことは間違いありません。

作品の魅力2:医療×エンタメ!美味しいところ取りで目が離せない!!

作品の魅力2:医療×エンタメ!美味しいところ取りで目が離せない!!
出典:『インハンド 紐倉博士とまじめな右腕』

 

本作は、医療サスペンスです。そのため扱われるテーマも医療や科学にまつわることで、いずれもかなりマニアック。医療や科学をあまり知らない読者にとっては、部分的には難しいと感じる話もあるはずです。しかし、そのぶん知らないことを知る楽しさを感じることができるでしょう。

もちろん、難しいものを難しく描いているだけではありません。テーマや扱う分野は難しくても、基本はサスペンスやミステリーといったエンターテイメントの作品。まずはエンタメとして楽しめるように描かれているので、たとえ少しわからないころがあっても、その面白さは十分に感じることができるでしょう。

本作は、新しいことを知られる喜びと、エンタメの面白さが融合した作品なのです。

 

作品の魅力3:バディものとしての面白さ!関係性の変化に注目!!

作品の魅力3:バディものとしての面白さ!関係性の変化に注目!!
出典:『インハンド 紐倉博士とまじめな右腕』

 

先述したとおり、本作の主人公は紐倉と高家です。正反対の性格をした2人がコンビを組み、衝突し合いながらも事件を解決していく展開は、まさにバディものの王道といえるでしょう。

全3話で完結と短い作品ではありますが、そのなかでも2人が少しずつお互いを認め合い、友情や信頼を育んでいく様子を見ることができます。この辺りがしっかりしているからこそ、エンターテイメント作品としての魅力が増しているのかもしれません。

 

『 インハンド 紐倉博士とまじめな右腕 』:「ディオニュソスの冠」の見所をネタバレ紹介!

『 インハンド 紐倉博士とまじめな右腕 』:「ディオニュソスの冠」の見所をネタバレ紹介!
出典:『インハンド 紐倉博士とまじめな右腕』

 

塾講師の高家春馬は、ある日、いとこの明鈴の突然の死を知らされます。しかも彼女の死因は、TARSコロナウイルスに感染したことだというのです。TARSコロナウイルスとは、致死性の高いウイルスとして恐れられているもので、基本的には東南アジアへの渡航が原因で感染するとされています。

そんななか、コロナウイルスの感染源を調査する寄生虫研究者・紐倉博士と出会い、2人で調査に乗り出すことになります。そして、明鈴が1年前に東南アジアへの渡航歴があるとわかり、事態は展開を見せることに。

なんと、彼女と同じ大学に通っている生徒16人が、高熱で入院していることが発覚するのです。しかも、彼らは全員同じ講師から授業を受けていたのでした。

コロナウイルスを日本へと持ち込んできたはずの人物「患者ゼロ」。果たして、その人物の正体は彼なのでしょうか。ここから事態は、思わぬ方向へと動いていくことになるのです。

パニック映画にも、ミステリーにも通じる面白さのあるエピソード。

紐倉の変態っぷりや傲慢さも際立っていて、そんな彼に対して真面目で実直な高家は反発心を抱きます。初回ということで2人の対立も際立っていますが、反発しあいながらもともに事件を解決していく様子には、バディものとしての醍醐味を見ることもできるでしょう。

医療サスペンス、ミステリーとしては王道の設定でもあり、素直に最後まで読むことができます。

 

『 インハンド 紐倉博士とまじめな右腕 』:「ガニュメデスの杯」の見所をネタバレ紹介!

不老不死を目指すという謎の財団の調査を依頼された、紐倉と高家。そもそものきっかけは、人体売買について捜査をしていた警察官・坂部國士が誘拐されたのです。しかも、防犯カメラに映っていた犯人は、なんと紐倉の知り合い・コバヤシでした。

そのカメラの映像を元に調査し、紐倉と高家は財団の支部長だという女性・瀬見まき子に出会います。老いる必要がないというその女性は、確かに年齢よりもずいぶんと若く見えるのです。彼女は自らが生き証となり、財団の会員を増やしているのでした。

彼女が老いない秘訣は不老不死の秘術なのか、それとも……。

不老不死といっても、魔術や奇術といったファンタジーなことはなく、医療や科学を用いた医療サスペンスです。医療や科学は下手すると難しくなり過ぎて、そういった知識に乏しい場合は読者が置いてけぼりにされてしまうこともあるでしょう。

しかし本作は、決してそういうところがないのも魅力の1つ。

不老不死という、夢のようで人類が常に求めるテーマと、医療や科学の知識を絡めながら描かれるストーリーは、最後まで読者を飽きさせることのないサスペンスとなっています。しかし、そのための方法はあまりにもおそろしい手段で成されたものだったのです。

調査を進めていくに連れて追い詰められる紐倉と高家、そして残忍で勝手な犯人に隠された哀しき過去……。さまざまな事件や事情が関わったこの事件は、決して簡単に言い表せるものではありません。果たして、どのような結末を迎えるのでしょう。

コロナウイルスの一件で多少は互いに認め合うところも出てきていた紐倉と高家の、少しだけ前進した関係性にも注目です。

『 インハンド 紐倉博士とまじめな右腕 』:「モイラの島」の見所をネタバレ紹介!

紐倉が出資をしていた会社「ファウンダープロジェクト」に、遺伝子の不正調査疑惑が持ち上がりました。社長の園川の口座に、不審な金が発見されたのです。しかし、そんななか園川が自殺。まったく無関係とはいえない紐倉は、自らその会社の内部調査をすることになるのです。

そこで出会ったのは、会社の会長であり、自殺した園川の父親。紐倉は、不正な遺伝子調査の裏には、この父親をはじめとする一族の「血」に秘密があることを突き止めるのですが……!?

著者
朱戸 アオ
出版日
2016-07-22

この話には、紐倉がかつて調査を依頼されてた、アメリカの宗教コミュニティーでの「悪魔の遺伝子」が関係しています。近親婚がくり返されることで生まれる、暴力的で依存症になりやすい「悪魔の遺伝子」。これが、今回の事件にどのように関係してくるのでしょうか。

〇〇の家系とか親譲りとか、そういったことは誰しもが一度は口にしたことがあるでしょう。しかし、よい面は誰しもが欲するところであっても、悪い面は忌むべきものとして扱われます。
 

自分のルーツを求めるというシンプルかつ王道なテーマではありますが、だからこそ、そう簡単に答えの出せないテーマであり、ストーリーの奥深さや劇的な人間ドラマが描き出されていくのです。

遺伝子操作は現実でも注目を集めることが多々ありますが、このエピソードを読むと、そういったことを考え直したくなるでしょう。遺伝というのはそれほど重要なもので、大切にしなければいけないものなのか、あるいは、その逆なのか……。

今まで信じていたものが覆される、なんていうこともあるかもしれません。

いかがでしたか?本作『インハンド 紐倉博士とまじめな右腕』の主人公である紐倉は、元は『ネメシスの杖』という医療サスペンス漫画に登場している人物です。もちろん同作を読んでいなくても本作を楽しむには問題ありませんが、もし興味があれば、そちらもぜひ!

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