脳のことを考えるなら、皮膚のことも考えよう。皮膚について学ぶ6冊

更新:2016.12.5

夏なら日焼け、冬なら乾燥、若いときにはニキビなどの皮脂が気になり、歳をとった張りがなくなる。 日常的に皮膚のことを気にしている人もそうでない人も、おそらく誰もが皮膚なしに暮らしてはいないでしょう。 その割に、スキンケア以外の観点から皮膚を扱った本というのは実は少ないのです。 マーシャル・マクルーハンは衣服を第二の皮膚と言いましたが、鷲田清一は逆に衣服こそが人間の第二の皮膚だとも言っています。今回は皮膚をテーマに本を選びました。

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著者
デイヴィッド・J. リンデン
出版日
2016-09-21

原題は「touch」。

触感についての科学的な知識をもとに、「人間が暮らしの中で何かに触ってそれを感じているときにどのようなことが起きているのか」をわかりやすく簡潔にまとめた本。入門に最適。

なお同著者がこれに先んじて著したのは、脳と嗜癖の関係を紹介した『快感回路』。
こちらも生活に密着した、読みやすいオススメ本です。

著者
傳田 光洋
出版日
2015-07-29

皮膚学というものがあるとして、日本においてその紹介の第一人者を挙げるとしたらまさにこの本の著者である傳田光洋氏でしょう。

資生堂の研究者でありながら、物理学と生物学に明るく、多数の著作はきわめてわかりやすい。

「境界としての皮膚が人体というシステムにおいて果たす役割について、さまざまな場で語ってきましたが、今、その見地から、人体生理のみならず、人間の集団や営みまで何事かを語りうるのではないか」

と書かれているとおり、皮膚というテーマは珍しいものですが、本書が言及する対象は驚くほど広範です。

著者
鷲田 清一
出版日

衣服やアクセサリーや化粧や整形された顔といったファッションこそが第一のもので、人間の裸などの身体は第二のものだ、という一見すると奇をてらったような意見を含むエッセイ集。

奇抜なようでいてしかし、『喪失と獲得』の「感覚が知覚に先行する」「感覚が私をつくる」ということを踏まえると、不思議と当たり前のことのように思えてきます。

著者
ニコラス ハンフリー
出版日

「私」とは何かについて、進化心理学的な考え方で迫るエッセイを含む論文集。

近年の脳科学や認知心理学の主流である、私とは個体としての統合性をもつためのフィクションだ、という見方や、感覚と知覚とを区別して論じる考え方などを紹介している。

哲学的、心理的な主体が「脳」にのみ存在しているわけでもなければ、ある日突然にどこかに出現するわけでもなく、皮膚などの感覚器官から組み立てられていると主張しています。

著者
鯨井 千佐登
出版日
2013-08-23

被差別階級の人々にたいして、かつて遺品としての衣服の取り引き、死んだ家畜の処分などと並んで、皮膚病患者に関する生業を許可するという制度がかつて存在いました。本書はその風習を追いながら、「表皮」と社会問題の関係を辿っていくもの。

一般にも知られている「ケガレ」の概念も、皮膚に関連付けて論じられています。

著者
クラウディア ベンティーン
出版日
2014-05-07

そのものズバリの書名。『表皮の社会史考』と比べるとやや抽象的でブッキッシュな内容ですが、様々な場面で人の「皮膚」がどのように描写されてきたのかを紹介している1冊です。描写の対象、認識されるイメージとしての『皮膚」がどのような歴史を持っていたのかを知るのにはもってこいだと言えるでしょう。

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